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2017.11.20

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.4

飼い主になる

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。人間の友と言われる犬たち。その愛すべき毛むくじゃらたちと暮らす心構えはできていますか?

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

犬ってなぁに?

 今さらそんなことを聞くまでもないと思われるでしょうが、どうもまだまだ広く、正しく認知、理解されていないような気がして改めて書いてみることにしました。

 犬は動物です。当然ですね。そして命あるものは大切にしなければいけません。もちろん、家畜や野生動物だって広義的には同じですが、人間の身近にいて、食・住を共にするパートナー(友)としての犬たちは他の動物たちと比べると、少し立ち位置が違うと私は思っています。

 人間同士であっても、一緒に暮らすと決めたら相手のことを良く知りたいとは思いませんか?逆に全く知らなかったらちょっと怖いですよね。
 一緒に暮らし始めてからお互い理解しても、遅くないとは言わないでください。なぜなら犬たちの生涯は人間と比べて格段と短く、暮らし始めてから知ろうとしていると意思の疎通ができないままにお互いの関係が崩れてしまう可能性を多分に含んでいるからです。

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犬を見ると興奮する犬がいます。理由は遊びたいから?それとも怖いから?

 例をあげると、「家族を噛むようになったからもう飼えない」。人間は一方的に関係を解消することができますが、犬は飼い主を選べないのです。
 なんで噛むようになってしまったんだろう。と飼い主があわてて原因を突き止めたとしても、一度人に噛みつくことを覚えてしまった犬が完全にその習慣を忘れるには、人間が並々ならない努力をしなくてはいけないでしょう。それだけの労力と時間、場合によってはリハビリのアドバイスをプロから受ける費用などを犬のためにかけられるでしょうか。
 そもそも、犬は噛む動物だということを忘れてはいませんか?

 人が母になるとき、お母さんは妊娠期間中に行政の保健センターなどで行われる健康チェックだけでなく、母親になるための教室に参加することができます。そこでは赤ちゃんのこと、子育てのことなど多くの情報を得ることができます。身近にご家族や良き先輩がいない環境で初めてお母さんになる人には心強いことですよね。

 犬を迎えることも同じではないでしょうか。新しい家族を迎えるのに、お店を覗いてかわいかったからすぐ連れて帰ってきてしまったというのでは、ハードルが高すぎて、お互いを理解する前にイライラやストレスが溜まってしまうのではないでしょうか。
 迎えた後一生懸命勉強するのであれば間に合うかもしれませんが、犬にとっては迎えたその日からが勉強です。犬同士の会話が通じない人間と暮らす新しい生活を犬にわかりやすく伝えるために、犬のことをきちんと勉強することは犬にとっても人にとっても決してマイナスにはならないはずです。

 犬はご飯を食べます。
 犬は排泄します。
 犬は吠えます。
 犬は噛みます。
 犬は走ります。
 犬は跳ねます。
 犬は跳び越えます。

 個々の犬種によって特性は違います。そんな当たり前のようなことも、知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
 迎え入れてから慌てないで済むように、家族に迎えたいと考えた時から、「毛むくじゃらでぬいぐるみみたいにかわいい」だけでなく、「犬ってどんな生き物なんだろう」と、改めて勉強するところから犬との暮らしを実現してみませんか?

起こりうることを想定する

 犬を迎える前の準備は必要な物を揃えるだけでなく、犬が成長していく過程で経験するであろうさまざまなことを想定しなくてはいけません。

 獣医に行く。
 散歩する。
 他の犬と出会う。
 さまざまな人間と接触する。
 車に乗る。
 電車に乗る。
 公園に行く。
 ドッグランに行く。

 などなど、愛犬には多くの環境変化が待っています。家ネコと違い、家に来てから死ぬまで一歩も家の外に出ない一般家庭の犬はおそらくいないはずです。たとえ外に繋がれたままで一生を終えるとしても、外にはさまざまな環境刺激があります。それらを自然に受け入れられるようにするには、どうすればいいのかを勉強するのは犬ではなく、飼い主です。

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愛犬と旅行に行きたい。あなたの愛犬、車は大丈夫?

