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2017.04.07

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シェルターボランティアで学んだこと vol.10

シェルターの犬を引き取るために必要なこととは

前回はシェルターの犬たちがどのような経緯を経てやってくるかをご紹介しました。今回は、シェルターの犬たちのその後について触れたいと思います。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

里親希望者と犬を信じて、新たな生活に送り出す

 里親募集中の犬には紹介文が準備されます。シェルターに来た経緯、性格、得意なこと、苦手なこと等が紹介され、その子にとって適している家庭環境について触れています。
 例を挙げると、元気のいいパピーの場合は小さな子どものいる家庭では事故の恐れもありますから「子どもの年齢は8歳以上」、飼い主と別れ、かなり神経質になっている犬の場合は「静かな家庭環境が望ましい。子どもはティーンエイジャーかそれ以上(13歳以上)」、田舎から来た子によくあるのは「リードをつけての外の散歩が苦手なので、広い庭がある家庭が好ましい」などです。

 シェルターにいる子に申し込みフォームが入り、里親さんに引き取られていくことはボランティアにとってうれしいことです。特に興奮しやすい子や吠えのある子など、扱いにコツがいる子の場合はひとしお。帰ってきませんように、うまく慣れてくれますように、と祈るような気持ち見送ります。

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ハウンド系の犬は運動量が必要。都市部での生活には工夫が必要だが、ファンも多い

 里親になりたいと考えても、日本では賃貸、単身、未婚カップルは不可という場合が多く、さらには年齢の上限も設定されているようです。生活環境を確認するための家庭訪問なども必須となっていて、ハードルが高いと感じている里親希望者もいるようです。里親に出した子の行く末を考えてのことでしょうから、理解もできます。

 一方、シェルターでは、18歳以上なら一人暮らしの人でも里親になれますし、賃貸物件に住んでいる場合は体重制限、頭数制限等のアパートの規約を満たしていることを証明する書類を提出すればいいということでした。家庭訪問も行っていた時期もあるそうですが、現在はアダプション前のコンサルティングのみを行っています。
「いろいろ心配するよりも、飼い主となった人がそれぞれの方法で犬との関係を作っていくことに期待している」という説明でした。

再びシェルターに戻ってくる理由は?

 アダプションのプロセスで注意深くマッチングを行っていても、返される子はいます。どんな子が戻ってくると思いますか? 元気がよすぎる子、ちょっと口が出てしまう子、そんな子が浮かぶのではないでしょうか。おとなしい子が戻されると想像される方は少ないと思いますが、この子がどうして、という場合も。「いつも撫でてと寄ってくるから......」と帰ってきた子がいました。人間の近くにいることを好み、他の犬とも穏やかに過ごせる犬です。「この子の里親さんは、どういう理由で犬との生活を考えたんだろうね」というのが私たちの抱いた疑問でした。

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小型犬は引き取られていきやすい

 2015年の秋頃だったと思いますが、アナというパピーがいました。2カ月に満たない月齢でシェルターにやってきて、しばらくお腹の調子が悪かったのですが、体調が落ち着くと、里親募集リスト入り。子犬は人気がありますから、すぐに引き取られていきました。でも、その数日後のボランティアの日、アナがケンネルの中にいるのです。戻って来た理由は「子犬にこんなに手間がかかるとは思わなかったから」。
 そうなのです。子犬は可愛いけれど、たくさんのお世話が必要です。1日3回の食事、トイレのトレーニングも行わなければなりません。フルタイムで仕事をしている場合には長時間の留守番に子犬は耐えられません。歯の抜けかわりの時期には、柱や家具をかじったりもします。かわいいという気持ちだけでは乗り越えられない、しっかりとした覚悟が必要です。子犬は大変だから......とトイレトレーニングが終わり、ある程度落ち着いている成犬を希望する方も多いようでした。

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散歩するグレートデーンのモーリー。シニアだがまだまだ元気だ

シニア犬も幸せに。シェルター後の元気な姿が何よりの喜び

 シェルターに長く滞在する傾向が強いのは高齢の犬です。超大型犬のグレートデーンのモーリーもそうでした。目に持病があり、点薬で治療しながら、里親さんを待っていたところ、小型犬の先住犬のいる家庭に引き取られました。ところが、先住犬と上手くいかなかったとのことで出戻ってきました。里親さんには苦渋の選択だったそうで、涙を浮かべての別れだったそうですが、モーリーにとってはストレスからの解放です。以前と同じように、ボランティアに体を撫でて撫でてともたれかかったり、シェルターの外を散歩したり、のんびりと日々を過ごしました。

 純血種はその犬種のレスキューをしている団体に移動することもあります。事情を抱えた犬でもよい落ち着き先が見つかりやすいからです。なかなか里親が見つからないため、そうしたほうがいいのではと囁かれ始めたころ、運命の出会いがありました。ミドルエイジのご夫婦の静かな家庭に引き取られていったのです。先住犬もいません。今も里親さんから定期的に届くメールには、シェルターに居る頃より生き生きした表情を浮かべるモーリーの写真が添付されています。シェルターから巣立った犬たちの元気な姿は私たちへの何よりの喜びです。

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