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2017.04.20

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これからの季節に気をつけたい、身近に潜む危険植物・危険物質<後編>

どこへ?何をする?自然の中で遊ぶ時には備えと知識で危険回避

外歩きが気持ちのいい季節は、人間や犬だけでなく、他の生物や植物の動きも活発になります。前編では近所の散歩コースで見かける植物について注意すべき点をご紹介しました。後編では山や海などの自然の中に出かけた時の注意点と、植物以外の危険についてご紹介します。前編に引き続き、Ve.C動物病院グループ総院長の朴 永泰先生にお話を伺いました。

#Activity / #Healthcare / #Lifestyle

Author :写真=大浦真吾 文=古川あや 監修=朴 永泰(Ve.C動物病院グループ総院長)

アウトドア後には全身チェックを!

 日常の散歩はもちろんのこと、自然と触れ合ったときに起きやすい代表的なトラブルが、ノミ・ダニといった寄生虫。毎月予防薬を使っていても、油断は禁物だ。

「予防薬にもいろいろな種類がありますし、耐性を持つダニも出てきているのではないかとも言われています。ですから、予防薬をつけているから大丈夫と安心するのではなく、ダニのつきやすい耳、目のふち、肉球の間などの場所を必ずチェックしてあげてください」

 ちなみにダニを見つけても、無理に引き離してはいけない。頭部や牙が皮膚の中に残ってしまい、感染症などのリスクが生じるからだ。

 また、川遊びや水遊びが好きな犬は皮膚への感染症にも注意したい。前編でも述べたように、犬の肌は人に比べてとてもデリケート。

「海で遊ぶのが好きなラブラドール・レトリーバーが、酷い膿皮症になって来院したことがあります。水中にはさまざまなバイキンがいますから、真水で流せばいいという話ではないと思います。特に自然の中での水遊び後は、しっかりスキンケアを行って、皮膚を清潔に保つように心がけていただきたいですね」

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これからの季節、水遊びするコも増えるだろう。めんどくさがらず、タオルドライだけではなく、なるべく早いタイミングでしっかり洗ってあげるようにしたい

草むらに潜む意外な危険

 林や森の中、草原の中に分け入っていく犬の姿は見ていて楽しくなる。戻ってきた犬の身体中に草の種がくっついていた......という経験をお持ちの方もいるだろう。種は一つひとつ取り除くしかないから大変な作業だが、見えない部分にも注意を払いたい。

「草むらの中に入り込んだあとに、犬が頭を振るような仕草をしたら、耳の中に虫や草の実などの異物が入った可能性もあります。トゲが引っかかるため、一旦入ったら出てきませんし、気づかずに放っておくと鼓膜を痛めたり、深刻な炎症を引き起こしたりすることにつながります。動物病院で早めに取り除いてもらってください」

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 また、コメ、ムギなどイネ科の植物の穂の一部である「エイ」が目や肌に突き刺さりトラブルに繋がることもある。草むらの中に入ったときは、普段より念入りに全身のチェックを行おう。
 また、レトリーバーやスプリンター系など運動量の多い犬に注意してもらいたいのが、木の棒を使ったレトリーブ。

「ヨーロッパでは多い事故ですが、木の棒のレトリーブをしていて、喉の奥にトゲや木先が刺さってしまい、それが化膿してしまうというものがあります。喉の奥なので気づきづらい場所ですし、膿んでしまうと大がかりな手術になってしまいます」

 ボールもフリスビーもないから、落ちている木の棒で、というのはやめた方が賢明だ。

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編集部犬モーフも、木の枝大好きのようなので注意してもらわないと......

感染症対策も忘れずに

 普段の生活エリアと違う場所に出かけるときには、目的地にどのような感染症があるかの確認も必要だ。かかりつけの獣医に相談すると的確なアドバイスがもらえる。
 西日本に多い感染症にレプトスピラ症がある。ネズミなどの尿から感染する伝染病で、犬の場合は家畜伝染病予防法の届出伝染病に含まれている。

「ワクチン摂取を7種混合にするかそれ以下にするかにも関わってきますが、全国的にはレプトスピラ症は珍しいものではないので、遊びにいくエリアによってはしっかり予防したほうがいいでしょう」

 ちなみに、レプトスピラ症については菌の血清型によってワクチン効果が期待されないものがあるため、悩む飼い主も多い。

「レプトスピラ症に関しては、2012年に23区内で60歳代の男性が感染したという事例が起き、感染経路は屋根裏のネズミだとわかっています。
 疫学は常にアップデートされていて、微生物も生き残るために変異していきます。ちょっと前の常識が今は非常識になってしまう場合もありますので、常に感染症関係には危機意識を持ち続け、敏感でいてほしいと思います。
 これは私の実感ですが、下痢や嘔吐など同じ症状で来院する犬が続くという傾向があるんですね。住宅地はいわばペットの密集地でもあり、さまざまな犬たちが通ったあとを散歩しているということも、意識しておくといいでしょう。また、地域に住む野生動物とどう棲み分けるかということまで、考えていただきたいですね」

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アクシデントは一瞬の空白に起きる

 最近の飼い主は非常に意識が高く、犬の安全に注意を払っているという朴先生。それでも事故が起きるのは「一瞬の気の緩み」からだと指摘する。誰もがヒヤッとした経験はお持ちだろう。ちょっとスマートフォーンをいじっていた......、ちょっとよそ見をした......。誤飲や誤食の事故は、そんな何気ない瞬間に起きてしまう。

「アウトドアでもインドアでも家族や仲間が集まって場が盛り上がれば、気軽にパンを与えることもあるでしょう。でもパンは喉の奥に張り付くと、窒息の原因にもなりえます。中毒があるとわかってはいたんだけど、ふと目を離した隙に食べてしまったなど、思いがけない場面で事故は起きてしまいます。
 正確な情報を得ると同時に、常に愛犬の行動に注意を払っていただきたいですね。誤飲誤食を未然に防ぐためにも、日頃のしつけは大切だと思います」

 これからの季節、散歩やアウトドア・アクティビティを愛犬と楽しみながらも、トラブルは未然に防ぐという意識を常に持ち続けたい。

◎監修者プロフィール

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朴 永泰先生

Ve.C動物病院グループ総院長/獣医師。2008年に北里大学卒業後、多くの臨床経験を経て、2015年から代官山動物病院院長、2016年よりVe.Cグループ総院長を務めている。専門・得意分野は、総合診療科/内視鏡外科/軟部組織外科/循環器科/救急医療。
自由が丘動物医療センターHP:www.vec-jygamc.com

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