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2017.12.28

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夢はでっかく!「譲渡」の先の「飼育支援」まで

動物福祉の世界をまるごと応援するBMP(バンプ)

2017年11月にスタートした、譲渡情報シェアサイト・BMP(バンプ)。一般の人も参加できる保護活動ということで注目されているが、それだけでなく、その裏でもっと壮大な計画が進められている。夢と理想に向けて着々と構想が練られ、ついに全容が見えてきたDo One Goodが仕掛けるBMPとは。

#Lifestyle

Author :写真=大浦真吾 文=白石かえ

「BMP」の頭文字に込めた想いは2つ

 去る2017年11月、ブレーメンパークで初お披露目されたBMP(バンプ)。運営するのは一般社団法人 Do One Good(東京都世田谷区)。いつも西へ東へと全国を精力的に飛び回っている高橋一聡代表から、BMPの仕組みと未来図を語ってもらった。

「BMPには、2つの意味があるんです」と言う。1つめは「Browse(閲覧する)、Meet (会う)、Post(投稿する)」。一般の人が譲渡会に行って、自分の目で直接見た、会った犬たちの印象や団体の人から聞いた話をコメント欄に記し、自分が撮った写真とともに、BMPのサイトに投稿する。それがシェア拡散されることによって、人の目に触れる機会が増し、未来の飼い主につながることを目指している。今は保護犬を迎えることができない人でも「何か保護犬たちのために手伝いたい」と願う人は多い。そういう一般の人の想いを具現化してくれる仕組みである。

*参考記事:「誰もが参加できる里親探し。参加型「譲渡」情報シェアサイト"BMP"始動!」/PetLIVES

 名前の由来の2つめは「Best(最良の、最高の)、Matching(マッチする相手と出会う)、Platform(場所)」。読んで字の如く、犬猫と人、お互いがマッチングした最高の家族に出会える新しい場を示す。犬種やライフスタイルや体力や経済力や......家族とマッチした犬を選ぶことが、犬を迎えるうえで最も大事なことだ。

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これまでの譲渡会開催実績は約600回!

 Do One Goodは、2009年の発足以来、「アダプションイベント」(=譲渡会)を、複数の動物保護団体と協働しながら開催している。常時開催しているのは、青山・恵比寿・駒沢・横浜・熊本。Do One Goodでは直接動物の保護はしていなくて、実際に犬猫を保護している団体さんと連携して譲渡会を開いている。Do One Goodは各団体をつなぐ縁の下の力持ち的存在なのだ。高橋さんはいつも各団体との調整、設営、会場撤収などであっちこっち走り回っている。ほぼ毎週末開かれる会場に出かけ、8年間も継続するというのは、ほかの人にはなかなか真似できないこと。ものすごい信念と体力、忍耐力、複数の団体を束ねるコミュニケーション能力、そして継続してきたからこそ生まれた強い信頼関係......これが高橋さんの力だと思う。

 こうして、これまでに開かれた譲渡会は600回を超えた。Do One Goodと連携している団体は60団体以上。さらに2017年は、定例の譲渡会以外にも単発のイベント(ジャパンキャンピングカーショーやインターペット、熊本県庁主催スマイルパス、前述のブレーメンパークなど)にも参加したので、今年の譲渡会参加団体は、延べ161団体に上る。譲渡会を起点に、保護団体の活動を、徹底的に、献身的にサポートすることで、少しずつ団体さんの信頼を獲得してきた高橋さん率いるDo One Good。それだけに現場の悦びも苦労も身をもって知っている。日本国内の動物に関する団体の中で特別な立ち位置にいて、かつ、ほかに類のない可能性を秘めた団体と言ってよいだろう。

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BMP登録団体を応援する仕組み

 その秘めた可能性がついに現実として開花するときがきた。保護団体を本気でサポートすること。それにより本物の動物福祉社会を実現するよい循環をつくっていくこと。これこそがBMPの真骨頂である。高橋さんは明言する。「私たちは今までの経験から、とにかく現場で頑張っている団体を大切にしたい。BMPのいちばんの目的は、現場で頑張っている団体さんを、本当の意味でサポートすることです」

 その手始めとして、保護犬猫の写真や個体情報が掲載されたポスターを、BMPのサイトから自動出力できる機能をつくったり、各団体自らが行う譲渡会情報などのお知らせもBMPサイトに掲載できる機能をつけたりすることによって、各団体の利便性を計ろうとしている。

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 さらに、Do One Goodの活動に賛同した協賛企業を募り、BMPに登録した団体には、その企業の商品を特別価格で購入できる仕組みをつくった。とりわけフードやペットシートといった消耗品は、安定供給されることが望ましい。しかし小さな団体は正直寄付が思うように集まらないこともあり、身銭を切って頑張っていることも多い。そこで高橋さんは「動物の健康維持や健康管理の質を向上させるためには、高品質のフードを安定して与えることが必要」との考えから、フードメーカーの協賛企業を真っ先に探すことに取り組んだ。おかげですでに某フードメーカーの参加が決定。つまり保護団体さんはBMPに登録すると、継続的にフードを安く購入することができる。これは心強いサポートである。