 獣医に行けば当然体を触られます。注射をされたり、場合によっては入院したりすることもあるでしょう。知らない人に体を触られるのは誰だってあまり気持ちのいいものではありませんが、犬たちがそれを自然に受け入れられるようにするには、どんな準備をしておけばいいのか。
 毛が抜けない犬種は家も汚れにくいですが、定期的にトリミングに連れて行かなければなりません。放っておいてはお気に入りの状態を保つことはできないのです。じっとしていなければいけないカットされている間のストレスを、どうすれば軽減させてあげられるのか。
 外を歩けばさまざまなものと遭遇します。その都度びっくりさせないためには、どんなことを練習したり経験させたりしてあげればいいのか。
 そんなことを想定しながら犬と暮らし始めるのと、全く知らないのでは犬の一生は全然違うものになるでしょう。

犬を知っている飼い主になろう

 残念ながら、日本には犬を飼おうと思っている人たちや、畜犬登録を済ませた新しい飼い主さんに安価で情報を提供するしくみが公的には無いようです。
 自治体によっては「しつけ教室」なるものを月に一回程度開いているようですが、必要なのは「しつけ教室」だけでなく、「犬を知る講習会」や「飼い主勉強会」ではないでしょうか。
 犬を飼い始める前には犬についての講習を数時間受けなくてはいけないとか、犬を飼ったら一度は勉強会に顔を出さなくてはいけないといった、半強制的な仕組みがあれば誰でも足を運ぶようになるはずです。

 良心的なブリーダーさんは子犬たちの新しい家族に、惜しみなくその犬種の特性やその個体の情報、その後のトレーニングの方法や、困った時のサポートに力を注いでくれます。なぜなら、我が子のようにかわいがっている犬たちの子どもだから、孫も同然なのです。手放したらそれで終わりではありません。
 私自身もそうでした。10年以上犬を飼っていましたが、新たな犬種を迎えた時はブリーダーさんにとてもお世話になりました。その犬種の特性を一番知っているのがブリーダーさんだからです。

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ブリーダーさんの中にはファミリー会を開いて、飼い主同士の親睦を深める場を提供してくれるところもあります

 ブリーダーさんから入手しなかったとしても、愛犬のことを勉強するすべはたくさんあります。同じ犬種を飼っている先輩飼い主さんに教えてもらったり、身近にいない時はネットを駆使して、犬種ごとのオフ会に参加したりすることも一つの方法です。ただ犬同士で遊ばせるだけでなく、犬の特性などさまざまな情報を入手する絶好のチャンスです。

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同犬種が集まるオフ会は意見交換の絶好の場

おわりに

 犬たちを擬人化する必要はありませんが、犬の目線で周りを見回してみると、今まで気づかなかったことが見えてくるものです。すると、「噛む」原因や「吠える」理由がだんだんわかってくるようになります。「噛む」ことや「吠える」ことは犬にとっては自然なことであっても、人間の社会の中では「問題行動」と言われてしまいます。そういった理由で、犬が飼い主の傍を離れなくてはいけないことは悲しいことですし、そういうことを無くしていかない限り、遺棄される犬たちの数を減らすことはできないのではないでしょうか。
 そうならないために、飼い主がもっと愛犬の気持ちや行動をわかろうと勉強することで、人間にとって問題と言われる行動を予防することもできます。
 どんなに「殺処分ゼロ」と声をあげても、遺棄された犬たちを助けるだけでなく、遺棄されないような仕組みもつくらなければ、「殺処分ゼロ」の陰で大変な思いをしている飼い主さんの数は減らないかもしれません。

 愛犬にとって心地よい環境が提供できるように犬のことを少し勉強して、胸を張って「この犬の飼い主です」と言えるようになってみませんか。それは犬だけでなく、飼い主のストレスも軽減することにもつながるので一石二鳥ですよ。

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●HP:http://wanbywan.com/
*Facebookページもぜひチェックを♪
●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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