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2017.06.15

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犬の用具を考える vol.1 <ボール編>

犬とのボール遊びは、飼い主の責任で成り立っている

オーストラリア在住、元保護犬のボーダー・コリーMIXと暮らす五十嵐です。縁あって、連載させていただくことになりました。人間本位になりがちな犬との関係について、コラムを通じてみなさんと一緒に考えていきたいと思っています。
初回テーマは、普段何気なく使っているであろう「犬の用具」について。首輪やドッグタグ、散歩の時に不可欠なリード、訓練でも用いるチェーンカラーとも呼ばれるコレクションカラー、そして遊び道具の数々......。これらのモノは、手に取った瞬間から飼い主は「犬用の道具」として、正しく使うべきだと私は思います。第1回目は、ほとんどの方が持っているであろう「ボール」の使い方を考えてみました。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真・文=五十嵐廣幸 イラスト=yuma

 私たちが遊びでよく使う"ボール"は、犬にとって大事な用具である。人がボールを投げれば、犬たちの多くは喜んで追いかける。犬はボールで遊ぶ事が好きな動物だからこそ、私たち飼い主はそのボールの使い方、選び方を改めて考える必要がある。

記事まとめ

1.テニスボールは犬用ではない
2.適切なサイズを与えること
3.必要なコマンド、追いかけるだけがボール遊びじゃない

犬用のボールを使おう

 犬との遊びで、テニスボールを使っている方を多く見かける。理由は容易に想像できる。安価であり、簡単に手に入れられること。またそれらの理由から、ボールを無くしても惜しく思わないというのもあるはずだ。公園で落ちていたからとか、犬がどこからか見つけてきてそのまま使っているということもあるだろう。

 しかし、テニスボールは「犬の用具」として注意が必要なアイテムの一つであると思っている。
 テニスボールの表面は、カーペットのように短い毛で覆われている。その毛そのもの、もしくはその毛に絡み付いた砂などによって犬の歯を傷つけてしまう可能性が高いからだ。犬がボールを拾う時に、彼らは唯一の手段である口を使う。ボールは犬の唾液で濡れ湿り気を帯び、「毛で覆われているボール」はより一層ゴミや砂などが付着してしまうのだ。
 これが犬用のゴムで出来たボールであれば、表面が濡れて汚れても手元にあるハンドタオルで拭えば、ボールはすぐに乾ききれいな状態になる。「今日は他の犬とテニスボールで遊んだ」という程度であれば、それほど心配はしなくても良いだろうが、もしあなたが愛犬と頻繁にボール遊びをするのであれば、犬の健康のためにもゴムで出来た犬用のボールを手に入れるべきだろう。

 また購入の際は、犬の口に合ったサイズを選ぶことが必要である。犬には「大は小を兼ねる」は当てはまらない。サイズに合わないボールを咥えて口から外れないことも起こりえる。また、逆に小さいボールで遊んでいた知り合いのラブラドールは、そのボールが一回り小さかったために飲み込んでしまい、開腹手術をすることになった事例もある。愛犬のためにも、犬の体だけでなく口のサイズを基準にボール選びをすることをお勧めする。

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左からテニスボール、犬用ボール(オレンジ)と犬用のボール(ピンク) 犬用のボールはどちらもMサイズとの表記だが、その大きさはメーカーによって様々なので注意が必要だ。またテニスボールと中央の犬用オレンジボールの大きさは、ほぼ同じであるためか、飼い主は犬にテニスボールを使ってしまいがちだ

ボール遊びの注意点、ボール遊びは投げ手の責任

 ボール遊びの光景を見ていると、時々ヒヤッとすることがある。それはボールの飛んで行った先、または犬のいる状況を見ずにボールを投げてしまう人がいるからだ。多くの犬は、投げられたボールが誰のものであろうと夢中で追いかける。ボールが到達した地点がどんな場所であろうと、犬たちは関係なく全速力で走ってしまう。だからこそ私たち飼い主は、ボール遊びを安全でより楽しくするためにも犬(犬たち)のいる状況を必ず把握するべきなのだ。

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上記のように犬が私を囲んでいる状態の時に私はボールを決して真ん中に投げない。なぜなら、犬たちが一つのボール目掛けて中央に走りこみ、衝突する可能性があるからだ

 気をつけるポイントは......