 さらにさらに続きがある。BMP登録団体であるA団体が、譲渡希望者Bさんに犬Cちゃんを譲ったとしよう。Bさんは、今まで食べていたのと同じフードをCちゃんに食べさせたいと思ったら、協賛企業Dにフードを発注すると普通より安く購入でき、D企業からBさんちに直接納品してもらえる(A団体の手を患わせることはない)。しかもBさんが買い物すると、D企業がA団体に、Bさんが購入したものに応じて寄付をしてくれる。A団体への寄付付きフードを購入するようなものである(ただでさえ普通より割引で買えるのに、寄付付き商品。寄付分を負担するのはBさんではなく、D企業だ)。Bさんは買い物をすることで、Cちゃんの命をつないでくれたA団体へ恩返しができ、A団体の保護活動およびCちゃんの後輩たちの支援ができる。

 その寄付の内容などは現在進行形で協議中であり、また今後、新しく参加する協賛企業によっても寄付の形態や内容は変わるだろう(現金寄付なのか、次のお買い物が割引になるポイント制なのかなど)。ともあれ1つめのフードメーカーの協賛は決定しているので、この仕組みは2018年早々からスタートされる。今回はBMP登録団体にお披露目を兼ねて、さらに割引率のいいBMPデビューキャンペーンが3月末まで行われる予定なので、動物保護団体のみなさんはぜひチェックしてほしい。そしてもちろんBMPの活動に賛同してくれる企業さんもいたら、ぜひ参画していただきたい。ペットシートなどの消耗品のメーカーさんウェルカム!である。また、フードメーカーの中でも療法食が得意なメーカーや小型犬フードやトリーツに特化しているメーカーなどと、いろいろ個性があるから、多様性に富んだメーカーが参加してくれると、保護団体側も飼い主さん側もチョイスの幅が広がるから嬉しいだろう。さらにフードや消耗品以外のメーカーであっても、いろいろな協力体制の可能性がBMPにはあると思う。保護犬の譲渡活動に関心のある企業さんはぜひ高橋さんに御連絡を!

保護→管理→譲渡。さらに→飼育支援!

 さて、現在の保護活動というのは、動物を保護して→管理(シェルターや一時預かりさんが養育)して→譲渡へ。という流れである。

「今まではとにかく目の前のコを助けなくちゃ!というのが先決だった。でもこれからは、一般飼い主のレベルアップの啓発も行い、捨てない環境をつくる、(捨てられる)蛇口を閉める活動も必要となってくる。そこで重要なのが、譲渡の先にある<追跡調査>や<飼育支援>です」と高橋さんは言う。

 ただし、新しいおうちのコになったのに、都度<追跡調査>されてしまうと、いつまでも監視下にあるみたいで、やりすぎではないかという声も浮上している。しかしながら譲渡した後に子猫が虐待されるなどの許しがたい事件も現実に起きているので、譲渡後の生活を心配する団体さんの気持ちは痛いほどよくわかる。また譲渡後の生活が安定することを願い、譲渡条件(年齢制限、家族構成、収入など)を厳しくせざるを得ない状況もよくわかる。けれどもその結果「保護団体からは譲ってもらえなかったから、子犬をお店で買った」とか「保護犬も検討したが、いろいろ面倒くさそうなのでやめた」というケースも実際にちらほら耳にする。非常に難しい。なんだか本末転倒というか、せっかく1つの命を救いたいという想いは同じなのに、団体さんと譲渡希望者の気持ちがボタンの掛け違いのようになってしまっているのは残念だ。

 そこで高橋さんは考えた。「<追跡調査>しなくても、高品質なフードを新しい飼い主さんに提案し、(強制ではないが)それを継続して買ってくれたらまず飼い主さんにとっての<飼育支援>につながると思うのです。そしてそのフードをまだ食べているということは、生きているな、元気でやっているなと団体側の安心材料になるでしょう。そのつながりから、団体と飼い主さんがその後も何らかの形で連絡を取り合ったり、情報交換がしやすくなったりするような環境をつくっていければよいなと考えています」

 そうすれば、飼い主さんがその後の生活の中で犬の問題行動などで困ったときや、「もう飼えないかも」というような大事件が起きたとき、団体さんに相談しやすくなる。そこで団体さんが、飼い続けられるようなサポート(悩み相談、トレーナーの紹介、トリマーの応援、動物病院の案内など)をすることにより、ふたたび捨てられることを減らせるのではないか。それが高橋さんの考える<飼育支援>だ。イコール高橋さんが長年言い続けている「未来のペットショップ」である。ペットショップと聞くと拒否反応を起こしてしまう人もいるかもしれないが、既存のペットショップのことではなくて、保護犬猫を譲渡し、飼い方のアドバイスをし、フードを提案し、トリマーやトレーナーを紹介するような、総合的なペットの相談窓口の役割をするのが「未来のペットショップ」。既存のペットショップに成り代わり、動物保護団体がその役割を担うことができたなら!というのが高橋さんの長年の構想なのである。

