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2017.11.06

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トレーナー直伝!愛犬との暮らしに役立つワンポイントアドバイス vol.3

ドッグランって何をするところ?

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。今回は犬たちが街中で唯一ノーリードになれる場所、ドッグランついてお話したいと思います。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

ドッグランってどんなところ?

 私が子どもの頃は東京23区内であっても、「野良犬」と呼ばれる飼い主のいない犬たちを街中で見かけることがありました。小学生の頃には社宅の敷地内に迷い込んだ野良犬を縁の下で飼い、近所の友達と親に内緒で食パンを運んでいたこともあります。また、農家で飼われている犬たちが、自由に私有地内外を行き来する「放し飼い」状態であったり、郊外に行けば、犬だけで散歩しているという光景もあったり、それによるさまざまなトラブルも起きていました。犬が苦手な人でなくても、道端で知らない犬に遭遇したら気を付けようと思ったであろうことは容易に想像できます。

 あれから数十年、犬の飼育者は当時と比べれば格段に増えましたが、行政による管理が徹底され、いわゆる「放し飼い」はかなり減っています。反面犬たちにとって自由に動ける場所が無くなってしまったのも事実です。
 公園などでもリードが外せない状況になり、各地にドッグランができ始めました。犬を自由にさせられる最高の場所として足を運ばれた人も多かったのではないでしょうか。ただ、ドッグランの作り方によっては、犬のことを全く考えていない設備であったり、スペース的に「ドッグランというよりドッグウォークでしょう」というような場所もあったり、すべてが犬にとって快適な環境とは言えないようです。

 また、日ごろのストレス解消にと、他の犬との関わり方を知らない犬や、マナーができていない犬など、さまざまなタイプの犬を同じ囲いのなかに十把一絡げで入れることで多くのトラブルをよく見聞きします。素性もよくわからない犬たちが走り回っている過密な場所に、初めて愛犬を入れるのはかなりの勇気が必要ですね。

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制動性がいい犬が走り回るにはちょっと足元が不安なドッグラン。

 今ではドッグランもさまざまで、かなり広いスペースを取っていたり、犬のサイズによって分けられていたりしますが、犬の気質はサイズでは分けられません。小さくても中型犬以上に気の強いタイプや、走り回っている犬を獲物として狩ってしまうタイプなど、犬種によっても犬の特性はさまざまです。すべての犬たちが仲良く遊べるとは限りません。我が家の犬たちも、大型の猟犬に狩られたり、小型のテリアに噛まれそうになったりと、あまり良い経験をしていません。

 また、犬の遊び方もさまざまです。寝転がってプロレスするタイプ、追いかけっこを楽しむタイプ、相手によって遊び方を変えるコもいます。いずれにしても犬にも個体差があるので、「犬は皆同じだ」という考え方はまったく通用しません。が、しかし、犬に関する知識の少ない人にとって犬は全部同じに見えるようで、公園の中をリードを付けて散歩しているだけなのに、「ドッグランができたのだから、犬はみんなそこに連れて行け」と嫌味を言われたこともありました。でも犬はみんな違うんです。ドッグランが楽しいと感じる犬もいれば、負担になる犬もいることを覚えておかなくてはいけませんね。

ドッグランに何を求めるのか。

 愛犬が自由に走り回ったり、他の犬と楽しそうに遊んだりする様子を見たいと思う飼い主はたくさんいるでしょう。親心のようなものですね。しかし親心であれば子どもの安全確認は、何をおいても考えなくてはいけません。
 そのためにはまずドッグランに入る前に、中の様子を確認することが必要です。どんな犬たちがどんな遊び方をしているのか。自分の犬はよその犬に対してどんな感情を持っているのか。愛犬と外から様子を見て、愛犬が入りたそうにしているかどうかを見極めることも必要ではないでしょうか。「犬同士だからうまくやれるはず」と言うのも一部は合っていますが、そうではないこともあるということを念頭においておかなくてはいけません。

 ドッグランで「愛犬とボール遊びをしたい」と思っていても、おもちゃの使用ができないところもあります。また使用できても、ボールを投げた途端に他の犬たちと取り合いになって、愛犬と遊ぶという本来の夢がかなわないこともあるでしょう。

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ボール遊びが大好きな犬たちと思いきり遊ぶには、ドッグランのような場所でないと難しいですね