1.複数の犬がボールを挟み込む形にいるときに、ボールを投げないこと
2.犬の走りこむライン、犬の近く、またはボールの近くに子どもや人がいないこと
3.投げたボールの到達点付近にフェンスや茂みなどの障害物がないこと
4.ボールを追いかける犬が、斜面を走り降りることがないこと
5.なるべく平坦で芝生のある場所で、犬にボールを追いかけさせること

 私はこれらのことに気を付けながら、犬とボール遊びをしている。下り坂ではバウンドしたボールが意外な場所に転がっていくこともあるだろし、走る犬はスピードがさらに増し、止まりきれないこともある。また人間には見えている金網のフェンスが、犬には見えていないこともある。下り斜面に向かって犬がジャンプし空中でボールをキャッチした場合、ジャンプした犬の場所と着地地点の高低差による足への負担は大きい。ボールの投げ手や犬の飼い主は愛犬のため、他の犬のため、そして周りの人のためにも、安全で遊べる状況、状態を確認しながら遊んでもらいたい。

ボール遊びを通して教えることができるコマンド

 投げたボールに向かって犬が走る姿は可愛らしく、時にカッコよく私たちの目に映る。しかし、犬にとってどこかに飛んでいくボールを追いかけることは、狩猟本能を持った彼らからしたら特別な動作ではないとも言える。そこで、もう少し犬に頭を使わせながら遊ばせてみてはいかがだろうか?

 私がやっている宝探しゲームを紹介しよう。

1.犬をヒールポジションに着かせ、マテの指示をする
2.ボールを前方に投げる
3.数秒、犬を待たせたら「Get it !」などのコマンドで、犬にボールを追わせる
4.犬がボールを見つけた瞬間に「Yes!」でも「Good dog!」でもよいので、犬に正しいことをしたということを伝える

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緑の中にあるオレンジのボールは、犬の目には判別しにくいと言われている。だからこそ鼻を使わせる絶好のチャンスなのだ

 単調な「ボールを投げる→犬が追いかける」という動きより、このゲームでは犬は頭を使いながら、追いかけたいという気持ちをこらえて飼い主の指示を待つことを学ぶ。同時に「Find your ball」 などでコマンドを教えれば、草むらに隠れたボールを目ではなく、自慢の鼻を使って探し出すことができるようになるだろう。慣れないうちは、犬とボールの距離を短くしておき段々と遠くへ投げること、探しやすいように必ず犬自身の匂いがついた同じボールを使う事がコツでもある。私の愛犬はボールの匂いを地面と風の流れから嗅ぎ取り、半径50mの範囲から隠れたボールを探し出し持ってくる。これはまさに犬だからこそ、一緒に出来る遊びだろう。

 平行して、「drop(your ball)」や「Give」などのコマンドで、咥えているボールを口から落とすことも教えるべきだ。公園で他の人のボールを取ったまま返さず犬が逃げ回る光景を見かけるが、「ボールを渡すこと」も犬にとって褒められることの一つと教えてあげれば、犬は喜んでその大好きなボールを口から落とす。

 犬との遊びで大事なことは、犬と飼い主が一緒に楽しむことだ。うちの犬はボールを拾ってこない、興味を示さないという悩みをよく聞くが、飼い主は犬にそのボール遊びを楽しませることを教え、それが飼い主と一緒にやる特別な遊びであること、犬が出来たその行動に対して最上級に褒めてやることが必要である。ボールを使って、犬とのコミュニケーションをさらに深めてみてはいかがだろうか?

◎プロフィール

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五十嵐廣幸

オーストラリア在住。元dog actuallyライター。週末は愛犬と一緒にSheep Herding(羊追い)をして過ごす。サザンオールスターズ、クレイジーケンバンド、そして動物を愛す。犬との生活で一番大切にしているのは、犬が犬として生きるためのクオリティ・オブ・ライフ。




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