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2017.11.21

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ブレーメンパーク大成功レポート!

みんなの心に伝わった『Hey Ho』の想い。保護犬猫がぐんと身近になった!

去る11月19日(日)、幕張メッセ(千葉市美浜区)で開催された、日本でおそらく過去最大の大譲渡会・ブレーメンパークが、大盛会のもと終了した。SEKAI NO OWARIのみなさんも、各団体のみなさんも、「殺処分をゼロにしたい」という目指すゴールはみんな同じということがよくわかった感動的な1日。無事に幕を閉じ、そして新たな始まりとなったブレーメンパークの1日を報告する。

#Lifestyle

Author :写真=大浦真吾 文=白石かえ

みんながブレーメンの仲間

 開催前にも応援の記事を書いたが、ブレーメンパークは、SEKAI NO OWARI(以下、セカオワ)と認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパンが、2016年に立ち上げた動物殺処分ゼロ支援プロジェクト「ブレーメン」の活動のひとつ。ブレーメン・プロジェクトに寄付してくれた方々に、初めて目に見える形として提示できたのが、大譲渡会ブレーメンパークである。主催はブレーメンパーク2017実行委員会。構成組織はブレーメン、ピースウィンズ・ジャパン、Do One Good、トレードショーオーガナイザーズ。

 ちなみに「ブレーメンパーク」の名付け親は、セカオワのボーカルのFukaseさん。「譲渡会のような活動に関わるのは初めてで、どういうことが成功?どういうことが失敗?かもわからなくて。でも、とにかくみなさんが集まれる場所をつくれたら成功かなと思って"パーク"と名付けました」と、当日のトークセッションで語っている。

 セカオワが、チャリティ支援シングルとして2016年10月にリリースした「Hey Ho」の曲が、幕張メッセの第4ホールの中で小さめの音で心地よくヘビロテしている。実行委員会のスタッフも、参加保護団体のみなさんも、みんなブレーメンのシンボリックなイラストの入ったお揃いのTシャツを着ている。そして来場者の中にも、支援グッズとして発売された同じイラスト入りのトートバッグを肩に提げている人がたくさんいる。この会場で買った人もいるだろうし、これまでセカオワが行ったブレーメン・プロジェクトの支援ライブで購入した人かもしれない。とにかくブレーメンのマークを掲げた人が会場のあちこちにいて、すでになんとなく一体感がある。みんながブレーメン・プロジェクトのサポーターであり、応援者、参加者、当事者。いい雰囲気だ。

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「今日の主役は僕らじゃなくて、向こう側の保護動物たち」

 ただ、この記事を読んでくれている、普段から動物福祉に関心のある人から見たら「保護動物や殺処分問題に関心のない、セカオワ・ファンが集まってきただけなんじゃないの?」と思うかもしれない。事実、15時からのセカオワとピースウィンズ・ジャパンの大西純子さんとのトークセッションのための整理券が10時に配られることになり、行列ができていた。午後になるともう(犬猫たちのブースを見ないで)ステージを待つ長い行列ができていた。"みんな、ちゃんと見た? 各団体のブース、覗いた? 保護犬猫たちの姿を見た? 殺処分問題と背中合わせの、今の動物たちを取り巻く現状を感じた?"と、彼らに質問したくて仕方なかった。

 しかしトークセッションで、セカオワの4人がひとりずつ、丁寧に、心からの言葉で、このブレーメン・プロジェクトへの想いや、チャリティーライブの苦労や意気込み、これからもブレーメン・プロジェクトを継続したいという展望をファンたちの前で語ってくれた。

 たとえばチャリティーライブの苦労といえば、機材を多く運べばそれだけお金がかかるため、最小限の機材ですむように、アコースティック・アレンジに全曲変えたそうだ。これはさすがに大変だったらしい。そのかわり、通常のライブならトラック約40台で動くが、ブレーメンのライブならトラック1〜2台。その分だけ寄付にお金が回せるし、今まで行ったことのない街の小さめのホールでも演奏できる。「私たちがまだライブをしたことのない場所に行ってみたいね」。これからセカオワ流ブレーメン音楽隊が、いろいろな地方都市に現れるかもしれない。

