magazine

  1. HOME
  2. MAGAZINE
  3. 亡き犬を思い出しつつ、犬勉強に励む

2017.08.31

ブログ        

クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.3

亡き犬を思い出しつつ、犬勉強に励む

8月後半は、トレーナー向けカンファレンスと、著名人参加も多いアニマル・ウェルフェアサミットがあった。たっぷりお勉強してきた。犬学研究家としてもだけど、いち飼い主としても犬の勉強は一生続く。これは今まで見送ってきた犬たちとの約束でもある。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=白石かえ イラスト=白石トオル

神宮外苑花火を見ると、亡き犬を思い出す

 涼しくなってしのぎやすくなったな、と思ったのも束の間、また35℃に逆戻り! 東京の今年の気候はどうにもきつい。老犬たちはもっとしんどいだろうなぁ、と心配になる。先代の愛犬が夏を越せなかったから。

 そして神宮外苑花火大会(東京都)の花火を見るたび、故ワイマラナー(享年16年8か月)のバドと過ごした日々がよみがえる。

 神宮・千駄ヶ谷界隈は、娘の保育園時代のベースキャンプ。それから神宮花火は毎年、友達のビルの屋上に集合だ。幼なじみのちびっこたち、ママ友、パパ友、園の担任の先生と今も仲良しで、家族ぐるみのお付き合いが続いている(ただ飲んだくれているとも言う)。こういうご縁が続くのはありがたい。みんな、バドたちのことを当時からよく知っていて、可愛がってくれて。

 それで6年前の7月、バドが死んじゃった年の夏の神宮花火大会で、1発目の花火がドーンと上がったとき「バドに献杯!」と、みんなが言ってくれた。そしてバドを偲んでくれた。ううう、いま思い出しても泣きそうになる。

 それから私は毎年、神宮花火のときは、次から次へと打ち上がる花火を見上げながら、心の中でバドを思い出している。バドが4歳のときに生まれたニンゲンの娘は、今年大学生になったよ。バドの年齢を超えちゃったよ、って。うー。泣くー。

 ドッカーンと腹に響く音、火薬のニオイも好きで、基本的に花火は大好きなんだけども、そういうわけで神宮花火には特別な思いがある。もともと花火は、お盆の迎え火、送り火としての意味があるんだもんね。だからこの時期なんだよね。バドもうちに戻ってきてたのかなーとか思っちゃったりして、花火を見ながら、うっすら涙。白石家はおかげでみんな元気にやってるよ。バドが生きていたとき、はなたれ小僧だったクーパーも、ひよっ子メルも、もう8歳と7歳になったんだよ。病気ひとつせずに元気で今なおハイパワーだよ。バドが捨て猫ダンボールを山で見つけて命をつないだまめちゃん(黒猫)はもう13歳になったよ、相変わらず食いしん坊だよ。ってバドに報告した。

170828_02.jpg

バド爺ちゃんと生後半年くらいのクーパー。まだメルは生まれていなかった時代

 こう思うと、やっぱり、バドは私の原点なんだなーと思う。犬ライターの礎をつくってくれた犬。すごく大切な犬。死んでもそれは変わらない。犬の原稿を書く身として、初心に戻り、もっともっと頑張らなくちゃ。そう思い出させてくれる犬。

 と、ちょっぴりしんみりしちゃったけれど、しんみりしているヒマはなかったのであーる! 8月後半は怒濤の犬イベントの連続。イベントをはしごして、たんまりいろんなことを吸収してきましたよ。

【8月18日・金】
 某編集長に頼まれて、6月にクパメル、マスコミ作業犬として出動。それの掲載誌が、編集部から送られてきた。今回はアメリカから上陸したビーズソファの広告撮影だった。撮影時、子ども好きのメルが、5歳くらいの男の子に大喜びしてハチャハチャした動きで近寄ろうとしたもんだから、ちびっこに怖がられて「モンスター!」と言われる始末(いや、別に噛んだりするわけじゃあないっすよ。もともと、ああいう顔なんですってば)。ところが、意外や意外、クーパーがいい仕事をした! カメラマン、アシスタント、スタイリスト、編集者など大勢の人たちに囲まれた現場なので、クーパーはビビって役に立たないのでは、と内心心配していたが、ソファのとなりに連れて行き、そこで「マテ」とキュー(合図)をだすと、よく言うことを聞いてくれた。忍耐強く、そう5歳児より我慢強く、じっとしてくれて、「オッケーでーす」の声がかかるまで頑張った。制作側の一員としても、家族(保護者)としても、すごく嬉しく、誇らしかった。クーパー、いつの間にか成長していたのね。えらいぞ。バドの跡を継いで、よきマスコミ作業犬として育っている。よしよし。ちなみにメルもワンカット採用されていた(笑)。メルだって、メルなりに頑張ったもんねー。

