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2017.11.16

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ブレーメン応援ウィーク!

「リアルな現状を感じてもらいたい」さあ、ブレーメンパークへ!

今週の日曜日(11月19日)、幕張メッセ(千葉市美浜区)にて、複数の動物愛護団体が集結する大譲渡会が開催される。これだけの数の保護動物および保護団体が、一堂に会することは稀有なこと。しかも目的は単なる「可哀想な捨て犬たちの中から、気に入った子がいたらもらってやってね」ではない。もっと壮大な目標と夢が詰まっている。新しい日本の動物福祉の道を切り拓くブレーメンパークについて紹介しよう。

#Lifestyle

Author :写真=白石かえ、docdog編集部 文=白石かえ

アーティストも団体も個人も。自分ができることから始めよう

 ブレーメンパークは、SEKAI NO OWARI認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが、2016年に立ち上げた動物殺処分ゼロ支援プロジェクト「ブレーメン」の活動として、初めて開催する大譲渡会イベント。主催はブレーメンパーク2017実行委員会(構成組織:ブレーメン、ピースウィンズ・ジャパン、Do One Good、トレードショーオーガナイザーズ)。

 なぜにSEKAI NO OWARIが?と思う人もいるかもしれない。ブレーメンのHPには『2016年、殺処分の現状を知ったSEKAI NO OWARIは、いろんな人にお話を聞かせていただき、疑問に思ったことを質問し、日本における殺処分の現状を「知る」機会に出会いました。現実で起きていることを知れば知るほど、今まで自分達の音楽で世界は変えられないと思っていたけれど、もしかしたら自分達が動くこと、発信することで、今なら少しくらい何か「きっかけ」を与えられるんじゃないかと思い、メンバーで話し合い、動物殺処分ゼロプロジェクト「ブレーメン」をスタートすることを決定しました』と記されている。

 それから支援シングル「Hey Ho」を2016年10月にリリースしたり、支援ライブを2016年10月に東京で、2017年9月に鳥取、佐賀、神奈川で行ったり、支援グッズ販売したりしている。収益金は、ピースウィンズ・ジャパンに寄付され、動物殺処分ゼロ活動のための資金となる。今回の大譲渡会は「ブレーメン」の活動が実を結んだもののひとつだ。資金面もさることながら、今まで「殺処分」「保護犬」などの存在を知らなかった層にも伝える影響力がこのプロジェクトにはあると思う。

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殺処分問題はまだまだ解決していない

 環境省のデータによると、2015年度の年間殺処分数は、犬・猫合計で約8.3万頭(犬1.6万頭、猫6.7万頭)だ。ただ、暗闇に少しは光も射してきた。2016年度の殺処分数は減少しており、犬猫合計で約5.6万頭(犬1.05万頭、猫4.55万頭)。どんどんこの数が減るように、私たちは注視する必要がある。

 しかし、単純に数が減ったと喜んでばかりいられない。減ってきたのは、動物保護団体の血と涙のにじむ活動のおかげであると言っても過言ではない。もはや保護団体のキャパシティーがオーバー気味になっているところもある。保護団体に負担を押しつけるだけではこのままだとパンクしてしまいそうだ。また殺処分ゼロだけでなく、保護された動物の飼養環境が動物福祉に適ったものであるかも重要。「命」を救うだけではなく、「5つの自由」が守られた毎日を、すべての犬猫たちに保障することが望まれる。

 だからブレーメンパークの目的は、目の前にいる犬猫の譲渡促進だけではない。もっと中・長期的なヴィジョンを持っているように思える。すなわち、これから譲渡活動がもっと普通になる、大衆化させる価値観を共有するのが、ブレーメンパークの狙いではなかろうか。

①殺処分の現状を知ってもらう。
②新しいペットとの出会い方を知ってもらう(ペットショップ以外の出会い方がある、保護犬という選択肢もある、と知ってもらう)。
③動物保護団体は多数あることを知ってもらう。そして団体ごとに方針が異なることも知ってもらう。
④いつか保護犬猫の譲渡を希望するきっかけにしてもらう。

 つまり企画書を見ると、どちらかというと「すぐに犬たちの里親になってね」というよりも、「殺処分の現状を知ってほしい」「保護活動に共感してほしい」「今後につながるきっかけをつくってほしい」という想いがメインのように思える。だから「今すぐ保護犬を迎えることを検討中。犬を探している」という人はもちろん、「犬って、ペットショップで買う以外の方法があるの?」「まだ保護犬のことはよくわからないけど、気にはなっている」「殺処分についてもう少し勉強したい」「いろいろな団体があるって、どういうことだろう。どんな差があるんだろう」「今は動物を飼えないけれど、保護団体を応援したい」という人など、ジャンルを問わずウェルカム。当日は「ブレーメン」プロジェクトのメンバーのひとり、ピースウィンズ・ジャパンの大西純子さんとSEKAI NO OWARIのトークセッションもある。どんな想いが語られるのか、楽しみだ。