 そして、これからも、来年も、ブレーメン・プロジェクトおよびブレーメンパークを継続したい気持ちが満々。「譲渡会や建物を造るなど、みんなの目に見える、カタチのあるもの、説得力のあるものをつくっていきたい」「今日この場で知ったことを、家族や周りの人にも話すとか定期的にやっていきたい」「毎年この季節がきたらブレーメンのライブをするなど、定期的にできたらいいね」などの展望を、ファンたちの前で語ってくれた。

 そして、最後にFukaseさんが言った言葉が、彼らの想いを集約していたと思う。

「今日はみなさん、ブレーメンパークに遊びに来てくれてありがとうございました。でも今日の主役は僕らじゃなくて、(会場の、保護動物のブースの方向を指して)向こう側。5時までやっていますから、みなさん立ち寄ってください」

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「誰かからのSOS」、きっとみんなに聞こえた!

 そのあと、トークセッションが終わったらサーッと帰ってしまう人たちもたしかにいたけれど、Fukaseさんが促したとおりに、ちゃんと本日の主役たちである保護動物のいるブースにもワイワイと人々が流れ始めた。セカオワのファンもきっといい人たちだ(セカオワの曲の繊細な歌詞が響く人たちなのだから、絶対そうだと思う)。またファン層は、若い女性が多いのかと思ったが、実際会場に来ていた人たちを見ると男女差はあまりなく、年齢層も幅広かった。今まで「保護犬」「殺処分」「動物保護団体」などの言葉を気に留めたことがなかった人たちであっても、このブレーメンパークに来た人はこの日、このワードを知った、そして心に残してくれただろう。その中で何割かの人たちが、実際にブースに立ち寄り、保護されている動物や活動する人と会い、言葉を交わした。すると、昨日まで他人事だったことが、ちょっと身近になる。明日からニュースでこのワードを聞いたら、少し気にかかる。そのことに大きな意味があると思う。

 Nakajinさん曰く「ブレーメンパークがずっと長く続いて、曲と紐付いて、いろいろな人に長く聴いてもらいたい」と考えて作ったという、支援シングルの「Hey Ho」(作詞 : Saori & Fukase 作曲 : Nakajin 編曲 : SEKAI NO OWARI)をお聴きいただきたい。

 ブレーメンパークに集った人には、「SOS」が聞こえたに違いない。そして、この嵐の中、船に乗り込む勇気を持ってくれたのではないだろうか。やっぱりセカオワの影響力は大きい。いろいろな人たちを巻き込んで、新しいムーヴメントが生まれることは素晴らしい前進だ。

リアルに会えば、いろいろなことを肌で感じられる

 東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、愛知、広島など、各地から集まっていた36団体(ほか協賛3団体)の動物愛護団体、動物福祉団体のみなさんにも「本当にお疲れ様でした」と心から言いたい。幕張メッセまで犬猫たちを連れての移動や準備は、大変なことだったと思う。

 都会であれば都会ならではの飼育放棄や多頭飼育崩壊の問題など、地方であれば地方ならではのブリーダー崩壊や猟犬の遺棄、野犬の問題など、殺処分されそうになる犬たちの背景には地域差がある(引越だとか、しつけをする努力や治療の義務を放棄するなどの理由は全国共通だが)。各団体がブレーメンパークに連れてきた犬たちを見れば、それぞれの団体の特色や地域性などがなんとなくわかる。たとえば、東京23区内の団体は、トイ・プードルやミニチュア・シュナウザー、デザイナー犬などと業者が勝手に名付けた1代雑種(チワプーやシー・ズーミックスほか)などペットショップでよく売られている小型犬が多い。広島や茨城の団体では、野犬の子が産んだか、屋外につないで飼っているのに避妊去勢という繁殖管理を飼い主が怠ったために産まれたであろう雑種の中型犬が多い。犬たちの姿を見れば、その背景にある、誰が捨てたのか、なぜ捨てられてしまったのか、そんな状況が薄く透けて見えてくる。それを肌で感じるのも重要なことだと思う。ネットの画面からではわからないことだ。

 そして、そうした犬猫を保護して毎日世話をしている団体のみなさんと直接会い、その活動ぶりを聞くと、頭が下がる思いもするし、また勇気をもらえるような気持ちにもなる。みんなすごい。みんな偉い。日本も捨てたもんじゃないな。いつか日本も殺処分ゼロにしたいよね。そのためには自分は何が手伝えるかな。次のコは保護犬猫を迎えようかな。......こんなことを、多くの人が心の中で思ったのではないだろうか。

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「誰かからのScream Of Silence(沈黙の叫び)」も聞こえた?