170828_03.jpg

クーパーとメル、マスコミ作業犬として頑張った(I'm home no.89より転載)

【8月20日・日】
 神宮外苑花火大会の日。観覧するのは友人のおうちのビルの屋上なので、頼めばクパメルを連れていくことも許してくれるだろうが、犬には花火大会の楽しさはわからない。むしろ至近距離での花火の爆音は恐怖の対象になりかねないので、無理して連れて行くことはやめている。

 でも、夜から家族みんなが外出し、犬だけの留守番になるのは慣れていないから心配。万が一、分離不安になり、挙動不審になったら困る。なので、昼間たっぷり疲れさせようと思い、ちょっと暑いが(いや、だいぶ暑かったが)、代々木公園へ歩いて散歩に行った。頑健なクーパーはまだしも、短頭種のメルには、まーまーデンジャラスな時間帯。曇り空とはいえ、水分補給をこまめに行い、日陰の道を選んで行った。わが家の家訓「疲れた子はいい子」を実行するのと熱中症は、紙一重の季節である。

 しかし、こんなに蒸し暑いってのに、代々木公園に到着すると、たくさんの人たちが遊びに来ていてびっくりした。中央広場には大人も子どももいっぱい。お盆休み最終日の人が多かったのかな? でも、さすがに犬連れはそれほど多くはなかった。熱中症の危険性は、かなり認知されてきたような気もする。あ、でもそうは言ってもドッグランはけっこう賑わっていたなー。うちはランには入らず、ひたすら木陰を歩き回った。

 3時間ばかりの代々木公園散歩で、くたびれた犬たち(私もくたびれたよ。帰宅後の昼ビール、美味し)。おかげで夜の神宮花火大会の間は、お休みしていた模様。このように、夜の犬留守番の際には、事前にいろいろ工夫をするのが忙しい白石家なのであった。

170828_04.jpg

代々木公園は暑かった。だけど、中央広場はたくさんの人で賑わっていた。犬よりニンゲンの方が暑さに強いもんだね

【8月21日・月】
 この週はできるだけ原稿を書いておこうと思い、頑張った。ひたすら黙々と原稿書きウィーク。だけど頑張っているのに、なかなか終わらない。それはねー、書き過ぎのせいなんだよーーー。と、自分でわかっているのだが、直せない。とくに、今回は同行避難やロングドライブの記事を書いたんだけど、伝えたいことが山ほどあってさー。短く省略しちゃうと誤解を与えてしまうかもしれない、その結果犬を危険な目に合わせるかもしれない、とか思ってしまい、ジレンマと闘うが、結局、長文大作のまま入稿。編集さん泣かせ、と自分でも思う。反省。

担当編集M:紙媒体だと、まさに「紙幅の都合」というものがあるから大変だと思うけど、webだと特に制限あってないようなものですからね。この連載も、毎度大作での入稿ありがとうございます(笑)。

【8月25日・金】
麻布大学で開催された、特定非営利活動法人日本ペットドッグトレーナーズ協会主催の「第12回JAPDTカンファレンス」に出席。とはいえ、原稿がやっぱり終わらなくて(おバカさん!)、午前中まで書いていて、行くのが遅くなってしまった(猛省)。

 でも今年注目の、デニス・フェンツィ女史の講義にはなんとか間に合った。オビディエンス、アジリティー、ドッグスポーツなどで数々のタイトルを獲得しているアメリカの著名なトレーナーさん。金曜日の講演のお題は「犬の動機づけに関する理解の導入」。タイトルはちょっと難しく聞こえるが、内容はとてもわかりやすかった。「意欲とモチベーションを高めるのが重要」というのはよく言われることだが、それに加えて「飼い主が犬に恋に落ちることが大切」という言葉に共感した。飼い主が自分の犬に恋に落ちれば、犬に対して忍耐強くなる、一緒に遊んであげることも増える、観察することも増える。そうすると、犬も飼い主の言うことをきくようになるという。ごもっとも〜。「犬に恋せよ。そうすればコミュニケーションと絆が深まり、より犬の反応がよくなる。より意思の疎通がしやすくなる」ってことだなぁと解釈。ステキ。全般的にデニス先生は、とても犬目線の先生だと感じた。「犬の気持ちを想像して。どういう行動を飼い主がしたら、犬が関心を持つのか。犬が、自分の方から喜んで追いかけてくれるのか」。遊びの中にちょっとだけ作業を入れて、それができたら褒める。そうしたら犬を退屈させない、イライラもさせないで、ハッピーな犬をつくることになる。うん。納得。日本にこの教えがどんどん広がるといいな。

