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2017.09.05

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知られざるドッグダンスというスポーツを覗いてみよう vol.3

ドッグダンスは、犬にも人にもメリット満載!

こんにちは。ドッグトレーニングインストラクターの三井です。ダンスとトレーニングの関係性など、より深くドッグダンスを知っていただくための情報をお届けした前回。今回は、そんなドッグダンスの魅力やメリットなどをお伝えしていきます。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=三井 惇

ドッグダンスで体のバランスアップ

 散歩のときあなたの愛犬はあなたのどちら側を歩いていますか?
いわゆるしつけやマナー教室などに一度でも通ったことがある人はおそらく左側に犬が来るようにしているのではないでしょうか。「なぜ左側なのか」というところは諸説あるようですが、右手(利き手)を自由にさせておくためというのが、欧米でも日本でも一般的なようです。右手は猟銃を持つためだったとも言われています。

 いずれにしても、一般的に「訓練」や「トレーニング」と言われるものにおいては、ルール上犬はハンドラーの左側に付けるとなっているので、左側で犬を歩かせる人が多いようです。「訓練」とは無縁の飼い主さんの場合、犬が行きたい方向に右だろうが左だろうが飼い主の前を勝手に歩かせているというのは別にして、とりあえず並んで歩くとき、おおよそ左右どちらかにいることが多いのではないでしょうか。すると犬は自然に慣れた側を歩くようになり、いつも飼い主を同じ方向から見上げることになるため、首や体全体を片方に傾けることが多くなります。
 人間も、カップルや夫婦で並んで歩くときはいつも同じ側にいることが多いのではないでしょうか。

 いつも同じ側の筋肉ばかりを使っていたり、体全体を曲げていたりすると、骨格の歪みや筋肉の付き具合が左右違ってくるということもあります。しかしドッグダンスの場合は、ほとんどのポジションや動きが左右対になっているので、片方だけに負荷がかかるということがないのです。ハンドラーの傍を歩くヒールポジションでも左側と右側がありますし、回転系のトリックでも必ず右回りと左回りがあります。つまりいつも左右同じように使っているということですね。

 また、ドッグダンスで使うさまざまなトリックの中には、日常的に犬が見せる自発的な動きを取り入れたものがあります。例えば「バウ(おじぎ)」。寝起きの犬たちが見せてくれる、お尻を持ち上げて前足をぐ~っと前方に伸ばすような動きですが、ヨガの「猫の背伸びポーズ」に似て、背中が伸びて気持ちよさそうですよね。こんな動きを練習の前にストレッチとして取り入れることで準備運動にもなります。

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寝起きによく見せる「バウ(おじぎ)」のポーズはストレッチにも

後ろ足を意識してアンチエイジング

 ドッグダンスでは、さまざまなトリックだけでなく、ハンドラー(飼い主)とパートナー(犬)が一体となって動いている場面を良く見かけます。前に進むことは当然のことながら、後ろに下がったり、横にスライドしたりと、まるで社交ダンスのペアのような動きを見せてくれます。

 犬は基本的に前足⇒後ろ足と動くので、時折犬同士の遊びの中で、お尻を上げながらツツツッと後ろに下がる動きをするくらいで、意図的に後ずさりする犬はあまりいないのではないでしょうか。ましてや、「バック」や「下がれ」と言ったキューで何メートルも後ろに下がるというのは、トレーニングしないとできるものではありません。
 この、後ろ足を下げるという動きを教えるとき、人間のように「まず左足を後ろに下げて~」と言ってもわからないので、自発的に後ろ足から下がる行動を誘導などで引き出そうとするのですが、慣れていない犬たちは大抵座り込んでしまったり、首を回して後ろを向いてしまったりしてなかなかスムースにいきません。つまりそれほど、後ろ足を意識して動かしたことが無いのです。

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ハンドラーのキューで、後ろに下がりながらハンドラーから離れていく動き

 犬たちが年を取って顕著に衰えるのは後ろ足です。前足は重たい頭を支えるということからも、しっかり首から肩にかけて筋肉が付いているのですが、腰は筋肉も落ちやすく、力が入りづらくなりがちです。若い頃は横から見ると台形のように、後ろ足が後方に伸びて、しっかり体を支えていたものが、年を取るにしたがって背中が丸くなり、後ろ足が前足の方に引き寄せられていってしまいます。
 そんな後ろ足の衰えを少しでも遅らせてあげるという観点からも、後ろ足を意識させながらバックすることは可動域を拡げる助けにもなります。
 バックステップ同様、サイドステップも後ろ足を意識しないと横にはスライドできないので、後ろ足を意識的に使わせる動きを取り入れるドッグダンスは、少なからず老化防止になります。

