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2017.12.29

ブログ        

コントみたいな犬との暮らし【柴犬生活漂流記 vol.9】

ふしぎ体験

2015年・秋。「あお」と名付けた柴の仔犬を迎え入れ、生まれて初めて「犬の飼育員」となった「僕」と「もうひとり」。次々と起きる"どの飼育本にも載っていない"トラブル、アクシデント、ハプニング。心労で3カ月の間、毎晩見るのは犬の夢だけ......。今は笑って話せるけれど当時はそんな余裕ゼロ!途方に暮れながら過ごした日々は、まるで大海原を犬と一緒に漂流しているような気分だった......。
我々人間では考えられないような能力を持つ犬という生き物。嗅覚をはじめ、さまざまな鋭い感覚を備えているわけだが、まさかそんな能力までも......。

#Lifestyle

Author :写真・文=舘川範雄 協力=(株)浅井企画

参加犬・あお

 犬の能力は計り知れない。そもそも嗅覚が人間の何万倍も優れているってことからして、「なにそれ?!」である。他にも、何十キロも離れたところから家に帰り着いたとか、人の病気を探知できるだとか、まさに人並み外れた(当たり前)能力を持っている。

 あおがうちに来て2週間。我々はその頃からあおのことを「参加犬」と呼んでいる。料理をしているとキッチンにやってくる、ベランダで洗濯物を干しているとやってきて足元をうろちょろする、我々が何かを話をしていると、近くで寝そべりながら会話をじっと聞いている......などなど、とにかくなにかと"参加"したがる犬なのだ。

 柴犬は「シバ距離」と呼ばれる間合いを飼い主と取ると聞いていたのだが、あおに関してはどうもその「シバ距離」が近い。もちろん、こちらから近づいて、あおに"その気"がないと、スタスタと少し離れたところへ移動するのだが、あおに"その気"があると、近づいてきて足をカプッと噛んだり、ネコのように膝の上に乗ってきて甘えたり(特に寝起き)することもあった。

 

 そんな参加犬・あおは、僕らが同じ空間にいるのに、ひとりだけサークルの中にいることがどうにも納得できないようで、「なんでわたしだけここ?」「そっち行きたい!」「参加したい!」と強くアピールをしてきた。とは言え、サークルを飛び越えたり、吠えたりするわけではなく、顔で、そして全身を使って「そっちに行きたいんだけど」を必死に伝えようとしていた。

ある時はこんな風に......

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(なんとしても参加したい)

またある時はこんな感じ......

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(顔だけでも参加したい)

さらにこんなパターンも

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(アピールし疲れ、眠りながらも足だけ参加)

ふしぎ体験

 我々が「不思議な体験」をしたあの夜も、あおは我々の生活に、眠気と戦いながら、24時過ぎまで"参加"していた。

「あお、もう寝よう!」

 声をかけ、あおを抱き上げサークルの中へ。扉を締めると、あおはこちらを見上げながら、まだ遊びたいオーラを出していた。

「また明日。おやすみ」

 あかりを薄暗くし、あおをリビングに残して、我々は寝室へ。それから数時間後のことである。

 記録ノートには9月30日の夜中、10月1日の朝方の事と書いてある。その時、なぜだか突然、目が覚めた。ふと見るとベッドの上に白い物体が見える。思わず声を出した。

「あお?!」

 瞬間、サークルの扉が開いていて、いつの間にかあおがここにやってきたのだと思った。でもベッドに自分で上がれるはずはない。

 え?どういうことだ?こちらも眠くて頭が回らない。なんだなんだ?なんであおがここにいる?

 その数秒後、(ほぼ僕と同じタイミングで)大抵のことでは滅多に目を覚ますことのない超熟睡型の「もうひとりの飼育員」も急に目を覚ました。

 そして「あお?」と僕と同じように声を出している。

「なんであおがいるの?」

 彼女に言われて、慌てて電気をつけた。すると、今までいたはずの白い物体=あおの姿が消えた。なんだったんだ今のは?

 リビングへ行き、サークルの中を確認すると、あおはそこで眠っていた......。

 ベッドの上のあおを見たのが僕だけだったら、クリーム色のタオルケットと見間違えた、または育犬疲れと睡眠不足で幻覚を見た......と思えたが、育犬疲れとは無縁(なぜなら自分のペースでけっこう寝ていたから)の、もうひとりの飼育員も「確かにあおを見た」と言う。

 

 翌朝、我々飼育員は話し合い、ひとつの非科学的な結論に達した。それは『あの時見た白い物体は、あおの「生霊」だったのではないか?』だ。

 あの頃、あおは毎晩、サークルの中で"ひとり"寝ていた。そんな夜が続き、参加犬・あおの「参加したい欲」はあの日、ついにMAXになってのではないか?

「参加したい!ここから出たい!あっちに行きたい!!」

その想いが強すぎて、思わず魂がカラダから抜け出し、我々の前に現れたのではないか?!......と。

 人間の生霊など見たことはない。幽霊を感じたことすらない(あって金縛り)。そんな我々がしっかり、はっきり、あおの魂(?)を見てしまったのだ。まだまだ科学で解明できていないことだらけだという「動物の潜在能力」。あれもそのひとつだったのではないか......?

 犬という"異種"との、初めての生活の中で次々と起こる初めて体験。その中で最も"ふしぎ"だったのが、この「あおの生霊・目撃体験」である。

 今も気のせいとは思えない。繰り返しになるが、けっこう大きめの地震でも、平気でグーグーグーグー寝ている、もうひとりの飼育員が急に目を覚まし、僕と同時に見たのだから......。やっぱりあれはあおだった......。

 僕たちふたりが「あおの生霊(?)」を見た数日後、僕はまたしても、いるはずのないあおの姿を見てしまった!またなぜか目が覚め、ベッドの下を見ると、そこには白い物体が!

「あお!?」

 呼ぶとその姿は溶けるように消えた......。残念なことに、この時あおの姿を見たのは僕ひとりだった。

 当時、もうひとりの飼育員は「夜中のトイレパトロール?ムリムリ。だってわたし、寝るのが仕事みたいなものだから」と訳の分からないことを言って、いつも熟睡していたので、この時も、あおの出現どころか、僕がけっこう大きめにあげた「あお!?」という声にも気づくことなく寝息を(この日はスーピースーピー)立てていた。なので2度目のあおの生霊?を見たのは僕ひとりである......。

 今、冷静に振り返ってみる。あれは単なる育犬疲れだったのか......。いや......やっぱりあの時「あお」は、いました!!

目を覚ましたらこんなのが横にいた!!(気のせい?)

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(つづく)

◎プロフィール

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舘川範雄 (たてかわ のりお)
1966年9月19日生まれ。1987年4月から作家活動に入る。
「コサキン」「SMAPxSMAP」「ポンキッキーズ」「スクール革命!」などテレビ、ラジオで多数の番組構成を担当。また関根勤主宰「カンコンキンシアター」の他、オリジナルコメディーやミュージカルの作・演出など、活動は多岐にわたる。
インスタグラム(ao20150721)で白柴「あお」が毎日、犬の目線で日々の出来事を投稿中! 

掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法等により保護されています。



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