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2017.02.08

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「分離不安」を正しく理解しよう(後編)

分離不安を克服するための練習法とは?

「分離不安は愛情の証」などと思ってしまうかもしれませんが、実際には愛犬に強いストレスがかかっていたり、留守中に家の中をメチャクチャにされたりと、ひどくなると放っておくことはできません。それでは、分離不安かもしれないと思ったら、具体的にはどのような対策をしたらいいのでしょうか。前編に引き続き、東京大学の特任助教、荒田明香先生に教えていただきました。

Author :写真=永田雅裕、大浦真吾 文=山賀沙耶

「帰宅時に無視する」だけではダメ

 愛犬が分離不安とわかったら、できる限りそのストレスを取り除いてあげたい。愛犬に「絶対に戻ってくるからひとりでも大丈夫」と思わせてあげるよう、繰り返し練習することが大切だ。
 以下に、具体的な対処法をまとめてみた。【1】【2】が分離不安を根本的に直す方法だ。ポイントは、ただ単に毎日時間を延ばしていくということではなく、愛犬の反応を見て、不安なようすがなければ次のステップに進むということ。また、【3】~【6】を組み合わせることで、【1】【2】を実施しやすくなる。中には不安を下げる薬や専門的な行動治療が必要なケースもあるため、ひどい場合や以下の練習がうまくいかない場合には、早めに動物病院に相談することをオススメする。

【1】在宅中に離れる練習をする
 分離不安がひどいと、飼い主と1秒も離れていられない、というコもいる。そういう場合は、留守番の練習の前に、まずは在宅中に離れて過ごす練習から始めよう。
 まず、何らかの方法で愛犬が落ち着ける状況を作り、「ちょっと待っててね」などと声をかけ、飼い主は愛犬から見えない場所(例えばトイレなど)に移動して、すぐに戻る。愛犬が落ち着いていられるようであれば、少しずつ時間を延ばしていく。このとき、愛犬が落ち着きやすいように、愛犬がいつも寝ている場所で練習するとうまくいきやすい。

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【2】留守番の練習をする
 【1】で30分ほど別室で過ごせるようになったら、【1】と同じような状況を作って外出する。この場合も、最初は数秒で戻り、愛犬が落ち着いていられるようであれば、少しずつ時間を延ばしていく。

【3】外出前に散歩をする
 外出する前に散歩などで満足させておくと、留守中に疲れて寝ていてくれる可能性が上がるのでオススメだ。排泄を済ませておくというメリットもある。

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【4】外出時にコングやご飯を与えて、留守番のイメージを上げる
 外出するときにコングやオヤツ、ご飯など、愛犬の喜ぶものを与えて、留守番のイメージを上げるのも手だ。ただし、コングなどよりも留守番の不安が上回ってしまうと、コング=留守番の条件付けがされて、コングの用意を始めると不安そうにソワソワするようになるなど、かえって逆効果になることも。留守番の不安を上回る、スペシャルなごほうびをうまく使おう。

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【5】留守番中の環境を普段に近づける
 テレビやラジオ、電気をつけっぱなしにするなど、"いかにも留守番"という環境を作らないことも有効だと言う。しーんとしているほど、外のちょっとした音に反応しやすくなったり、雷などの苦手な音が気になってしまったりするのは、想像しやすいことだろう。

【6】分離不安に陥るきっかけを取り除く
 例えば上着をはおる動作やカギの音など、分離不安に陥る明らかなきっかけがあるようであれば、上着は外で羽織る、カギの音がしないようにするなど、きっかけを取り除くのも一つの方法だ。

 ちなみに、よく聞く分離不安の対処法の一つが、「出かけるときと帰ってきたときに、愛犬のことを無視する」というものだが、これをやるだけでは分離不安は直らないそう。
「よく『無視しているけど直らないんです』という飼い主さんがいらっしゃいます。この『無視する』という考え方は、飼い主さんの在宅時と不在時の差を少なくする目的ですすめられることはありますが、これだけを実施しましょうということでは決してありません。留守番後にどうするかということより、留守番前の程よい発散と愛犬に合わせた留守番練習の方がずっと大切です。実際、帰宅時にも無視までする必要はなく、ある程度落ち着いていたらあいさつする、何か指示を出してできたらあいさつするなど、大騒ぎさせすぎなければ普通に接しても問題ありません」

実際は飼い主が愛犬に依存していることも

 愛犬が分離不安の家庭を見てみると、日常的に留守の時間が長い家庭だけでなく、逆に家を空けることの少ない専業主婦などのいる家庭も少なくないという。実際には、愛犬が飼い主に依存しているというより、飼い主が愛犬に依存しているケースもあるのだそう。
 また、留守の時間が長い家庭の場合、子犬を迎えたときは1週間ほど仕事を休んでべったり一緒に過ごし、その後いきなり10時間留守番させるなど、落差が激しすぎるのも問題につながるだろう。犬のようちえんなどもうまく利用しつつ、できるだけ少しずつひとりの時間を延ばしてあげよう。

 どのような家庭環境であれ、飼い主と愛犬が片時も離れず過ごすことができる状況は、まずあり得ない。愛犬の留守番は避けられないことと考え、少しずつ練習して慣れさせておくことが大切だ。

◎監修者プロフィール

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荒田明香先生
東京大学 大学院農学生命科学研究科 附属動物医療センター特任助教。東京大学農学部獣医学専修卒業。獣医師、獣医学博士、獣医行動診療科認定医。犬や猫の行動遺伝学に関する研究を行うとともに東京大学附属動物医療センターと苅谷動物病院で問題行動の治療に携わっている。

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