lab

  1. HOME
  2. docdog lab.
  3. ドッグラン内で飛び交うさまざまな会話とは?

2017.06.05

ボディランゲージから読む犬同士の会話<後編>

ドッグラン内で飛び交うさまざまな会話とは?

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

犬同士で遊んでいるときにも、実は彼らはカラダを使ってかなり複雑な会話をしています。そのボディランゲージを知っておけば、ドッグラン内でのトラブル回避につながる他、普段愛犬が飼い主に向けて発しているボディランゲージも、もう少し細かく読み取ることができるようになります。貸切ドッグランでの犬同士のコミュニケーション動画撮影第2弾、今回も、犬たちのボディランゲージを東京大学の特任助教・荒田明香先生に読み解いてもらいました。

写真=大浦真吾 動画=docdog編集部、荒田明香 文=山賀沙耶

#しつけ

ラン内は犬同士の会話によって調和が保たれている

 前編では初対面の犬同士の会話を紹介したが、後編では初対面のあいさつが終わり、4頭がフリーで遊んでいる時間の中で発したボディランゲージを紹介する。
 その前に、前編でも紹介した犬たちのプロフィールをざっとおさらいしよう。

170603_02.jpg

■左:ルアン(キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、7歳、去勢済みオス)
おおらかな性格の、O次郎の同居犬。
■右:モーフ(オーストラリアン・ラブラドゥードル、1歳、未去勢オス)
遊びたい盛りだが、ちょっとビビり。

170603_03.jpg

■左:ベル(Mix、7歳、去勢済みオス)
人間より犬が大好きなマイペース犬。
■右:O次郎(Mix、4歳、去勢済みオス)
ビビりだけれど強がりで、他の犬と接するのは苦手。ルアンの後輩犬。

 それでは実際に4頭がドッグラン内で遊んでいるところの動画を見てみよう。

 基本的には、犬たちは争いが起きないようにうまくコミュニケーションをとっている。例えば、ルアンはモーフにしつこく遊びに誘われて、何度目かで軽く吠えかかるものの、攻撃の意思があるわけではない。また、ある2頭が遊んでいてエキサイトしてくると、必ず別の誰かが止めに入るなど、好き勝手に遊んでいるように見えて、4頭の中でもうまく調和がとられている。
 一方で、O次郎のように犬同士の会話が上手でない犬もいる。今回は同居犬のルアン、無理をしないモーフ、犬同士の会話が得意なベルという3頭がうまく接してくれて、ベルとは遊ぶこともできた。しかし、そうでない犬がいたり、もっと狭い場所やO次郎が逃げられないと感じる状況だったりしたら、どうなっていただろうか。トラブルが起きて、より犬が苦手にならないよう、人間が犬のボディランゲージを読み取って、適度に介入する必要がある。

 さらに、今回は犬同士が絡んでいる場面ばかりを取り出して紹介したが、実際にはドッグランにいる間ずっと犬同士で遊んでいるわけではなく、それぞれ好き勝手なことをしている時間も多い。
「ドッグランに行くと、犬同士が遊ぶことを期待する飼い主さんもいますが、実際は最初のあいさつだけであまり一緒に遊ばないことも多いですよね。それも人間に置き換えて考えれば当然のことで、初めて会った者同士が同じ空間に入れられても、ずっとべったりくっついて遊んでいたいわけではないのと同じ。無理に遊ばせようとしなくていいんです」 と、荒田先生。

 他の犬に会ったときに遊べる=社会化と思いがちだが、他の犬が好きすぎる状態は逆に困ることもあり得る。他の犬がいても過剰に気にしないでいられる状態こそが、最も社会化ができていると言える。ドッグランに行っても他の犬と遊ばないことを、飼い主が気にする必要はないのだ。

飼い主の出番はランに入るときと出るとき

 ドッグラン内で犬同士を気持ちよく遊ばせるために、飼い主の振る舞いが重要になってくるのは、ドッグランに出入りするとき。そこで、ここではドッグランに入るときと出るときのコツを、もう一度動画で紹介する。

■ドッグランの入り方
 ポイントは、犬が遊びに行きたくてバタバタと落ち着かないうちは、リードを放さないこと。オスワリなどの指示を出して、犬が止まっている状態でリードを放すようにしよう。
 また、動画では撮影の都合上、ドッグランの扉の近くでリードを放したが、実際にはランの奥に行ってから放すのが好ましい。扉の近くは出入りする人の妨げになるうえ、リードを放したときに万一扉が空いていたら、脱走してしまう危険性があるためだ。

■ドッグランの出方
 ランを出るときには、無理やり捕まえて引っ張ったり抱っこしたりして出ることは、極力避けたい。そのためには、呼び戻しの練習が必要になる。呼び戻すときに大切なのは、飼い主が犬に圧迫感を与えないこと。飼い主は前傾姿勢にならないで座り、瞬きするか目を細めながら、手をあまり延ばさずに呼び戻す。立ったまま直視して覆いかぶさるような姿勢を取ると、犬には挑戦的、あるいは「来ないで」というボディランゲージとして読み取られてしまう。後ろに下がりながら呼ぶのも、圧迫感を減らすための方法だ。
 呼び戻して犬が寄ってきたら、手を延ばさず近くまで来るのを待ち、カラーあるいはハーネスをつかんでごほうびを与える。手を延ばしてつかんでしまうと、呼ばれても何となく近くまでいけばいいと覚えてしまい、後々つかまえるのが大変になることもあるので、注意しよう。

 動画にもあるように、ランを出るときだけでなくランで遊んでいる最中にも、呼び戻しの練習をしておこう。ランを出るときだけ呼び戻していると、呼び戻し=楽しいことの終了、となってしまう。一度呼び戻されてもまた解放してもらえるとわかれば、いざ帰るときに呼び戻しても、さっと来るようになる。

 ここまで2回にわたって、ボディランゲージによる犬同士の会話を見てきた。これで、散歩中に他の犬に会ったときや、ドッグランに遊びに行ったとき、愛犬や他の犬たちがどんな会話をしているのか、ある程度わかるようになったのではないだろうか。
 ボディランゲージを通して愛犬の性格や言動の傾向がよりわかるようになれば、愛犬がおびえているときや困った行動をしたとき、またほめるときなど、どのように接すればいいかも自ずと見えてくる。そして、お互いの言葉が正確に伝わることこそが、愛犬と飼い主との信頼関係につながることは間違いないだろう。

■関連記事
>>ボディランゲージから読む犬同士の会話<前編> 初対面のあいさつではどんな会話をしている?
>>ボディランゲージ読み取り術 Vol.3 愛犬こそがボディランゲージの一番の教科書
>>ボディランゲージ読み取り術 Vol.2 ボディランゲージは「体の緊張度」と「自信の度合い」がポイント
>>ボディランゲージ読み取り術 Vol.1 犬のボディランゲージ、実は勘違いだらけ!?




 この記事が気に入ったらいいねしよう!
 最新記事をお届けします。

100年の歴史を持つ義肢・装具メーカーが手がける、足に優しい犬の靴『おさんぽソックス』

私たちが犬連れキャンプをススメる理由

私たちが犬連れキャンプをススメる理由
100年の歴史を持つ義肢・装具メーカーが手がける、足に優しい犬の靴『おさんぽソックス』