飼い主を惹きつけるドッグダンス

 ここまでは愛犬にとってのメリットを書いてきましたが、最後は飼い主さんにとってどんないいことがあるのか見てみましょう。

 まず飼い主さんは、たくさん体を動かさなければいけません。じっとしていては愛犬にポジションを教えたり、一緒に並んで歩いたりといった、さまざまなトリックを教えてあげることができないからです。トリーツを使った誘導であっても、犬の前に前にと動いてあげないと、犬は目の前のトリーツをパクッと食べて終わってしまいます。
 時には後ろ向きに歩くことも必要です。後ろ向きと言えば、前述の犬のバックステップと同じで、人間も後ろ向きに下がり続けるわけですが、犬同様体が動きに馴れていないと尻もちをついたり、足がもつれたりしてしまいます。

 どうでしょう、思った以上に健康的に汗がかけると思いませんか?

 次は脳の活性化です。ドッグダンスではさまざまな動きやトリックに名前を付けていくのですが、その名前をちゃんと覚えていなくてはいけません。もちろん、この「名前」というのはハンドラーとパートナーの間で交わす符丁なので、他の人は違った言葉を使っているかも知れません。もし忘れてしまっても教えてくれる人はいないのです。「ヒール」と言ったらハンドラーの右のポジションなのか左のポジションなのか。「スピン」と「ターン」、どっちが時計回りだったか。「お手」「お変わり」はどっちが右手?などなど、さまざまな名前と動きをきちんと把握しておかなくてはいけません。結構大変ですね。

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ハンドラーとシンクロしながら左前脚をあげるパートナー犬

 しかも、もっと大変なのは、最終的には音楽に合わせてそれらの合図を次から次へと犬に伝えていかなくてはいけないということです。
 自分は前に進みながら犬にポジションを伝え、犬が回転すべきところでその合図を伝えながら、自分は違う動きをしたり、上手にできたらその合間に褒めてあげたりしなくてはいけません。さらに次の動きのキューを伝え、場合によってはご褒美のトリーツをポケットから取り出して、犬の口に放り込む(競技会でなければ、トリーツを途中で犬にあげることもできます)。つまり、一度にいろいろなことをやらなくてはいけないのです。
 特にクリッカーを使ったトレーニング方法を取り入れている人は、その間にクリッカーの音を鳴らすと言う作業が入ってきます。聞いていると、気が遠くなりそうになってしまいますね。人も慣れないとクリッカーを鳴らすタイミングを間違えてしまったり、褒めるのを忘れてしまったり、正しい合図を出せなかったりといろいろ失敗をしてしまいますが、犬同様人も慣れてくると、スムースに対処できるようになってきます。

 次はどんな曲でルーティン(演目)を作ろうかと曲探しをしたり、愛犬のどんな動きを組み入れようか考えたり、コスチュームはどんな感じがいいかなどと妄想する時間もまた楽しいものです。

 そして何と言っても飼い主をドッグダンスの虜にさせる大きな理由は、愛犬と接する時間を多く持つことにより、「楽しい!」「嬉しい!」という精神的な充足感を得られることです。
 愛犬に何かを教えるというのは創造的であるとともに、うまくできたときの達成感を愛犬と一緒に感じることができます。当然日々の練習中でもたくさんの達成感を得られますが、ひとつのルーティンを完成させ、愛犬と一緒にステップを踏めたときのやり終えた感覚は、たとえミスがあったとしても、それまでの時間を考えると感慨深いものがあります。
 もし犬がミスをしてしまったら、それは犬の問題ではなく、ハンドラーがきちんと伝えきれていなかったと反省することで、次は頑張ろう!という気持ちになるのがドッグダンスです。

「試しにちょっと始めてみようかな」なんて、思っていませんか? 基本はオビディエンスなので、愛犬に何かを教えることを楽しいと感じられる人にとっては、もってこいのアクティビティだと思います。

◎プロフィール

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三井 惇
CPDT-KA(国際資格)ドッグトレーニングインストラクター。1997年に迎えたボーダーコリーと始めたオビディエンス(服従訓練)をきっかけに、犬の行動学や学習理論を学ぶ。2004年にドッグダンスをと出会ってその奥の深さに魅了され、愛犬家に広めたいと2006年からインストラクターとしてドッグダンスを教え始める。自身も一競技者として、オビディエンスやドッグダンスの競技会に参加。

●ブログ: Dance with Dogs
●主な著書:『ニコルとドッグダンス』/エー・ディー・サマーズ

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