初めての冒険はドキドキ大変だけど、同じ理想の実現を目指して

 参加していたボーダーコリーレスキューネットワーク(BCRN)の山崎睦さんにお話しを聞くと、「いずれボーダー・コリーの里親になりたいという方の相談もあった。初めてのイベントで(準備等)わからないことも多かったけれど、やってみてから初めてわかることもありますね。ブレーメンパークはいつもの譲渡会とはちょっと違った客層で、真面目に考えている人が多く来ている印象だった。自分の犬を同伴できないのはどうかなぁと最初思ったけれど、そのおかげでゆっくりお話しをすることができたので、これはこれでよかったんだなと思いました。参加してよかったです」とのこと。

 やっぱり初めての大きな企画というのは冒険だ。前例がないだけに、意見のすり合わせも大変だし、準備も難航したと思うが、やってみて初めてわかる、いいこともいっぱいあっただろう(反省もあるだろうけど)。でもどの団体も「殺処分をゼロにしたい」という想いは同じ。そのためには保守的になりすぎないで、相手を否定していないで、新しいことにチャレンジする柔軟な思考、お互いの団体の多様性を認め合う寛容さが、ブレーメンパークを機にどんどん広まるとよいなぁと思う。そしてまた更なる挑戦をしてほしい。それが日本の動物福祉の前進であり、進化につながると信じる。Fukaseさんもトークセッションで語っていた。「誰かを否定するのではなく、すべての人の背中を押すプロジェクトにしたい。パークはみんなが集う場所。こういう気持ちを忘れずに進んでいきたい」

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DJ LOVEさんから「ブレーメンパーク総選挙グランプリ」で選ばれた、犬のユウちゃん(茨城県水戸市動物愛護)と猫の愛ちゃん(ねこひげハウス)に大きなロゼットリボンが贈られた

ネットお見合いでなく、直接会う重要性

 いろいろな立場の人が楽しく明るく集うブレーメンパークでは、直接団体さんとも動物とも会えるから、その場で相談、トライアル決定という運びにもなりやすく、話も早い。ただ各団体によってそれぞれ特色があり、譲渡条件や引き渡すまでの流れなどが違うので、その日にトライアルが決定できるかどうかは団体によるが(焦る必要はない。この先10年以上一緒にいられるのだから)、とにかくこれだけ複数の団体が揃っていれば、自分の年齢やライフスタイルでも譲ってもらえる団体に会えるチャンスは増える。これがブレーメンパークの大きな魅力のひとつだ。

 それにやっぱり、ネットの画面で見るより、本物の犬を見た方が、可愛さもわかるし、生意気なところ(笑)などもわかる。動きをみれば、やんちゃなコなのか、おっとりさんなのか、少しビビりさんなのか、なども見えてくる。さらにシェルターや一時預かりで普段お世話をしている人も会場に来ているから、性格面や生活面、体調面、トレーニング面などで注意することなどもいろいろ根掘り葉堀り聞くことができる(これが、とても大事だと思う)。よってあとから「こんなはずじゃなかった」というミスマッチも減るはず。つまり、譲渡後の生活がうまくいく確率がアップする。

 譲渡を受けたい人も、譲渡する団体さんもお互いが対等な立場で、お互いのことをなるべく知っておくこと、納得し合えることが、とても大事。そうして本物の幸せな出会いができるのがいちばんいい。譲渡会は「一般人と犬猫が出会う場所」と思われがちだけど、本当は違うのかもしれない。「一般人と、団体さんが連れてきた犬猫と出会う場所」。そんな心持ちで、団体さんのブースに敬意を持って行き、犬猫と面会させてもらうことが大切なのではないかと思った。

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ブレーメンパークを目指してくる人は「本気度」が違うのかもしれない

相談件数400件!トライアル128件!! みんなに幸あれ

 最後に、ブレーメンパークにきっちり成果があったことを報告しよう。来場者数は、3903名。そして気になる譲渡関連の数は以下のとおり。

【譲渡関連情報(参加動物:約340頭)】
●相談件数:400件
●トライアル決定:128件
===============================
内訳:犬
・相談件数:247件
・トライアル決定:45件
-------------------------------
内訳:猫
・相談件数:153件
・トライアル決定:83件
===============================
※事務局発表の速報値

