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2017.07.18

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シェルターボランティアで学んだこと vol.14

人と動物のよりよい関係づくりを目指す多様なアプローチ

放棄される犬を減らすにはいったいどうすればいいのか。これは日本と同様にアメリカでも大きな問題です。放棄された犬を受け入れるシェルターはまた、放棄される犬を減らすためにさまざまな活動を行っていました。今回はそのいくつかをご紹介します。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

シェルター外での一般市民向けのPR活動

 シェルターにやってくるのはいわば保護犬に理解のある人たちです。そこで広くシェルター犬の存在に気づいてもらい、その魅力や犬を巡る課題を伝えるために、地域のさまざまなイベントに積極的に参加していました。
 シェルター活動の紹介、里親やボランティアの募集といった広報活動を行いますが、PRするのは人間だけではありません。2時間交代で2〜3頭のシェルター犬も参加します。こういった場に登場するのは穏やかで人慣れしている子たちに限ります。里親との出会いを期待しながら、シェルター犬と触れ合っていただき、イメージアップを図っていきます。
 イベントの会場は公園、日本でいう公民館のようなコミュニティセンターや図書館、さらには議会に招かれて愛犬家の議員さんたちにかわいらしくPRするということもありました。

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シェルターからイベント会場へはハンドラーを務めるボランティアが移送する

新生児を迎えるカップル向けのセミナー

 シェルターでもさまざまなイベントを企画しています。施設内の見学ツアーは事前のリクエストが必要ですが、ほぼ毎日対応していますし、放棄される犬をなくすためのセミナーも定期的に開催していました。

 対象を絞ったセミナーとしては、シェルターの犬を引き取ろうかな、でも少し不安があるなという里親希望者向け、新生児を迎えるカップル向け、といったプログラムもありました。子どもが生まれるからと犬を放棄する人はアメリカにもいて、毎年数千頭にものぼります。家族の一員であり、子どもにとってよき兄や姉、友人的存在となる場合がほとんどとはいえ、実際に犬と子どもの事故は起きています。見知らぬ犬よりも、飼い犬や近所の犬などに噛まれるというケースの方が多いという情報を耳にすると、特に初めての子どもの場合、不安になるのは当然といえば当然でしょう。
 そこでシェルターでは両者がストレスなく生活をスタートできるように、どのように部屋を整え、犬に赤ちゃんを紹介していくのか、犬の習性等を元に、さまざまな具体的アドバイスを行っていきます。参加者には赤ちゃんの泣き声や付随する音を収録したCDを配布し、事前にペットたちにこういった音を聞かせておくそうです。本番前のウォーミングアップといったところでしょうか。

次の社会を担う子どもたち向けのプログラム

 社会を変えていくには子どもへの教育が重要とよくいいますが、シェルターでは子ども向けのプログラムにも力を入れています。アメリカでは長い夏休み期間中、子ども向けにサマーキャンプと呼ばれるプログラムがさまざまな団体によって企画されます。
 シェルターでも「kids Summer camp」を開催、ウェイティングリストができるほどの人気を呼んでいます。6-9歳のクラスでは地域の野生動物やペットの動物について知り、動物への思いやりの気持ちを学びます。犬は思いがけない動きをする子どもが苦手ですから、犬と接するときにどう振る舞うかなどの犬と接する際の基本中の基本も伝えていきます。
 10-13歳のクラスになると、受付、アニマルコントロール、ケンネルでの動物のお世話といった各部署の役割を知り、シェルターの仕事、そして動物福祉についてより深い理解へとつなげていきます。

 このような活動を通じて、シェルターの犬やシェルター活動に興味を持った子のなかには、誕生会での自分へのプレゼントに「シェルターに寄付するもの」をリクエストし、家族や友だちから集まったたくさんのフードやおもちゃを持ってきてくれる子もいます。

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実際にシェルターの犬と接するボランティア受け入れこそが一番の啓蒙活動

一番の啓蒙活動は......

 シェルターの正式ボランティアメンバーは成人のみですが、保護者同伴であれば10歳から18歳の子どもたちもジュニアボランティアとして活動できます。保護者がボランティア講習を受け、常に一緒に活動することが条件で、週末にはご両親と子どもさんのボランティアチームと挨拶を交わすこともありました。

 ボランティアを行なって感じたことは、シェルターにボランティア制度を取り入れること自体が、最も効果的な啓蒙活動だということでした。実際にシェルターの犬たちと接し、お世話したことで、保護犬と家庭犬にそう変わりはないこと、成犬になって出会った犬とも仲良くなれるしトレーニングもできることなど、保護犬を迎える際に気にかかることは、譲渡対象となった犬に関していえば、多くの場合、それほど大きな問題ではないと実感できました。大人でもそうなのですから、子どものうちからそういった体験をすることで得ることはとても大きいのだと思います。
 これは私自身の変化ですが、シェルターの子たちがどのように保護され、シェルターで時間を過ごし、新しい家庭での生活をスタートさせていくのかを垣間見たことで、自分の飼い犬だけではなく全ての犬の幸せを願い、どのようにそれに向けて行動すべきかを考えるようになりました。

 里親予備軍向けのセミナーなど興味があってタイミングの合致するセミナーは受けてみましたが、それぞれに発見がありました。日本でも各自治体や団体がさまざまなセミナーを開催していますし、各種イベントに保護犬たちと共に参加しています。ボランティアに興味はあるけど何か不安、という方は、こういった場へ足を運んでみると、何かのきかっけになるかもしれません。

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