 ちなみにこのカンファレンスは日本最大、そして12回(日本では有数)も続いているドッグトレーナー向けの勉強会だ。私も今までほぼ毎年プレスで参加している。3日間ぶっ通しで濃い内容の講義が行われ、関東圏のみならず遠くの県のトレーナーさんも来ていて、近くに宿をとっている人も少なくない。今年は100名以上集まったそう。獣医師や動物看護士、学生もいる。また、中にはトレーニングに関心の高い一般の飼い主さんも。みんな、とても勉強熱心だ。トレーニング論は、10年前、20年前に主流と言われていたものがどんどん変わり、新しい科学的見地が加わったりして進化しているからね。医学や獣医学同様に、トレーニング論も日進月歩。きちんとバージョンアップしているトレーナーさんに学んだ方がよい、と個人的には思う。もちろんトレーナーと犬との相性、そしてトレーナーと飼い主との相性もあり、トレーナー選びというのはなかなか難しいことではあるけれど、日本でももっと「トレーナーに犬のことを教えてもらおう」「わからないからといって問題を放置せず、トレーナーに勇気をだして習ってみよう」ということが普通になるといい。ニンゲンの子どもが習い事をするのと似ているね。あるいは塾の先生に、勉強のコツを習うのと同じ。犬のトレーニングの場合は、犬が習うというより、飼い主がコツを習うものだけどね。

 とにかく、日本中によいドッグトレーナーがどんどん増えるように、ペットドッグトレーナーズ協会さん、来年もまた素晴らしいゲスト・スピーカーを招聘してください。期待しています。

担当編集M:「犬に恋せよ」。わかる~っ! モーフは同性だけど、毎日の散歩はデートみたいな感じだもの。濃密なコミュニケーションが、やっぱりあらゆることのベースですね。

170828_05.jpg

第12回JAPDTカンファレンスにて。講演途中の休憩時間に、通訳の人と歓談するデニス・フェンツィ先生(写真右)

170828_06.jpg

麻布大学からの帰り道。デニス先生オススメの頑丈な犬のオモチャが販売されていたので、うっかりクパメルにお土産を買う。原稿料もでていないうちから散財ばかり。でも私はクパに恋しているからね〜(メルに恋するのは、娘に任せる!)

【8月28日・月】
 東京大学で開かれた「アニマル・ウェルフェア サミット2017」へ。主催は、滝川クリステルさん率いる一般社団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル。共催は、特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパン、一般社団法人Do One Good。今年で2回目となるが、昨年に比べて、内容も濃くなり、会場の案内なども円滑に行われていたように思う。昨年は予想以上の来場者が来たそうで、そのため今年からプログラムの参加は事前登録制になった。それも功を奏したのかもしれない。

 登壇者の顔ぶれも実にユニークだった。私が参加したひとつは「ペットショップの過去、現在、そして未来」。出演は、小島章義氏(コジマ代表取締役会長)、太田匡彦氏(朝日新聞記者)、佐久間敏雅氏(カラーズ/GREEN DOG代表取締役)。生体販売しているペットショップの会長が登壇するなんて、すごいことだと思った。個人的にはやはりペットオークションの存在が、子犬・子猫の大量生産、大量流通、そして大量消費できない分は殺処分、という流れをつくっている気がしてならないが......(今回さらに確信した)。とはいえ、お互いが忌み嫌って離れたところで批判ばかりしていても、状況は平行線のままだから、こうして同じテーブルに座り、議論を交わすことは相互理解の第一歩であり、将来的にはアニマル・ウェルフェアが重視されるペット業界に変わっていくための大事な通過点ではないかと感じた。迎合ではなく、まずは立場の理解と人としての尊重。大事よね。合わせて、世論が盛り上がっていき(動物があまり好きでない人も含めて、文化やモラルなどの成熟度が高い民度の形成)、アニマル・ウェルフェアに反する商売は成り立たない、淘汰される、という社会になれればベスト。先は長いけど、諦めずに注視していきましょー!

