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2017.07.04

正しく理解しておきたい、犬の「皮膚病」 vol.3

高温多湿な時期に気をつけたい皮膚トラブルとは?

永田雅彦 どうぶつの総合病院 副院長

前回までに、皮膚病の基本や動物病院でのおもな治療法、家庭での対応について、どうぶつの総合病院・副院長(日本獣医皮膚科学会・会長)の永田雅彦先生にお話を伺ってきました。そのなかで明らかになったのは、犬の皮膚と気候や季節、環境は、密接なつながりがあるということ。そこで、最終回となる今回は、梅雨から夏にかけての時期、犬の皮膚を健やかに保つために気をつけたいポイントを聞きました。

写真=永田雅裕、永田雅彦先生 文=星野早百合

#健康

高温多湿な環境は、皮膚トラブルを起こしやすい

 毎年夏になると、愛犬の皮膚に不調が現れる――。そんな悩みを抱えている飼い主は、少なくないだろう。実際、梅雨から夏にかけての高温多湿な時期は、犬の皮膚トラブルを訴えて動物病院を訪れる人が増えるという。

「梅雨に毎年皮膚病を発症する犬もいれば、夏の暑さからトラブルを引き起こす犬もいます。かゆみがあるとき冷却すると、かゆみが和らぎますよね。かゆみと暑さは連動しているため、夏は潜在的にかゆみが現れやすい時期です。また、ブドウ球菌感染症が起こりやすい季節です。犬には犬、人には人、それぞれの体表に住むブドウ球菌がいて、菌にとって快適な環境に近づけば近づくほど、繁殖が活発になります。抵抗力が十分にあればいいのですが、体はいつもパワフルなディフェンスを持っているわけではありません。弱った皮膚があれば、そこで菌が増えてしまいます」と、永田雅彦先生。

 ブドウ球菌感染症では、その菌を叩く抗菌薬を飲めば改善する。しかし、菌が増えやすい季節では、抗菌薬の服用をやめた途端、再び症状が現れてしまうケースも。

「心得ておきたいのは、"夏はトラブルを起こしやすい季節"ということ。それを受け止めることで、対策を考えるきっかけとします。例えば、夏の間にシャンプーの回数を増やすだけで、皮膚の状態が改善することもあります。かかりつけの動物病院で、相談してみるといいでしょう」

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ブドウ球菌感染症を起こした犬の皮膚。炎症によって皮膚が赤くなり、脱毛なども見られる(写真提供=永田雅彦先生)

アウトドアで遊ぶなら、ノミ・ダニ対策を!

夏は、絶好のアウトドアシーズン。山や川、海で愛犬と遊ぶ人も多いはずだ。アウトドアで気になることと言えば、外部寄生虫であるノミ・ダニ。愛犬をノミ・ダニから守るために、飼い主としてできることは何だろうか。

「切れ味のよい駆除薬が普及してきたので、ノミの被害に遭う機会はだいぶ少なくなりました。ついたらどうするかより、駆除薬による予防をおすすめします。問題はダニ、なかでもマダニです。昔に比べたらよい駆除薬が増えていますが、ノミほどに予防できる製品はありません」

 犬の体によく寄生するマダニは、ほかのダニに比べて体が大きく、皮膚の柔らかいところに食いついて吸血する。マダニが媒介となって起こるバベシア症などの危険な病気もあるため、十分に注意したいもの。そこで、マダニの被害に遭わないための注意点を永田先生が挙げてもらった。

(1) できるだけ、マダニがいる場所には行かない
 マダニが潜んでいる郊外の山や森、川原の草むら、藪には行かないようにする。都会の公園でもマダニが生息しているスポットがあるので、ご近所や犬仲間と情報交換して、なるべく近づかないほうがいい。

(2) ついてしまったら、動物病院でとってもらう
 皮膚に食いついたマダニを無理やり取りはずそうとすると、頭を取り残してしまうことがある。取り残した頭は、病気を引き起こす恐れも。マダニ専用のピンセットなども売られているが、動物病院で獣医師にとってもらうのが安心だ。

(3) 靴や靴下を履いて、手足を保護する
 マダニは目のまわりや耳など、皮膚の柔らかい部分を刺すことが多い。草むらや藪の中などに、むやみに顔を突っ込ませないように注意しよう。また、手足の指の間も柔らかく、マダニにとってはアプローチしやすい場所。アウトドアで犬用の靴や屋外使用も可能な靴下を履けば、手足をマダニから保護できる。

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山や森、川原などのレジャーシーンでは、犬用の靴や靴下を履いて手足の保護を。マダニから守るとともに、肉球のケガも予防できる

皮膚は体全体のコンディションを教えてくれる臓器

 3回にわたって、皮膚病について教えてくれた永田先生。最後に、こんな言葉でまとめてくれた。

「vol.1の冒頭で、皮膚は変化のある臓器であり、"病気"と"正常"を線引きするのは難しいとお話しました。病気ではないけれど、正常でもない状態="病気の予兆"というのはもちろんあって、これは皮膚病だけでなく体全体に起こっているトラブルの予兆でもあるわけです。私たち人間も"顔色が悪いから、貧血気味かな" "肌の調子が悪いのは、寝不足のせいかな"と、皮膚で健康状態を判断することがありますよね。皮膚には、体のコンディションがさまざまな形で現れます。
 皮膚はとても正直で、いろいろな体の問題を訴えてきます。愛犬の皮膚の変化に対して、常にアンテナを張っておく。そうすれば、犬の体に起こるトラブルを未然に防げるのではないでしょうか」

 永田先生の言葉に、愛犬の健康を保つには愛犬をもっと知り、もっと見つめることだと、改めて気づかされる。日頃から皮膚のチェックを習慣にして、皮膚だけでなく、体全体の健康キープに役立てたい。

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