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2017.09.21

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犬の用具を考える [番外編 /DIY Dog Wash]

〜犬を洗う〜遊んで汚れた犬はいい犬だ

皆さんはどのようにして愛犬を洗っているのでしょうか?
グルーミングサロンを利用する方、家のお風呂場で飼い主自身がずぶ濡れになりながら洗う方もいるでしょう。犬を洗う大変さは、犬の大きさだけでなく、短い毛、長い毛、シングルコート、ダブルコート、犬の被毛によって、その手間も大きく違ってきますね。今回の犬の用具を考えるは、番外編としてオーストラリアに多くあるDIY Dog Washを紹介します。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真=sarii 文=五十嵐廣幸

散歩で汚れる私の犬

 私の散歩コースは近所の森や川、クルマで海に行くことも多い。もちろんそれは私の住んでいる環境が大きく関係しているが、犬には自然界にある木や芝、地面からの匂いを嗅ぐことが絶対に必要なのだ。それにプラスして、水に入って遊び、丘や山などの斜面を駆け上がり、木々の間を走り抜けることなどができれば、「犬にとって最高な1日」になるだろう。

 犬は、森の中で野生動物を見つけ出したり、背の高い木の上の巣に気づいたりもする。それらを見つけ出す鼻の力、地面を力強く蹴る4本の足、まるでオーケストラ指揮者のように聞き逃さない鋭い耳。自然の中で犬と一緒に過ごすことで「ソファで寝ていた犬」とは思えぬその動き、犬の潜在能力の高さを実感することができるだろう。

 森での散歩や海で遊んだあとの愛犬の姿は、まさに「おてんば小学生」そのものだ。「父ちゃん!すげーずぶ濡れになったよ!泥だらけは最高だよー!!」とばかりに、笑っているようにも感じる。そこで飼い主の私は「そりゃよかったねー」といいながら、次にこのドロドロの犬をどうするべきか。と考えるのだ。

 長い被毛に絡みついた泥や砂は、タオルで拭いても拭いてもキリがない。バスタオル二枚を使って汚れを拭ったとしても、犬がブルブルと全身シェイクをすると、床には驚くほどの量の砂や泥が振りまかれる。そんなに汚れた時は思い切って全身洗ってしまった方が早い。そうすれば泥だらけのタオルを何枚も洗うわなくてもよい。

どこにでもあるDIYドッグウォッシュ

 DIYとは「Do It Yourself」つまり「自分でやる」という意味だ。オーストラリアには、多くのDIYドッグウォッシュなるものがある。例えば洗車場にドッグウォッシュが併設されていて、クルマで海に行った帰りにそのまま洗車場へ行き、犬とクルマをまとめて洗ってしまうことができるのだ。一石二鳥で綺麗さっぱりになるのは、飼い主にとっても運転手としても、とても楽である。

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ペット洋品店のDIYドッグウォッシュ

 オーストラリアの大手ペット洋品店の多くにグルーミングサロンが併設されているが、DIYドッグウォッシュコーナーも店内に設けてある。天気の良い週末には、犬を洗うために来た飼い主と「オヤツ目当ての犬たち」が頻繁に訪れる。

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 この店のDIYドッグウォッシュを利用するには、まず店員に10ドル(約880円)を支払いマシーン専用コインに換えてもらう。そして、そのコインを持ってドッグウォッシュコーナーへ。そこは、万が一犬が逃げだしたり、他の犬と喧嘩したりすることのないように、ガラスで仕切られた個室になっている。

 実際に、大の風呂嫌い、2才のオースラリアン・ケルピーのメス、ポピーに協力してもらい、DIYドッグウォッシュの使い方を紹介してみよう。

①犬を入れる
このバスタブのサイズは、長さは1430mm 幅520mm。犬を高くまで持ち上げるのは、人にも負担が大きいし、犬だってその高さに怖がることもある。なので、バスタブには開閉式のドアが付いている。そこにポピーを抱きかかえて入れて、バスタブ内にある首輪用のチェーンに犬の首輪をつける。

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 犬の安全を確認したら、洗犬マシーンに専用コインをいれる。10分のタイマーがカウントダウンされ、いよいよポピーの嫌いなお風呂が始まる。

②洗う
マシーンのツマミが<Shampoo>になっているのを確認し、シャワーホースを持って手元のボタンを押せば犬用シャンプーが配合された適温のお湯がでてくる。シャワーのお湯はボタンでいつでも止めることができる。

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 犬が苦手なコト(モノ)と接している時は、私は常に褒めてあげることをしている。ポピーには「Good girl (いい子だね)」と「Praise Tone(賞賛の声)」という通常より高いトーンの声を使って犬を応援してやり、常にポジティブな方向で過ごさせてやることが大事だと思う。じっとしていないからといって怒ることは逆効果だからやめるべきだ。

