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2017.10.05

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オーストラリアの犬事情 vol.1

「犬」がもっと身近な、日常を手に入れるために

オーストラリアはいよいよ夏である。今回は、オーストラリアの犬事情と題して、犬とバーベキューについて書いてみよう。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=五十嵐廣幸

夏時間の過ごし方

 この原稿は10月1日の日曜日に書いている。

 私が住んでいるメルボルンでは、今日からデイライトセービングが始まった。日本ではサマータイム(夏時間)という方がわかりやすいだろう。オーストラリアでは、シドニーのあるニューサウスウェールズ州、全豪テニスで有名なメルボルンのあるビクトリア州、絶滅してしまったと言われているタスマニアン・タイガーのふるさとタスマニア州などの5つの州で夏時間が適用され、時計の針を一時間進める。ゴールドコースト、ダーウィン、パースなどがある3つの州では、デイライトセービングは適用されない。

 東京の夏至の「日中」の長さ14時間35分と比べると「メルボルンの日中」は、14時間47分とさほど変わらないが、日没の時間が遅いことがサマータイム適用の大きなポイントだ。今年の一番長い日中は2017年12月22日で、日の出は5時54分、日の入りが20時42分となっている。実際は21時過ぎまで明るいだろう。ここメルボルンも日本同様、冬には17時前後に日没になってしまうが、夏は日中を長く楽しめて、飼い主にとっても有意義に時間が使えてありがたいのだ。

 仕事が終わり19時頃に帰宅しても、犬の散歩で明るい場所を2時間歩けるというのは「海外生活」ではとても安心なことでもある。土日などの休日でなくても「仕事終わり」に、犬とビーチを歩いたり、川で犬と泳いだり、公園の芝生の上で、犬や家族と過ごせる時間は「夏を楽しむ」そのものともいえる。

夕食は犬と一緒にバーベキューを

 犬のオフリードが許されている公園にも、バーベキュー施設、テーブル、トイレ、子どもの遊び場などが併設されている。夕飯でバーベキューを楽しみながら、エネルギーの余っている子どもや犬との遊びを公園で楽しむファミリーを多く見かける。

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この四角いのがバーベキューグリル

 メルボルンのバーベキューはバービーと呼ばれ、その施設は誰もが気軽に無料で利用できる。もちろん予約なんていらない。オーストラリアでバービーは特別なものではなく、あくまでも日常。暑い日に「家で夕飯の支度なんてなんてイヤね。公園でバービーしましょう!」という感じで、肉や野菜を公園に持っていく。公園施設内にある多くのバーベキューグリルはボタンを押すと電気のスイッチが入り、IHクッキングで熱せられた鉄板の上で調理するのがオーストラリアン・バービーだ。電源はある一定の時間を過ぎると切れ、使用後は各自軽く鉄板を掃除することになっているが、毎朝自治体がバービー施設を見回り、点検と清掃も行ってくれている。

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プレート下にある黒い文字盤の横にあるボタンを押すと熱せられる

 日本のバーベキューは炭を使うことが多いだろうが、ここオーストラリアでは野外の多くの場所で直火が禁止されている。これは山火事で森林や家屋が焼かれてしまうことを防ぐことを意味している。2008年に起きた山火事「ブラックサタデー」では約4,500km2が消失(東京都面積は2,188km2)。173名の方が亡くなり、100万頭以上もの野生動物の命を失った大惨事で、オーストラリアは大きなショックを受けた。コアラにペットボトルの水を与える、消防隊員の写真を見た方もいることだろう。

BBQの美味しい匂いに犬が飛び込まないために

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中央の歩道を挟んで左側がオフリードエリア、右側がBBQやプレイグラウンドでオンリードエリアだ

 この写真は、私もよく行くオフリードが可能な公園で、人も犬も楽しめる。公園面積は東京ドームの約14倍の広さがあり、犬はここを自由に走り回ることができる。この公園にもバーベキュー施設、子どものプレイグランドがあるのだが、それらの施設付近では必ず犬にリードをつけなければならない。それに違反すると、約2万円の罰金が科せられる。上の写真でわかると思うが、バーベキュー施設とオフリードエリアの間にフェンスなどはない。また、公園と一般車両が走る道路にも柵はあるが、どんなサイズの犬でも簡単にくぐり抜けられるだろう。オンリードの通知は「Dog Must on leash」もしくは「On Lead area(リーシュが必要)」と杭に示されているだけだ。

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 私はこれが、オーストラリアでの犬生活で最も基本となっている大事なところではないかと感じる。つまり犬は人間と壁やフェンスといった隔たりがなくても、犬も人も普段通り行動できることが求められているように思う。犬は人に飛びつくことのないようトレーニングする必要があること、バーベキューの肉を盗み食いしないように、飼い主はしっかりと犬を見ていることが「犬と飼い主に求められている行動」だと、公園を通じて感じることができる。オーストラリアの公園を目一杯楽しむには、犬と飼い主のトレーニングはもちろんのこと、フェンスや大きな看板での指示がなくても、必要な時にはリード着用し犬をコントロールする「飼い主の自主性」が求められているように思うのだ。

 日本では限られた職種の人、もしくは決められた場所以外で犬をオフリードにすることが許されていないと思う。その反面なのか、ドッグランのような「犬と飼い主のためだけにある場所」は飼い主が持つべき自主性が失われがちだ。フェンスで囲まれて犬がどこにもいかないから、小さい子どもが遊んでいないから、ピクニックをしている人がいないからという飼い主の安心感から、犬が起こしてしまうトラブルなどを未然に防ぐことができないケースも多いことだろう。もちろんオーストラリアでも、呼んでも犬を戻らせることができない飼い主もいる。バーベキューの匂いに引き寄せられてしまい、ロケットのように突っ込んでいく犬もいる。犬が散歩中のご婦人を倒してしまい、その結果90万円ほどの罰金、裁判費用を飼い主が払い、犬は永久にマヅルをつけてのオンリードの散歩を裁判所から命令されたケースもある。

・フェンスが無かったから入ってしまった
・犬の行動に気がつかなかった
・犬が指示を聞かなかったから
・ボールに夢中になったから

 いかなる理由があっても犬が人に危害を加えたり、脅かしたりしてはいけないという当たり前のことが、一部の飼い主は自分の未熟さに甘えて言い訳をしてしまう場合も見られる。

 犬が人と同じ場所を思いっきり走り回れること。ビーチや川でリードなしの犬が自由に歩き回れること。飼い主と犬が一緒に芝生の上で仕事終わりに夕飯を食べながら過ごせること。犬が「特別な扱い」にならない日常、環境を、いつかこの日本でも手に入れられる日がくるといいなと心から思う。

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◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。

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