 犬は元来目的が無ければひとりで走り回ることはほとんどありません。「何かを追いかける」や「何かが追いかけてくる」という状況になって初めて犬たちは走りはじめます。つまり愛犬のお気に入りのおもちゃを持たず、他の犬も誰もいないドッグランに入った場合、愛犬を走らせようと思えば飼い主が走ることを余儀なくされるでしょう。それはそれで愛犬との楽しい時間を過ごすにはとてもいい環境だと言えるかもしれません。そうそう、愛犬と追いかけっこを楽しむときは、くれぐれも追う側にならないようにしましょう。追われる楽しさを覚えてしまうと、呼んでもなかなか戻ってくれなくなってしまいます。

 そもそも愛犬をドッグランに連れて行く理由はなんでしょう。リードを離してやりたいから?他の犬と遊ばせてやりたいから?

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広くて足場が安全なドッグランは愛犬の走る姿をずっと見ていたい気分にさせられます

 ある程度の広さが確保できて、地面も犬に優しい素材であったなら、飼い主の夢はかなうでしょう。好きなところの匂いを嗅ぎながら散策したり、気の合った犬がいれば一緒に遊んだり。犬にとって犬同士の会話は必要なので、リードが張られた状態ではないフリーの環境で、お互いのボディーランゲージを読みながら会話すること自体は理想的だと思います。先日も子犬が我が家の若犬の後ろをしつこく付きまとったり、首に飛びかかったりして2回ほど一喝されていました。それでもその子犬はなぜか若犬のことが気に入ったらしく、その後も傍に来ましたが、最後はしつこくするのではなく、自分からお腹を出して愛想を振りまいていました。しつこくすると怒られる場合があるということを学んだのでしょう。

 しかし狭いドッグランであれば密度が高まり、お互いのパーソナルスペースが確保できなくなって小競り合いなどが起こる確率も高くなるので注意が必要です。
 また、犬同士の会話が成立しない場合は、人間の介入が必要になることもあります。愛犬を守れるのは飼い主だけですから、愛犬の様子を常にチェックしていることが必要になります。犬友同士の会話に夢中になっていると、思わぬトラブルに巻き込まれないとも限りません。人間の保育園と一緒ですね。どの犬の飼い主が誰なのかを見極めておくことも必要でしょう。場合によって、犬だけドッグランに入れ、飼い主はどこかに遊びに行ってしまっているという、信じられないような状況があることも耳にしています。

ドッグランの活用方法

 どちらかというとドッグランのマイナスイメージばかりを書き連ねてしまったように見えますが、ドッグランも広々として環境が整っていれば、ぜひ愛犬たちの自由に走り回る姿を堪能してください。そしてもうひとつやって欲しいのが、リードが放れた状態での愛犬とのコミュニケーションです。
 前回リードについてお話ししたとき、リードが付いていない状態での練習も不可欠だと書きました。多くの環境刺激にさらされ、常にリードに繋がれている状態の都会の犬たちは特にドッグランというスペースを効果的に活用してほしいと思います。

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離れたところに他の犬はいるのですが、「マテ」の練習

 リードが無くても一緒に歩いたり、呼び戻しの練習をしたりするには周囲をフェンスで囲まれたドッグランは絶好の場所です。犬たちのガス抜きだけに使うのはもったいないですね。リードが付いている状態で呼び戻しがほぼ完璧になってきたら、今度はリードが付いていなくても、楽しそうに遊んでいる他の犬を横目で見ている愛犬を呼び戻してみたり、ボールを追いかけている犬がいる中でフセをして待つ練習など、愛犬のために経験値を高めてあげてください。ドッグランは、とてもいいディストラクションがたくさんある場所です。上手にできたらたくさん褒めて、よその犬より飼い主が一番と思ってもらえるくらいに魅力的な飼い主になりましょう。家の中では、犬は飼い主の関心を引こうといつもさまざまなチャレンジをしてくるくらいですから、外でも飼い主と何かすることが楽しいとわかれば、飼い主の声も耳に入りやすくなります。

 ドッグランの中でも名前を呼ばれればすぐに飼い主の元に戻れるようなマナーのいい犬たちが増えると、ドッグランのイメージアップにつながるかもしれません。同時に犬の地位も少しずつ認められていくでしょう。都内には、犬が公園に立ち入ることすらできない行政区もあって、犬の立場はまだまだ低いままです。

 愛犬とのコミュニケーションアップも兼ねて、ドッグランを効果的に利用してみませんか?

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。
●ブログ: Dance with Dogs
●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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