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2017.05.09

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カリフォル二ア便り ~LOVE LIKE A DOG~ vol.1

「笑う保護犬」スカイ誕生、そして分離不安克服まで

米国カリフォルニア在住のライター・白井朝美が、カリフォルニアでの犬との暮らしを紹介していきます! まずは、同じカリフォルニアに住むボディワーカー・和田さん夫妻と、"笑う保護犬"スカイについて2回にわたってお届けします。今回は、和田さんとボロボロの子犬だったスカイとの出会いと、一緒に暮らし始めてから問題行動が解決するまでを紹介しましょう。

#Lifestyle

Author :写真=ヘイル・デイビス 文=白井朝美

クリエイティブな街に住む、笑う保護犬スカイ

 田舎風雑貨店やブティックが立ち並ぶ古びた建物。その中を、ヨガマットを片手に歩くヨギーニたち。アウトドアカフェでは、コーヒーを注文する飼い主を優しい眼差しで見つめる犬がいる。

 時間が止まったかのような光景が映し出されるトパンガキャ二オンは、ネイティブアメリカンの言葉で「天国の入り口」という意味を持つ。ロサンゼルスの郊外から、クルマで約45分。観光客で賑わうサンタモニカとマリブの間にあるひっそりとした緑に囲まれた渓谷である。

 クリエイティブなDIYハウスも多く、創作活動をする多くのアーティストたちが住む場所でもある。

 トパンガキャ二オンの曲りくねった道路を走り、和田家に到着するとスレンダーなカラダを横に揺らし、シッポをブンブンと振ったダルメシアンMix犬が駆け寄ってくる。何とも嬉しそうに歩くその犬の姿は、白い歯を見せて、に~っと笑っているかのようにも見える。もしかして、本当に笑っているのかも!? と首をかしげていると、「我が家の犬は、笑うんですよ」と飼い主の和田義次さんと圭子さん夫婦が声をかけてくれた。

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大好きな海苔の音を聞くとすぐさま反応。りんご、きゅうりも大好物

スーパーのゴミ箱から拾われて、和田さん宅へ

 セレブレティらのボディワーカーとして、各地を飛び回る和田圭子さんは、1994年、ニューヨークからロサンゼルスに移住。犬と暮らす予定はなかったと話す圭子さんだが、ファーマーズマーケットで買い物中、マーケットの一角で行われていたダルメシアンレスキュー団体によるアダプションイベントに足を止めた。

 アダプション会場では、人と犬が触れ合いを楽しむ中、ケージの奥でジッとしている一頭のメスの子犬の姿が圭子さんの目に留まった。ケージに近づいてみると、両目の色が違う毛のない犬の姿。「こんな犬、いるの!?」と驚いた圭子さんに、アダプションスタッフがその子犬の経緯を語り始めた。

 バックヤードブリーディング(繁殖工場)で生まれ育ち、カラダにタトゥーを彫られ、刺し傷かと思われる傷口が残るその子犬は、聴力と視力が弱く、スーパーのゴミ箱に捨てられていたという。圭子さんの声に反応した子犬は立ち上がり、圭子さんの手をなめ始めた。相性は悪くはないようだ。

「その場で250ドルを払い、犬をアダプトすることになりました」と圭子さん。

 ファーマーズマーケットを後にして、サンルーフのついたクルマに子犬を乗せて走り出しすと、バックミラーには、青い空(SKY/スカイ)をずっと眺める子犬の姿が映し出されている。「ヘンな犬」そう思いながら、自宅に到着した圭子さんとレスキュー団体による里親宅訪問。正式に里親と認定された圭子さんの隣には、「SKY(スカイ)」と名づけた子犬の姿があった。

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今では16歳とシニア犬になったスカイ。エレベーションに弱いため、首から背骨にかけてマッサージ。また、ストレスが溜まると噛みたくなりがちなので、耳下の頰の部分もマッサージ

7つの決め事を作ったことで分離不安が解消

 和田家の家族となったスカイだったが、極度の分離不安性(SEPARATION ANXIETY)で、いつも不安顔。圭子さんが外出すると、ガリガリとドアを引っかく。帰宅後は、噛み砕いた靴が床に散らばっている始末。エネルギーがあり余っているスカイは、一日に3回、ドッグパークに連れて行かねばならならず、圭子さんは心身ともにヘトヘトに。
 保護施設から来たスカイのバックグランドを知らない圭子さんにとって、スカイの心理や行動を読みとることは難しく、スカイに振り回される毎日に頭を悩ませてしまったという。

 そんなとき、豊富なドッグトレーニングの知識を持ち、犬猫グッズのお店を経営するトマークスのオーナーの野村さんによる犬と飼い主の1週間のリハビリテーションで圭子さんとスカイの助けにはいることに。社会において、人間と犬が幸せに健康に暮らすためには、最小限の決め事があると知ったという。

決め事その一、
朝夕2回ご飯をあげた後、散歩をする。

決め事その二、
帰宅後、どんなに犬が喜んでも、犬が落ち着くまで無視。犬のベッドに戻ったところで、ほめてあげる。家のドアを閉めた後、犬が泣き始めたら、飼い主が家の中に戻ってきて、犬を無視。家の中を出たり、入ったりする事を何度か繰り返す。ここでのポイントは、犬を無視すること。自分の居場所(ベッドやケージなど)で、犬が大人しくできるようになったら、アイコンコンタクトをとり、カラダに触れてもよし。

決め事その三、
散歩に出かけるときは、犬がドアの外に先に出るのではなく、後から出るようにする。

決め事その四、
事故防止のためにも、名前を呼んだら、すぐに戻ってくるようにする。

決め事その五、
家の中でオシッコをしてしまっても、怒らない。"NO"は一回のみ。トイレシートに犬を連れていき、トイレシートを犬のところに持ってきてはいけない。

決め事その六、
体内時計をもつ犬のために、毎日のルーティン(日課)を決めてあげる。

決め事その七、
常にポジティブな意識と行動で犬と接し、犬に考える時間をあげる。

 犬が好き、犬に愛してもらいたい。または、愛犬を溺愛するばかりについ過剰な反応を示してしまったり、犬が言うことを聞かないと感情的な態度になったりするのは禁物。犬を甘やかすのは悪いことではないが、甘やかしすぎには気をつける。お互いに依存しない関係を作り、飼い主が家にいてもいなくても、犬が落ち着いて暮らせるような空間を作っておく必要がある。最初は、厳しく感じるかもしれないが、それが、犬の健康にもよいというのだ。
 これらの決め事をルーティン化した後、スカイの分離不安少は完治。トイレのしつけも完璧。ドアを引っかくことも靴を噛むこともなくなり、和田家に平和が訪れた。

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5分の別れも一生の別れも犬にとっては同じこと。和田家のパックリーダー、写真家のツグさん

 スカイを里親に迎えた当初、いつも寂しそうにドア越しに座っていたスカイに「スマイル、スマイル」と話しかけたという圭子さん。その一カ月後、突然、スカイはニッと笑うようになった。その笑顔が持つ力は、和田家だけでなく、まわりの人たちを幸せにする力を持っているに違いない。

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>>カリフォル二ア便り ~LOVE LIKE A DOG~ vol.2 16歳になる保護犬スカイの、カリフォルニア流健康法とは?




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