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自分の条件に合う犬猫、団体と出会えるチャンス

 そもそも幕張メッセを、保護動物のために貸し切るなんてことが今まであっただろうか。大人数(大頭数)の動物が入ることを許してくれる屋内の施設は日本では少ないが、屋内型の譲渡会会場は、資金面、衛生管理面、人手の確保などが大変で、場所を借りることすら難しかった(まぁ、そういえば大きなドッグショーはインドアで開催されているし、この2月にはジャパンキャンピングカーショーの中に『「PEACE LIFE PEACE PET」ゾーン』というのが初めて作られたけどね。これもDo One Goodが協力していた。トップ写真がそのときの様子)。でも、参加団体側からしてみれば、雨や寒さを気にせずに予定が組める譲渡会というのは、とてもやりやすいと思う。もちろん犬猫にとっても居心地がいいだろうし、来場者にとっても天候を気にしないでいいから行きやすい。

 そして参加団体37、参加動物342頭(11月16日正午現在)が一堂に会するのがすごい。参加動物が多ければ、それだけ自分の心の琴線に触れる犬猫に出会えるチャンスが増えるはず。でも、それだけじゃない。自分と相性のいい団体に出会えるチャンスも多くなるのだ。

 動物愛護団体、動物福祉団体には、それぞれに個性や特徴があり、ポリシーも違う。譲渡条件や引き渡し前後の流れ、ルールも異なる。年齢や家族構成(単身者NG、子どものいる家庭NGなど)、ライフスタイル(共働きNG、先住犬NGなど)、収入、住環境に関する条件などもいろいろだ。

 しかしその影響で、保護犬譲渡を諦める人もでてきた。最近よく小耳に挟むのは「保護犬を迎えたいと思っていたが、60歳以上には譲渡しないと団体に断られた。しょうがないから、結局ペットショップで子犬を買った」などの事例である。

 譲渡条件があるのは、その動物を必ず幸せにしてもらいたいという強い想いが、団体にあるからだ。もう二度と捨てられることのないよう、もっと怖いことをいえば最近ではもらった子猫を虐待するなどの許しがたい事件も横行しているので、そんなことが絶対に起きないように、条件を厳しくせざるを得ない事情もあろう。とても難しい問題だ。

 だから、条件についていいとか悪いとかの話ではない。とにかく団体によって条件やルールに違いがあるということを知っておいてほしい。Aの団体では「高齢者はNG。単身者はOK」で、Bの団体では「高齢者はOK。単身者はNG」ということもある(これはあくまでも例えです)。団体に多様性があることはいいことだと思う。チャンスが広がる。

 譲渡希望を申し込んだ後、家庭訪問があり、家族構成や住環境などのチェック。人柄や本気度なども試されるだろう。一度捨てられ、あやうく殺処分されるところで生還した犬猫なのだから、今度こそ幸せになってほしい、ちゃんと可愛がってもらいたい、健康に育ててほしい、と願うことは至極当然の想いだ。また虐待事件の餌食にされないよう動物の身の安全を確保するためにも欠かせない。

保護犬でも、責任や養育費は変わらない

 それに「ここに来ればタダで子犬がもらえるんでしょ?」と思っている人は、飼い主としてふさわしくないと思う。犬を育てるというのは、これから15年間くらい毎日、食費も獣医療費も雑費もかかる。子どもひとり育てるよりは少し安いかもしれないが、それに類するレベルでけっこうお金も手間もかかるものであり、「タダだから欲しい」という感覚はもはや動物福祉に反する。もちろん犬を育てるためには、トレーニングのこと、病気のこと、マナーのことなど、いろいろ飼い主が勉強しないといけないこともたくさんある。責任と義務も生じる。

 また「可哀想な保護犬」という哀れみ、同情で迎えると、あとでひずみがでるのではないかと思う。あるいは「可哀想な保護犬をもらってあげた」というような自己顕示欲を満たしたい人や、保護犬をもらうことがトレンドのように勘違いしている人もやっぱり違う。犬を迎える真の目的がずれていると、犬への愛情が長続きしない可能性がある。犬からしてみれば、自分が保護犬かどうかはわからない。可哀想かもわからない。同情ではなく、飾り物でなく、ちゃんと1頭の動物として向き合い、「一緒に楽しく暮らそうね」「一生幸せにしてあげるから任せとけ♪」と、でっかいあったかい心で迎えてほしい。

 と、なんだか、譲渡してもらうのは大変なんだからね!と釘を刺しているようで申し訳ない。とにかく私が言いたいことは、譲渡希望者も本気で犬について勉強し、全力で幸せにする決心をして、迎える覚悟をしてもらいたいということ。そして、そういう覚悟のある人ならば、年齢制限などの条件ではじかれたとしても、OKしてくれる団体がほかにないか、諦めないで探してほしい。

 また、小型犬専門の団体もあれば、猟犬や和犬が多い団体もあるし、純血種がほとんどの団体、反対に和犬ミックスが多い団体もある。その団体の本拠地がどこにあるかの地域差も関係するように思う。ブレーメンパークはバラエティーに富んだ犬たちが集まるのは間違いない。さらに子犬だけでなく、成犬たちがいるのも譲渡会の魅力のひとつだ。成犬の場合は、もうトイレ・トレーニングが終わっていたり、体格が完成して大きさが定まっていたり、どんな性格かがわかるので、飼いやすいことが多い。とくに高齢者の人や、共働きの人などにはけっこう成犬はいいと思う。ハイパワーで、トイレを失敗しまくるチビちゃんよりも、おとなの犬の方が手間がかからず、自分とマッチする犬を選びやすいものだ。

