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2017.10.18

知っておきたい犬のストレス<前編>

愛犬のストレス度に気付いていますか?

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

愛犬は一体どんなことをストレスと感じているのでしょうか。散歩に連れていってもらえないこと? 苦手な犬や人と会うこと? それとも、ドッグカフェに連れて行かれること? 日常生活で愛犬にストレスを溜めさせないために、まずストレスとはどんなものかを知っておきましょう。東京大学の特任助教・荒田明香先生にお話を聞きました。2回に分けてお送りします。

写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#健康

まずは愛犬のストレス度をチェック!

 犬のストレスについて知る前に、まずあなたの愛犬はストレスを溜めてしまっていないか、確認してみよう。以下の項目の中に当てはまるものがないか、チェックしてみてほしい。

□落ち着きがなく、じっとしていられない
□いろいろなものを怖がる
□熟睡できておらず、すぐに起きてしまう
□食欲がない
□頻繁に下痢や嘔吐をする
□自分の前足をしつこくなめている
□物音などに過敏に反応してすぐ吠える
□よく物を破壊する
□シッポを追いかけて回ることがある
□人を噛もうとするなど、攻撃的な行動をとることがある

 ここにあげた項目は、ストレスに対処するために、あるいはストレスが溜まっているときに犬が出すサインの一例だ。これらの行動を複数示す場合、あるいは一つであっても頻繁に示す場合は、愛犬にストレスが溜まっている可能性がある。この記事を読んで、普段の愛犬への接し方や、愛犬の行動を、もう一度振り返ってみてほしい。

ストレスには、いいストレスと悪いストレスがある

 日常的に使われる機会の多い、「ストレス」という言葉。それでは、ストレスとは一体何だろうか。
「少し難しい表現になりますが、ストレスとは、刺激により生体の恒常性が乱されたことに対する、生体の反応全般を指します。この"刺激"はストレッサーと呼ばれ、暑さ寒さ、運動、体の痛みやかゆみ、薬物などの身体的ストレッサーと、他の犬や人との関係性、大きな音や怖い経験などの精神的ストレッサーが含まれます。つまり、犬でも人間でも、ストレスのない状態というのは、通常はあり得ないのです」 と荒田先生は話す。

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 日本語では、「ストレス」は悪いものとして扱われることが多いが、英語ではストレス(stress)というと単に「圧力」のことを指し、悪いストレスはディストレス(distress)、いいストレスはユーストレス(eustress)と言い分けられている。実際、適度な運動は体にいいが、やりすぎはかえって体に悪いのと同じように、対応しきれる程度の刺激はいいストレスとなり、過剰な刺激は悪いストレスになり得る。必ずしも、ストレス全般が悪というわけではないのだ。

「理解しておきたいのは、ストレスのいい悪いは犬自身の主観でしかなく、犬によっても、そのときの気分によっても変わるということです。例えば散歩一つを例にとっても、散歩の好きなコにとって散歩はいいストレスでしょうし、散歩の嫌いなコにとっては悪いストレスかもしれません。また、いくら散歩が好きなコでも、ぐったり疲れているときに散歩に連れて行かれることは、悪いストレスにもなり得るのです」

 つまり、犬にとってよいストレスになること、悪いストレスになることを、一概に決めつけることはできない。愛犬に悪いストレスがかかっていないかどうかは、その都度、犬側のボディランゲージで見極める必要がある(ボディランゲージによるストレスサインの見極め方はボディランゲージの記事参照)。

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飼い主が愛犬のストレス要因に気づかないことも

 それでは、犬にとって悪いストレスとなりやすい状況について、具体的に見ていこう(特記しない限り、ここからはストレス=「悪いストレス」という意味で使う)。
 犬にとってストレスとなり得るのは、恐怖や不安、不満などの感情を引き起こす、不快な刺激。この不快な刺激とは、以下のアニマルウェルフェア(動物福祉)にかかわる「5つの自由」に反する状況と考えられる。

(1)飢えと渇きからの自由
(2)不快からの自由
(3)痛み、けが、病気からの自由
(4)正常行動を発現する自由
(5)恐怖と苦悩からの自由

 例えば、雷などの大きな音や、苦手な人や犬、高所など怖い場所に行かされることなどの一時的なストレスだけでなく、皮膚炎によるかゆみや、長期間にわたるネグレクトなどの慢性的に続くストレスもある。これらはわかりやすい例だ。

 「5つの自由」のうち、特に勘違いして反する状況を作ってしまいがちなのが、(4)と(5)だという。
「『正常行動を発現する自由』とは、散歩に連れていったり、一緒に遊んだり、匂い嗅ぎをさせたりなどによって、生得的な行動を発現する機会を与えることを指します。ところが、例えば『散歩は運動のため』と思い込んで匂い嗅ぎをさせていなかったり、『犬はみんな散歩が好きだ』と思って怖がっているのに無理やり連れ回したり、といった勘違いによって、逆に愛犬にストレスを与えてしまっているケースもあります。
 また、『恐怖と苦悩からの自由』にしても、例えば愛犬が嫌がっているのに毎日無理やり歯磨きをしたり、他の犬が怖いのにドッグカフェに連れて行ったりなど、愛犬がギリギリ我慢しているのにストレスサインに気づかず、嫌がることを強要してストレスを与えてしまう、なんてこともあります」

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 そもそも愛犬が何をストレスと感じているのかに気づかず、ストレスを溜めさせ続けてしまうと、冒頭のようなサインが表れる状態につながることもある。愛犬のストレスを軽減するためには、まずストレスとは何か、何が愛犬にとってストレスなのかを理解することが大切だ。

>>後編では、愛犬にストレスを溜めさせないためにできることについて、荒田先生のお話をもとに解説します!




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