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2017.12.04

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.5

多頭飼いのメリットとデメリット

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。犬を飼いはじめたら、いつの間にか数が増えていた。という話はよく聞きます。今日はそんな多頭飼いのお話をしてみましょう。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

なぜ多頭飼いを考えるのか。

 犬との生活を始めてしばらくすると犬飼い友達も増え、犬について少しずつ情報が蓄積されていきます。その中には多頭飼いをしている人の話などを聞くチャンスもあり、住宅事情などで、多頭飼いができない状況でない限り、多頭飼いの選択肢は常に頭の中をよぎっているのではないでしょうか。

 例えば、初めて飼った犬がとてもお利口で、大きな問題も無かった場合、「もう一頭増えても大丈夫」と意外とハードルを下げて多頭飼いに踏み切る人も多いようです。また、留守番が多い家庭などでは、1頭より2頭の方が寂しくないだろうと考えたり、ドッグスポーツを家族で楽しんでいる家庭の場合、自分だけのパートナーが欲しくなって犬を増やすことを考えたり、あるいはかわいい愛犬の子どもが欲しいとブリーディングを試みたり、さらには愛犬と楽しみたいと始めたドッグスポーツがその犬に適していなかったので、ドッグスポーツを一緒に楽しめる犬を新たに迎えようと思ったり。あるいは、ずっと1頭の犬と暮らしてきた人が、歳を重ねていく先住犬を見て、少しでも老犬の刺激になればと2頭目を考えたり、先住犬を失ったときのことを考えて、2頭目を迎えようと計画したりとさまざまだと思います。ちなみに我が家の理由は、初老の先住犬の刺激になればと思ったときと、愛犬を交配させたときが多頭飼いに踏み切ったタイミングでした。現在はトレーニングのアシスタントが1頭だと負担が大きいので2頭目を5歳違いで昨年迎えています。

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後輩犬が来てから、ボールを取りに行くぐらいしか走らなかった先住犬が、後輩犬を追いかけて走るようになりダイエットに成功

 理由はどうあれ、1頭では物足りないと感じたり、もう1頭増えても大して変わらないだろうと思ったりして、犬たちが増えていくことになります。中にはたまたま出会ってしまったからという偶然の結果もあるかもしれません。しかし、当然のことながら愛犬自身の意思ではなく、飼い主の希望で新たに犬を迎え入れることになるので、なかなか予想していたようにはいかないかもしれません。

 犬好きにはたまらない犬だらけの生活。では、その実情はどんなものなのでしょうか。

多頭飼いで気を付けたいこと

 2頭目を迎え入れる時期を考える時、先に述べた理由の中で、「1頭では寂しいだろうから」という場合は、2頭の年齢が近くなる場合が多いようです。パピーから1頭飼いを始め、愛犬が1頭でつまらなそうにしていたり、留守番中1頭になることが多かったりすると、ついつい、「2頭なら寂しくないだろう。」と多頭飼いに踏み切るケースがあるからです。

 犬たちの年齢が近い場合はお互いの動くペースが似ているので、極端に仲が悪くなければ、とてもいい相棒となることでしょう。しかし犬はお互いを見て学ぶものなので、年かさの犬の行動を観察しながら、後輩犬たちは学習していきますが、先住犬が人間社会のルールに慣れていなかった場合や、人間家族との関係性がきちんとできていなかった場合は、良くない行動を学習してしまったり、犬同士の絆の方が強くなり対人間との関係が希薄になってしまう可能性があります。そうならないためには、まず1頭目にきちんとルールを教えてから妹犬や弟犬を迎える必要があります。また、歳が近ければ当然のことながらお別れも続いてしまう可能性があります。

 一方年齢が離れている場合、新米犬は当然先輩犬の行動を見ながら行動するので、飼い主も初めての犬より多少は楽に犬育てができるでしょう。だからと言って、次の子の世話を先住犬に任せっぱなしにしていては、年齢の近い犬同士のケースと同様、2頭目の犬が飼い主との関係より先住犬との関係性を重視してしまい、飼い主との関係性が希薄になってしまいます。2頭目の子にもきちんと社会のルールを含めた、日常マナーを教えてあげる必要があります。