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「殺処分をゼロにしたい」という目指すゴールはみな同じ

 とにかく団体の数だけ、ポリシーや活動内容は異なる。でも、殺処分をゼロにしたい、という目指すゴールは同じ。日本では類を見ない規模の大譲渡会がどんな風になるのか、実に楽しみだ。

 さらに、ブレーメンパーク2017実行委員会として今準備に奔走している一般社団法人Do One Goodが、このたび新しくつくった「BMP(バンプ)」が当日初披露される。BMP(バンプ)とは、アダプションイベント(譲渡会)に連動した、参加型「譲渡」情報シェアサイト。リアルな譲渡会(今回はブレーメンパーク)に出かけ、現場で気になった犬や猫の写真を自分で撮って、拡散、全国にそのコを紹介、啓発、応援するという新しい仕組みである。Do One Goodのブースにぜひ立ち寄ってみてほしい。こちらも今後の成長が楽しみ。ブレーメンパークといい、Do One GoodのBMP(バンプ)といい、2017年11月、日本の動物福祉活動が大きな一歩を踏み出すことになる。

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青山(東京都)で2009年からほぼ毎週末開催されている「アダプションイベント」(譲渡会)にて。いろいろな団体が交代でやってくる。それらの複数の団体をとりまとめ、連携し、アダプションイベントを雨の日も風の日も根気強く開いてきたのがDo One Good。今回のブレーメンパークも、その各団体とのネットワークのおかげで多くの団体が参加することに。右が、めちゃくちゃガッツと体力と人徳のあるDo One Good代表の高橋一聡さん。左が、特定非営利活動法人Wonderful Dogs代表の岩渕友紀さん。通称ワンドクさんはブレーメンパークにも参加する

 当日はdocdogも、ブレーメンパークを応援するために参加することになった。イベント恒例の靴・靴下の販売や試着コーナーはなく(そもそも今一緒に暮らしている犬の同伴は不可なので、試着もできないしね)、このたびは純粋にブレーメンパークの趣旨に賛同した1企業の社会貢献として参加する。
 飼い主になることを決めた(=保護犬譲渡を申し込んだ)新しいパパママ希望者と保護犬との、「うちのコ記念日!」撮影会を実施予定(※「申し込みしてきたよ」という方はdocdogブースまでお声掛けを!)。また、グリーンドッグさんと共同でクイズラリーを行い、来場者プレゼントも用意する。もちろん、取扱商品の展示は行うので、靴・靴下に関する相談など遠慮なくどうぞ! ぜひdocdogブースにも遊びに来てください(おなじみ<クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」>で登場する、編集Mさんも会場にいますよーーーー♪ ついでに私・白石かえも同じく会場内をちょろちょろ取材しているはず)。それではみなさん、日曜日は幕張メッセに集合!(※自分の犬を同伴することはできないのでご注意くださいませ)

今年2017年に行われたオーストラリアのRSPCA Queensland(王立動物虐待防止協会クイーンズランド支部)主催の「特別開催アダプションイベント」の様子。その日のうちに485頭の保護動物たちに、新しい飼い主さんが現れたという。ブレーメンパークとは違い、そのまま当日犬たちをおうちに連れて帰れるようだが、それはさておきこの盛況ぶり、明るい雰囲気はとっても素敵! 日本でも目指すべき明るい譲渡会の姿として参考になる

◎INFORMATION

【国内最大級の大譲渡会 ブレーメンパーク 〜殺処分ゼロをめざして〜】
SEKAI NO OWARIと認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが、2016年に立ち上げた動物殺処分ゼロ支援プロジェクト「ブレーメン」の活動として初めて開催する大譲渡会イベント。ひとりでも多くの人に、ペットショップ以外の出会いの場があることや、日夜頑張っている各動物保護団体の活動を知ってもらい、1頭でも多くの保護動物たちに新しい家族を見つけることを目的として開催される。当日は37団体、保護動物は犬160頭以上、猫140頭以上が参加! 動物保護団体もそれぞれに特徴があり、譲渡の条件やルールが違うのだが、こんなに複数の団体が一堂に会していれば、自分の家族とマッチする保護動物や団体と出会える確率が増えるはず。保護犬ってどうなんだろう、迎えるのは大変かな、などの疑問がある人も、とにかくまず保護犬を知ることから始めてみよう。
※自分の犬を同伴することはできないのでご注意ください

主催:ブレーメンパーク2017実行委員会
構成組織:ブレーメン、ピースウィンズ・ジャパン、Do One Good、トレードショーオーガナイザーズ
日程:2017年11月19日(日)
時間:10:00 ~17:00
会場:幕張メッセ 4ホール(千葉市美浜区中瀬2-1)
入場料:入場無料
詳細はHPまで: http://www.bremen-park.com/

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