 そのほかにも動物園園長、衆議院議員、環境省動物愛護管理室室長、獣医師、弁護士、女優、アーティスト、東京都知事、地方自治体の担当者、ファンドレイジング(NPO法人などの資金調達)・プロデューサーなど、さまざまな人たちが登壇され、幅広い分野の講演がなされた。今年は、犬猫だけでなく、産業動物(牛・豚などの家畜)、野生動物、実験動物など「アニマル」の範囲が広がったことも素晴らしい。惜しむらくは、同時進行で複数の講演が行われたために、「あれも聞きたいのに、これも聞きたい。迷うぅ」という場面が多かったこと。充実しすぎているプログラムの本数ゆえの苦悩。贅沢な悩みともいえる。とにかく、これだけたくさんのジャンルが一気に勉強できるのはすごいこと。サミット2回目にして、すでに日本トップクラスの動物関係のイベントに急成長した感じがする。一般飼い主、ファミリー層など誰でも参加しやすい工夫もされている。入場無料でこれだけのことができるのは本当にすごいと思う。アニマル・ウェルフェアを推進させたいという信念の強さゆえでしょう。主催者側の関係者には私の知った顔も多かったけれど、ボランティアのみなさん含め、本当にお疲れ様でした。来年も応援してるからね−。

担当編集M:刺激的な一日でしたねぇ。個人的には、上記以外に「里山を守る犬たち」を興味深く聴講していました。この手のネタ、近々記事にしたいと思っています。

170828_07.jpg

主催の一般社団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル代表理事の滝川クリステルさん(左から2人目)と、共催の特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンの大西純子さん(左から3人目)、一般社団法人Do One Goodの高橋一聡さん(いちばん右)。一聡さん、写真が暗くなっちゃってごめんよ!

【8月31日・木】
 「笑う犬には福てんこ盛り」 vol.3公開。
ついに子どもたちの夏休みも終わりますねー。やれやれー、と思っているお母さんたちも多いことでしょう(笑)。明日からは、犬とまったり過ごすことができるのでは。夏のお疲れがでませんよう。それでは、また再来週の木曜日に(その週、編集Mさんと一緒に、西へ出張に行っているはず。どんな珍道中になるのでしょう! ファイトぉぉぉぉ)。

担当編集M:再来週の取材、楽しみですね~。僕も一年越しの想いですから、今からわくわくします。読者のみなさんにも役立つ記事になると思うので、お楽しみに♪

◎プロフィール

shiraishi_pr.jpg

白石かえ
犬学研究家・雑文家。家族は、ジャーマン・ショートヘアード・ポインターのクーパー、ボクサーのメル、黒猫のまめちゃん、夫1、娘1。前職は、自然環境保護NGO・WWFジャパン。犬猫と暮らして30数年。彼らの存在は可愛いだけでなく、尊い。犬が犬らしく生き生きと暮らせる、犬目線の原稿を書くのがライフワーク。

●執筆サイト: dogplus.me 犬種図鑑 ほか多数
●ブログ: バドバドサーカス
●主な著書:
『東京犬散歩ガイド』、『東京犬散歩ガイド武蔵野編』、『うちの犬 あるいは、あなたが犬との新生活で幸せになるか不幸になるかが分かる本』、『ジャパンケネルクラブ最新犬種図鑑』(構成・文)

■関連記事
クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.1 犬との暮らしを謳歌する!犬との暮らしを謳歌する!
クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.2 夏だ!海だ!砂浜爆走だ!
クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.4 9月1日は防災の日。「備えよ、つねに」
クパメル隔週レポート「笑う犬には福てんこ盛り」vol.5 忙しいけど、書きたいことは次から次へと湧いてくる




 この記事が気に入ったらいいねしよう!
 最新記事をお届けします。

甘えん坊の犬と赤ちゃんは、仲よくなれるのか?

米国最新ペットプロダクツ事情。今が旬のトレンドはこれっ!

米国最新ペットプロダクツ事情。今が旬のトレンドはこれっ!
甘えん坊の犬と赤ちゃんは、仲よくなれるのか?