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2017.03.31

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シェルターボランティアで学んだこと vol.9

シェルターの犬たちは、どこからやってくる?

前回もお伝えしたように、プレイ・グループに参加する犬たちは常に入れ替わっています。元気いっぱいの犬、シャイな犬、人間が苦手な犬、サイズも性格もさまざま。共通するのは一定期間、誰からも必要とされなかったということです。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

 犬たちが一日の大半を過ごすケンネルの入り口には、それぞれの犬について分かっている範囲の経歴が書かれた札がかかっています。年齢、性別、シェルターにきた理由、性格、苦手なこと、散歩が好きか、社交性はどうかなどなど。
 シェルターに来た経由について多いのは以下の3つでした。

・Transfer(他シェルターからの移動)
・Surrendering(飼い主持ち込み)
・Stray(野良として捕獲)

動物福祉の意識の違いで、州外からやってくる保護犬

 一番多かったのが他シェルターからの移動。特に州外から多くの犬がやってきます。都市部に比べて地方ではまだまだ動物福祉の意識が低いこともあって、野良犬や放棄される犬が多いという話でした。未去勢未避妊の犬も多く、当然のことながら仔犬たちもどんどん産まれてくるのです。

 そんな訳で地方のシェルターは犬たちであふれているため、里親希望者の多い都市部のシェルターへ移動し、そこで里親探しをするのですが、それまで静かな環境で過ごしていた犬たちには、新しい環境に慣れるという大仕事が待っています。
 都市部には車や機械、サイレンなどの人工的な音があふれています。シェルターは比較的静かな場所にありましたが、たびたび騒音を立ててバスが走ります。シェルター外を歩く散歩は苦手という犬も少なからずいました。
 シェルターの建物内とプレイヤードでは元気なのに、そこから先には一歩も進めない犬もいました。ピットブルが入った大型犬で、駐車場の手前で体を丸めて固まってしまうのです。少しずつ音に慣れさせる努力もしましたが、結局は地方の他団体に移動。都市部で生活することは難しいという判断でした。

 他団体への犬の移動は珍しいケースですが、なかなか里親が現れない、特別なケアが必要だがシェルターでは提供できない、といった場合には、その犬により適した環境で里親探しができるように他団体とも協力しあって道を探っていました。

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人馴れしていない犬には無理に働きかけず、ただ同じ空間にいるだけの時間をすごす

受け入れの前に、放棄しない方法をまずは模索

 飼い主の持ち込みには様々な理由がありました。引越しのため、子どもが生まれたから、十分な世話ができないから。シェルターではすぐに犬を引き取るのではなく、例えば、問題行動が原因になっている場合には犬との接し方のアドバイスを行ったり、トレーナーなどを紹介したり、一緒に暮らしていくためのアドバイスを行います。
 それでも無理だという場合には飼い主を責めることなく引きうけます。人生は何が起きるか分からないから、やむをえない事情が出てくることもあるでしょう。シェルターに連れてくる飼い主は少なくとも森や公園、ドッグパークなどに置き去りにして犬を危険にさらすようなことはしていない。「正しい放棄」を行い、最後の責任を果たしているということです。

 子どもが生まれたからという放棄理由は少なくないのか、シェルターではこれから赤ちゃんを迎える夫婦に向けたセミナーを定期的に開催していました。赤ちゃんと犬が事故なく暮らしていくための正しい飼育方法を知っていれば不安に駆られて犬を放棄する、という不幸は減ると考え、赤ちゃんと飼い犬の双方が安心して過ごせるような情報提供とアドバイスを行っていました。

国外の犬肉工場からのレスキューも

 アメリカの大きな動物福祉団体が、アジアの犬肉工場から犬をレスキューしたというニュースがFacebookなどに定期的に流れますが、アメリカに到着した犬たちは国内の各シェルターに引き取られていきます。ボランティア先のシェルターにもそのうちの数匹がやってきました。
 犬肉工場の犬に共通しているのは、工場以外の世界を知りませんからすべてが初めてのことばかりなので、いろんなことにびっくりどっきり。それでも、人を怖がってはいなかったのが印象的でした。

 また、中南米のプエルトリコからの犬たちも定期的にやってきました。栄養状態が悪く、人を怖がる子が多いように感じましたが、適切な治療を受けシェルターでスタッフやボランティアと触れあううちに、犬たちから人間に近寄って、手からおやつを食べるようになります。こちらもすぐに里親さんの元に引き取られていきました。

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右の茶色い犬が食肉工場からレスキューされた犬。怖がりだが、人の近くにはいれる

 珍しい理由では、法定数以上を飼育していたから、というものがありました。シェルターのあるカウンティは都市部にあるため、1世帯につき飼育できるのは3匹までと定められており、それ以上の犬を飼うには特別な許可が必要です。
 飼い犬は役所に登録することになっていますが、未登録なら何匹飼っても分からないのが本当のところ。1世帯で4匹、5匹と飼っていても、実際に問題となるのは稀なようです。発覚するのはたいてい、鳴き声の苦情や庭に出しっぱなしなどで動物虐待を疑われてアニマルコントロールに通報された、というのが発端となるようです。

 飼い主から引き上げられてきたその犬は多少世話が行き届かなかった点はあるのかもしれませんが、健康で人にも犬のフレンドリーで、飼い主に愛されていたように見受けられ、正直、少し複雑な思いもしました。

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