 そして、万が一やむにやまれぬ事情(飼い主の死亡など)のときは、最終的にもう一度引き取る、というケースも視野に入れられたらベター。それが本来の動物保護団体の姿ではないかと、高橋さんは思っている。たしかにそれが理想像ではなかろうか。現時点では、無責任な飼い主や悪徳な繁殖業者の尻ぬぐいを、団体さんが動物を愛する博愛精神でやむなくしている事態が多いが、本来ならば動物愛護・動物福祉とは、正しい飼い主さんにやむにやまれぬ緊急事態が起きたときに、(寄付含め)共助の力で助け合うのがあるべき健全な姿なのではないかと感じる。もちろんその前に、悪徳繁殖業者の淘汰、子犬の供給過多のストップ、衝動買いをさせない、飼い主の教育などが必要である。でも最終的な理想像としては、動物保護団体は、無責任な人たちの尻ぬぐいのためではなく、動物を愛する人たちの飼い犬・飼い猫のセーフティネットのために存在してくれた方が望ましいように思う。

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誰でも犬猫と暮らせる社会へ

 なおかつ「譲渡後の<飼育支援>がうまく機能するようになったら、譲渡条件を今ほど厳しくしなくてもよくなるかもしれない。条件が緩くなれば、譲渡希望者の枠を広げることができる。それが本当の動物愛護ではないかと思うんです」と言う高橋さん。譲渡がゴールではなく、その先の飼育支援までフォローすることにより、本当に熟成された動物福祉の社会がやってくる予感がする。

 さらに高橋さんの本音が聞けた。「僕は本当は、誰でも、高齢者でも、犬猫と暮らせる社会になることが理想だと思っています。本当は、高齢者にも犬猫を飼ってほしいんです」

 たしかに心の底ではそう思っている人はほかにもいると思う。年齢制限があるから、もう年だから、自分が先に死んだら犬が路頭に迷うから。そう考えて、老後は犬猫と暮らすことを我慢し、諦めている人は少なくない。責任感が強く、真面目で、犬への愛が溢れる人だからこその決断である。でも、つまりは、こんなにもまともで責任感があり、動物への愛情がいっぱいの人が、まだまだお元気なのに、犬を飼うのを諦めているのである。むろん人はいつ死ぬかわからない。でも70代、80代でもお元気で健脚な人はたくさんいる。むしろ年金暮らしの人の方が、通勤もないので、犬と向き合う時間を長くとれたりするいい面もある。

 お年寄りにとっても、誰かの役に立つ幸せ、外へ散歩に行く毎日のルーティン、近所のコミュニティーへの参加などのメリットを得ることができる。犬と暮らすことは、高齢者の健康促進、認知症予防、社会性の維持などによい影響があると論文もでているほどだ。もっとその先を考えたら、医療費の削減、防災対策、孤立死対策など、現在ある高齢化社会の問題のいくつかを多少なりともなんとかするきっかけになる可能性だってある。よって、高齢者にも扱いやすい成犬(やんちゃな時期は過ぎて、落ち着いている。トイレトレーニングも完了している。性格や大きさがわかっているなど)の保護犬を迎えたり、あるいはフォスター(一時預かりさん)としてボランティアに参加したりするのは、よい選択だと思う。保護犬の譲渡条件が緩和されれば、これらも夢ではない。(ちなみに最近ペット業界が躍起になっている子犬の生体販売強化の話とは全く別の考え方であるので念のため。あくまでも保護犬、とくに成犬の譲渡や一時預かりを指す)

 いろいろな角度から複合的、総合的により良い社会にすればどうすればいいのかを考え抜いている高橋さんの構想。長年、現場に出て肌で感じて、いろいろな壁にぶち当たり、でも理想を捨てずに諦めない不屈の精神を持つ高橋さんらしい(実は高橋さんは大学日本一を3度経験しているラグビー界では知る人ぞ知る有名な伝説の人らしい)。仲間をとても尊重するプレーヤーでもある。彼の考えるとおりに日本の動物福祉が進んでいったら夢みたい。そうして、それを実現させるための仕掛けが、BMPなのである。動物保護団体も、保護犬を迎えた人も、賛同した企業も、みんながWIN-WINになる仕組み。そして今は犬を飼えない人も、寄付という形のほかにも動物保護活動を応援できる仕組み。これは動物愛護管理法の基本原則である、日本国民みんなが「人間と動物が共に生きていける社会を目指す」に合致したアクションともいえる。

 BMPは生まれたばかり。これからどんな風に成長していくのだろう。登録団体もこの先どんどん増えて、多様性のある協賛企業も増えていけば、また新しいムーブメントも起きそう。この先もBMPの活動がどのように進化していくのか、目が離せない。楽しみだ!

◎INFORMATION

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■BMP公式サイト:https://doonegood.net/
■一般社団法人 Do One Good公式サイト:http://doonegood.jp/
■お問い合わせ:BMPや運営団体のDo One Goodに関するお問合せ、団体の登録希望、企業の協賛希望などのお申し出、ご質問は下記まで。
e-mail:hello@doonegood.jp

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