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2017.11.15

実は大切な、犬を「預ける」練習<後編>

ペットホテルでストレスなく過ごさせるためには?

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

愛犬をペットホテルなどに預けるとき、できるだけストレスを減らすためにできることとは? 前編では、愛犬を預けることが必ずしも悪いことではない理由や、愛犬に適した預け先の探し方について、解説しました。それでは、実際に預けられることにスムーズに慣れさせるためには、飼い主としてどんなことができるのでしょうか。前編に続いて、東京大学の特任助教・荒田明香先生に聞きました。

写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#しつけ / #健康

「慣らす」ことが逆効果になることも

 身内の不幸や飼い主の入院、避けられない出張、犬自身の入院、大災害など、愛犬を預けざるを得ない事態を想定して、預けられる状況に慣らしておいたほうがいいことは、前編で解説した。それでは、とにかく何度も預けていれば、愛犬はそこに預けられることに慣れるのだろうか。

「慣らすためだからと、愛犬の苦手な場所にむやみに何度も預けることは、かえって逆効果になることもあります。ポイントは、預け先で、嫌な思いよりもいい思いを多くさせること。それには、預け先でもできるだけ平常時に近い状況を作るとともに、愛犬の好きなことや苦手なことを伝えて協力してもらうことが大切です」
 平常時に近い状況を作るために最も簡単にできるのは、預け先に普段使っているものを持っていくこと。カラー&リードや日数分のご飯はもちろん、いつも寝ているベッドやクレート、毛布などのにおいのついたものを持っていくと、いつもと違う場所でも安心しやすい。また、与えたことのある好きなオヤツやオモチャを持っていって、いいイメージをつけさせるのも有効だ。

 もう一つポイントになるのが、愛犬の年齢だという。
「4カ月未満の子犬なら、警戒心が少なく、これまでの嫌な経験もないので、ゼロスタートからプラスに向かいやすいです。ところが成犬になると、いつもと違うことへの不安が高かったり、過去に似たような嫌な経験があったりすることで、マイナススタートになります。マイナスのものをプラスに転じるのはなかなか難しいので、もしも愛犬がまだ子犬なのであれば、社会化の一環として、自宅以外の場所で過ごすことにも慣れさせておくことをおすすめします」

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預け先に伝えるべきことは?

 実際に預けるときには、預け先にどんなことを伝えておけばいいのだろうか。以下に、愛犬の情報をまとめるための、インフォメーションシートの例を掲載する。事前に記入しておいて、預けるときに活用してほしい。

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 上記の中でも忘れがちなのが、「愛犬の好きなこと」の項目。好きなことを伝えておき、それを参考に預け先で愛犬にいい思いをさせてもらうことができるので、「苦手なこと」とあわせて必ず伝えておきたい情報だ。
 実際にこういったインフォメーションシートにまとめてみることは、愛犬を観察し、理解するためのいい機会にもなる。また、前編で預け先の選び方を紹介したが、このインフォメーションシートを記入することによって、愛犬に合う預け先もはっきりしてくるだろう。

いざ預けるときために、今からしておきたいトレーニング

 預け先でのストレスを軽減するためには、預けたときの状況を想定して、普段からその状況に慣れさせる練習をしておくといい。具体的にしておきたいトレーニングは、例えば以下のようなことだ。

①他の犬に慣らす
 病院やペットホテルなど、ほとんどの預け先では仕切られていたとしても他の犬もいることが多く、他の犬が苦手だと吠え声や存在自体さえもストレスになりやすい。他の犬と遊べるようになる必要はないが、その存在をいちいち気にせず、嫌なら接しないという冷静さを保てるといい(具体的な慣らし方はこちらで少し紹介している)。

②クレートトレーニング
 私たちが「いつもの枕があれば寝られる」というのと同じで、クレートに入ることで安心できるようになれば、どこに行っても落ち着かせやすく、ストレス少なく過ごさせることができる。クレートトレーニングにはさまざまな方法があるが、"扉を閉めて閉じ込められる"ということに抵抗がある犬が多いようだ。まずは、扉が開いたままの状態で自ら中に入って休むようになることを目標に、普段愛犬が寝ている時に使っているマットや毛布などをクレート内に入れるところから始めてみるとよいだろう。

③いつもと違う場所で、他人から食べ物をもらう
 いつもと違う場所で、しかも他の人からご飯をもらうとなると、食べられない犬もいる。愛犬は場所・人が変わった場合に食べられるかどうか、試してみよう。いつもと違う場所で食べなさそうな場合は家の中から始めてみる、他の人からご飯をもらうのが苦手そうな場合は知っている人から始める、大好きなオヤツから練習するなど、ハードルの低いところから慣らしていこう。

④試しに短時間預けてみる
 預け先が普段利用しているトリミングサロンやトレーナーのところならいいが、初めて預けるところの場合は特に、いきなり何泊もさせるのではなく、まずは日帰りで数時間預けることから始めてみよう。預け先に慣らすとともに、相性を見ることもできるだろう。

 上記の4つはいずれも、預けるときに限らず練習しておくといいことばかりなので、挑戦してみることをおすすめする。

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 以上、愛犬をどこかに預けることについて、前後編にわたって見てきた。「預ける」というとついネガティブなイメージを抱きがちだが、預け先に慣れることとは、愛犬の好きな場所が増えることでもある。いざというときのためにも、愛犬の幸福度を上げるためにも、この機会に「預ける」ことにぜひ挑戦してみてほしい。




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