 すごくないですか!! 参加している犬猫が340頭に対して、400頭分の相談があったなんて。すごい。この参加頭数よりも多い相談があった理由は、同じ1頭のコに対して、複数の相談があったからだそう。だから最終的な数字がどうなるかはまだわからないけれど、でも十分成果があったと言っていい。来場者数と比較すると、来場したうちの10%以上の人が相談をした計算になる。やはりブレーメンパークに集まった来場者は、通常の譲渡会よりも本気度が違ったのか。それとも複数の団体、おおぜいの動物が一堂に会していたので、納得のいく運命の出会いが多かったのか。いずれにせよ、素晴らしい結果だ。

 ちなみに「トライアル」とは、正式譲渡する前に、実際に一緒に暮らしてみて、犬猫と人間家族の相性はどうか、先住動物との相性はどうか、住環境に問題はないか、などをチェックする「飼養お試し期間」のようなもの。トライアルの期間やルールなどは各団体によって異なり、家庭訪問をしてからでないと、トライアルは決定できない団体もある。だから当日の段階では譲渡希望でも、この先トライアルにステップアップしていく犬猫も多いはず。よって今後トライアル件数はもっと増えるだろう。

 今回が1回目のブレーメンパーク。この先、継続して毎年秋に開催される、とか、もっと夢みたいなことを言えば春と秋に年2回開かれる、など定期開催されることが定着したら「今度は保護犬猫をもらおうと思っている」「じゃあ、秋のブレーメンパークに行こうか」と、予定を立てやすくなり、人が集まりやすくなり、結果たくさんの犬猫たちに本物の家族が見つかることにつながるのではないか。そんな幸せな妄想が膨らんでしまう。本当に今後も継続されるといいなと心から願う。

 と、同時に忘れてはならないことがもうひとつ。願うばっかりではいけない気もするのだ。各団体さんの仕事は、日曜日のブレーメンパークが終わった時点で完了ではない。今からトライアルをするため、譲渡候補者の選定を行ったり、おうちに出向いて家庭訪問したり、動物をお届けしたり、里親さんと動物との相性などをしっかり見極めたり、そして最終的には所有権移転の譲渡契約をきっちり結ぶなどの作業が、このあと山ほど待っている。イベントが終わった日は、単なる通過点。くわえて、ほかの犬猫の毎日のお世話もあるから、並行してトライアル&譲渡に関わる仕事が増えるわけだ。やっぱりすごく大変。だから私たちは、明るく華々しい活動だけでなく(それも大事。広報・啓発も大事。シェルターや一時預かりさんの元から巣立つ機会を広げることはとにかく大事。なのだが)、スポットライトを浴びていないが粛々と進められる活動のことも心に留めておきたい。そして自分でできる範囲のことでいいから、応援できることを参加してみたらもっといい。たとえば、団体さんが近所ならお散歩ボランティアをするとか、乳飲み子(とくに子猫)の世話の経験者なら「ミルクボランティア」をするとか(とても足りないそうです)、譲渡会で店番をするとか(笑)、寄付をするとか、自分もできることはないか考えてみたい。

 そう考えると「誰かからのSOS」は、動物から発せられるものだけじゃないのかも。本当は、団体さんも「SOS!」と叫びたいときもあるのではないか。その声を聞こえないふりしないで、みんなで勇気をだして、嵐の中でも船に乗り込もう。「Hey Ho」を口ずさみながら。きっと日本も変われる。変わっていこう。そんな気持ちにさせてくれる、いろいろなことを考えるきっかけを与えてくれた素晴らしいブレーメンパーク。ありがとう。関係者のみなさま、本当にお疲れ様でした。そして、申込み相談中およびトライアル中の犬猫が、今から本決定になり、終の棲家に迎えられますように。みんな幸せになりますように。心からお祈りしています。

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閉幕後に参加団体、実行委員会(セカオワの4人も!)、みんなで記念撮影。いろいろな個性のある団体同士が集まって、ひとつの大成功を収めた。感動した(写真提供=ブレーメンパーク2017事務局)

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