 シャンプーでカラダの汚れを落としたら、マシーンのツマミをコンディショナーに切り替え、犬のカラダにまんべんなく届かせる。その後、今度はすすぎ(Rinse)にツマミを合わせ、全身のコンディショナーを流していく。好みによってノミ除け薬配合シャワーを使っても良い。

③乾かす
 被毛の長さ、多さによって異なるが、毛の長い犬の多くはドライヤーが必要だろう。生乾きのままでいるのは犬の皮膚によくないからだ。乾かす場合はツマミをBlow Dryの強、弱を選び、専用チューブから温風がでる。ポピーはドライヤーが怖くストレスで暴れるので、タオルを使って乾かすことにした。ケルピーの被毛はとても短くすぐに乾く。繋いでいるチェーンはそのままで、バスタブの中でゴシゴシと拭いてやる。

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 タオルで拭き終わったら安全用の鎖を外し、犬がバスタブからジャンプなどしないように、しっかりと抱きかかえながら、犬が滑らないようにそっと床に降ろす。締めくくりに、備え付けられている掃除道具で床の水を切り、犬の毛を集めてゴミ箱に捨てたら「DIY Dog Wash」は終了だ。

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 店によっては上記のマシーンではなく、犬用バスタブとシンプルにシャワーというところもある。

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 こちらは犬を洗ったあとに清算を済ませるシステム。左上にみえる赤いホースがドライヤーで、棚にはドッグシャンプーとリンスが備え付けられ無料で使える。タオルの有料貸し出しもある。深さのあるバスタブで小型犬を洗うと、飼い主はずっと腰を屈めた状態でいることになるが、そんな時はバスタブ内に小型犬用「お立ち台」を設置すれば楽チン。

■洗いすぎに注意
「汚れている」というのは飼い主の感じ方で変わる。雨の日の散歩、泥が跳ねた犬のカラダを「汚い」とする飼い主もいるだろう。だからといって毎日や週に何回も洗うのは、大切な皮脂が落ちてしまって皮膚にもよくない。(皮膚疾患など特別な場合を除く)私は多くて、3週間に一度、平均するとだいたい1ヶ月に一度という感じだろうか。ほとんどの汚れは、濡れた被毛を乾かし、ブラッシングすることで匂いまで取れる。皮膚の異常などにもブラッシングをすることで、気がつくこともできる。ブラシをコミュニケーションのアイテムとして使うことはおすすめだ。

汚れを愛おしく思う私

 犬が散歩や遊びで、汚れることを「良し」としない飼い主がいる。暑い日に水辺で遊びたい犬に対して「汚れるから」を理由として叱る飼い主を見かける。他の犬がずぶ濡れで遊んでいるのに、なんで自分だけそこに入ってはいけないのか?そう感じる犬だっているだろう。

 犬は走り、ジャンプし、穴を掘り、犬同士でじゃれあい、水に腹をつけて涼み、地面の上で寝転がることをして生きる動物だ。泥だらけになること、砂だらけになること、臭くなることも彼らの生活であると私は思う。シープハーディング(羊追い)をしていると、愛犬のカラダは羊の匂いや糞、砂埃などたくさんつけている。帰宅途中のドッグウォッシュで「今日もたくさん活躍したね。かっこよかったよ!羊くさいなんてシープドッグとしては名誉なことだね」と、心から伝えてやる。愛犬のカラダに飼い主の手で直接触れながら汚れを洗い流し、「今日も一緒にいてくれてありがとう」と感謝をする。

 

 犬が汚れることを飼い主自身が嫌がっては、犬の行動範囲はどんどん狭くなってしまうように思う。足が汚れるからコンクリートの上だけを歩かせる。汚いから匂いを嗅がないで欲しい。土の上で寝転ばないで。グルーミングしたばかりだから濡らさないで。その「汚さないで」は一体、誰のためなのだろうか。犬も飼い主も一緒に泥だらけで遊べばいいじゃないか。

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 私は、愛犬が書斎やリビングに落とした砂や葉っぱさえも愛おしく感じることがある。床に落ちた葉っぱを拾いながら、「私の犬は元気だ」「外で砂や葉っぱをつけて沢山遊ぶエネルギーがある」と感じるのだ。いつか愛犬が年を取り、自然の中を全力で走れなくなること、ドロドロになって遊べなくなること、雨の日の散歩に体力が続かなくなること、そんないつか来るかもしれない日を考えると、元気な今、私の大好きな犬は犬らしく、泥だらけで遊び、ずぶ濡れになりながら散歩をして、毎日を楽しんでもらいたいと思う。汚れた部屋の片付けは私の細やかな犬への応援でもあるのだ。

◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。

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