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先住犬の真似をして伏せる子犬

 また、年齢的な問題だけではなく、相性も大事なポイントです。できることなら先住犬と会わせてから決めることも選択肢に入れておくといいでしょう。オス同士、メス同士、異性を選ぶかも、よく考える必要があります。

 当然犬種が違えば特性も異なるので、行動パターンも同じになるとは限りません。片方は走りたくて仕方ない犬種、もう一方は飼い主さんに抱っこされていたい犬種だったりすると、散歩の内容もそれぞれにあわせて工夫する必要があるかもしれません。そんなことを頭に入れておくといいかもしれません。

 もちろん、さまざまなことを想定していても、その結果すべてうまくいくとは限りません。いつも仲良く絡み合っている犬同士もいれば、あまり仲がよくない場合や、一緒にすると喧嘩になってしまう場合もあったりします。そんな時は散歩にかかる時間が倍になったり、ご飯を食べる場所を工夫したり、それぞれの居住スペースに配慮することも必要になるでしょう。

多頭飼いの現実

 多頭飼いに踏み切る際、人間側の問題として出てくるのは経済的な部分です。食餌や医療費、場合によってはトリミング代や、ドッグスポーツなどの参加費などなど、すべてが犬の頭数分かかるようになります。

 食餌は2頭同じものを食べてくれれば楽ですが、個体によってはアレルギーなどが原因で食べられるものが制限されていたり、年齢の違いで成分の異なる食餌を用意しなければいけなかったりすると手間は頭数分かかります。

 また万が一のときは医療費もばかにならないので、ペットの医療保険などを利用する方法もありますが、ワクチンや虫よけの薬剤などは保険ではまかなえないので、その分の出費は覚悟しなくてはいけません。

 豪邸であればスペース上は問題ないかもしれませんが、普通の住まいであれば、当然犬舎(クレート)を設置するスペースが必要になったり、ドッグベッドを置く場所を確保したりしないと犬たちが個別にくつろぐことができなくなってしまいます。場合によっては人間のベッドを占領されて、飼い主の寝るスペースが制限されてしまうということもあるでしょう。もちろんそれはそれで、お互い癒されるというメリットもあるかもしれませんが。

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ベッドを占領されるとゆったり寝られなくなる場合も

 散歩に行くのも、2頭同時に行かれれば問題ないのですが、お互いが依存しすぎないように、分けて散歩に出る機会を作ることも大切です。一度多頭飼いになると、3頭目、4頭目と増えていくケースもありますが、その際は何頭まで一緒に連れて出られるだろうかということも念頭においておくといいでしょう。散歩コースの道幅が広ければ問題ありませんが、都会の密集地などではすれ違いの際に避けなくてはいけないこともあるでしょう。我が家が母子3頭と暮らしていたときは、車を避けるときに私が壁側の方に少し寄ると、壁側を歩いている犬たちが自然に縦に一列になってくれたので、1頭分のスペースがあれば歩くことができたのですが、先を争って歩くような犬たちの場合は難しいかもしれません。

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散歩のとき、道幅をとる多頭飼い

おわりに

 一般家庭の多頭飼いについてお話してきましたが、本当に犬好きな家庭では、どんどん犬が増えてしまい、東京での生活が難しくなって、郊外に移り住んだご一家もあります。愛しい犬たちのためならなんのその、というところでしょうか。

「犬は群れる」という言葉もあるので、一頭で生活することは犬にとっては幸せではないかもしれませんが、だからと言って、多ければ幸せかと言うと、そうでない場合もあります。犬は犬から学ぶというくらい多頭飼いのメリットは大きいものですが、人間と生活する以上、人間とのコミュニケーションは欠かせません。リーダー論はあまり好きではありませんが、ある程度の統率力は人間(飼い主)には要求されます。それがないと、円滑に人間社会で暮らすことができないからです。

 犬たちとの暮らしは多くの素晴らしい経験を私たち人間に与えてくれます。数が多ければ、それも倍、倍になっていくでしょう。でも、ただ可愛いからという理由だけでなく、それぞれの犬たちとの関係をしっかり築きながら、多頭飼いを楽しめるといいですね。

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●HP:http://wanbywan.com/
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●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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