家を開けるとき愛犬をどうするかは、多くの飼い主にとって悩みの一つではないでしょうか。ベルがうちに来てから、私が泊まりの出張に出ている間は、田舎でベルを預かってもらうようになりました。最初は悪いなと思っていたのですが、預かられているベルも、預かってくれている方も、それなりに楽しんでくれているようで......。今回は、ベルの「おばあちゃんの家」での暮らしを通して感じたことを書いてみます。
仕事柄、長期出張に出ることもあり、その間ベルをどうするかは、ベルと暮らし始めた当初からの悩みでした。以前、フェレット2匹を飼っていたことがあり、そのときはフェレットホテルに預けていたのですが、出張中の原稿料が飛ぶぐらいお金がかかっていて、それはちょっと避けたいなと......。
初の長期不在は、昨年末から年明けごろ。そのとき、東京都内の自宅からクルマで片道1時間強ぐらいの田舎で、初めてベルを預かってもらうことになりました。
クルマに乗せて田舎へ。どこへ行ってもすぐに慣れてしまう、順応性の高さには救われる
初めてのときは、こちらからお願いして預かってもらったので、「面倒かけて申し訳ないな」という気持ちもありました。また、ベルに不慣れな環境で生活させることにも、多少の不安はありました。
ところが実際は、思いの外、ベルは田舎暮らしを楽しんだようで......。
散歩はたっぷりにおい嗅ぎできるお寺に連れていってもらったり......
ビーチに連れて行ってもらったり......
おしゃれなカフェでお茶したり......
都内の自宅は便利ですが、家のすぐ近くに土の場所が少なく、ベルがたっぷりにおい嗅ぎをして散歩を楽しめる場所が少ないのが難点でした。それが、田舎に行くと毎日におい嗅ぎ放題。都会に比べて犬連れに寛容で、いろんな場所に連れていけるのも、犬にとっても人間にとっても快適で楽しそうです。
また、都内の自宅は狭小マンションのため、ちょっと庭やテラスに出してあげるということができないのですが、庭やテラスに繋いでおいてもらって外の空気を楽しむのも、外が好きなベルにとっては嬉しいようです。
ここ10年以上犬のメディアにかかわり、「愛犬のために田舎に引っ越しました!」という方をよく取材しましたが、彼らが言っていたのはこういうことだったのか、と身にしみて実感しています。やはり都会より田舎のほうが、犬にとって楽しいのもそうですが、飼い主にとっても肩身が狭くないのがいいですよね。
もう一つ嬉しかったのが、メインでベルの世話をしてくれている人(仮名ベルばあば)が、ベル自身やベルとの生活を気に入ってくれたこと。
ベルばあばは、近所に住む家族ともかかわりつつ一人暮らしをしている、70歳になる女性です。近所に住む孫もすでにだいぶ大きくなり、ベルばあばの世話を必要とする人がいなくなってきたところに、散歩やご飯を喜ぶベルがやってきて、世話好きなベルばあばは嬉しかった様子。毎日何時間も散歩に連れていってくれたり、少食のベルに鶏のささみなどを作って食べさせてくれたり、散歩先で知り合った犬仲間に聞いた情報を教えてくれたり......。ベルを孫のようにかわいがってくれています。
それに、ご本人も膝が痛くてあまり歩かなくなっていたのが、ベルが散歩を大喜びするので毎日何時間も歩いているうちに、脚の状態も改善。今ではベルはよき散歩のお供になっているようです。
一度ベルを預かってもらって以来、ベルばあばのほうから「ベル君、次はいつ来るの?」「いつまでもいていいのよ」と言ってくれるほどに。今では田舎は、すっかりベルにとっての"おばあちゃんの家"的な存在になっています。
ベルばあばと朝のお寺を散歩
都会での生活では、人に頼ることが難しく、例えば犬や子どもをちょっと預かってもらうといったことがしにくい環境にあります。それため、犬にしろ子どもにしろ、世話をする人がすべて抱え込んで、強い負担を感じるといった状況があると思います。
もちろん世話する人に責任感は必要ですが、犬や子どもといった社会の"財産"は、多くの人がかかわって育てたほうが、世話するほうにとってもされるほうにとっても幸せなんじゃないかな。ベルに帰れる田舎ができて、私も、たぶんベルも幸せです。
「シェアハウス犬ベルの、7歳からの生活見直し日記」記事一覧