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2017.02.27

ブログ        

シェルターボランティアで学んだこと vol.7

プレイ・グループを楽しい場所にするために

より犬と密接に関わるプレイ・グループのボランティアは、充実度が高い一方で、大きな責任も生じてきます。犬たちがのびのびと過ごせる場は、トラブルが起きる危険性もはらんでいるからです。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

ボランティア間で日誌を書き、詳しい情報共有を行う

 プレイ・グループは1対1で行う場合もあれば、時には8匹ほどの大きなグループになることもあります。基本的には同じようなサイズの犬たちの組み合わせとなりますが、それぞれの犬の遊び方、気性を考慮して、チームリーダーが組み合わせを決めていきます。
 その際参考にするのが、プレイ・グループのボランティアでシェアしている日誌です。犬の組み合わせごとに、どのように遊びが展開していったか、ボランティアはどう対処したかなどが細かく記録されています。「ベスト・マッチの組み合わせ」「よくない組み合わせ」「○○はよい調停役をした」といったことから、「5分で遊びを切り上げないと、興奮度が増し、警告も効果がない」など具体的な提言まで、さまざまな情報が集積されています。
 ちなみに、初回は互いに無関心でも、他の犬も含めたグループならば一緒になって遊ぶということもままあるため、日誌の情報を参考に、犬の性格や行動パターンを慎重に観察し、犬たちが楽しく遊べるようにさまざまな組み合わせを試していきました。

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通常は同じサイズの犬たちがグループになるが、時に大中小と揃うことも

「RED FLAG」行為が出たときには

 前回、トラブルにつながる行為「RED FLAG」の例をあげ、介入する場合にはボランティアは(1)冷静でいる、(2)犬の名前を呼ばない、ことが基本であるとお伝えしました。ついつい慌てて声を張り上げてしまうと、犬たちはさらに興奮してしまうので、あくまでも落ち着いたトーンでの声かけが肝要です。警告するときに名前を呼ばないのは、名前は「楽しいこと・うれしいこと」とペアになっているべきだからです。名前を呼ばれるたびに注意を受けていたら、私たち人間だってゲンナリして、その場から逃げ出したくなりますよね。

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追い詰められている犬がいるため、まずは近づいて警告を与える

まずは警告、そしてコレクション(罰)

 遊びが少々一方的になったかなという初期段階では「警告」を与えます。「enough(もう十分だよ)」という声かけや犬たちに向かって進むという行動がそれにあたりますが、過度な興奮ではないため、問題行動をしていた犬は警告者の顔を一瞬見て、それまでの行動をいったんやめます。しばらくすると同じ遊びが始まるのですが、遊びと遊びの間に休憩を挟むことで、クールダウンできるのです。
 警告の効果がない場合にはコレクション(罰)が必要になります。罰といっても、もちろん体罰ではありません。1匹の犬だけが興奮している場合は、その犬の顔に軽くスプレー水をかけます。効果がなかったり、繰り返し同じ行動を行ったりする場合は、リードをつけてボランティアと少し離れた場所に移動したり、フェンスにつないだりしてグループと隔離、さらにはケンネルに戻すこともあります。
 グループ全体が興奮している場合はシェークカン(空き缶に小石を入れたもの)を振って、ガラガラと激しい金属音をたてます。あまりの音にたいていの犬は一瞬、動きを止めます。最終手段はエアー・ホーン。空気の入ったカセットボンベにホーンがついたもので、実際に試したことはありませんが、大きな音を出せるそうです。
 ちなみに、基本的には警告やコレクションを行うのはチームリーダーです。"ボス"が2人も3人もいると、犬たちが混乱するから......という訳です。

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手に持っているのがスプレーボトル。遊びが一方的になり警告もきかないので茶色の犬に水をかけた

 駆け回ったり、日光浴をしたり、思い思いに「自由」を楽しむ犬たちの姿は、私たちの一番の喜びです。事故のないように、犬たちが思い切り心と体を解放できるようにと注意を払っていても、残念ながらトラブルが発生したことがあります。
 プレイ・グループに参加して数えるほどだった頃のことです。最初は他の犬たちと遊んでいた一匹が、気がつくとプレイ・ヤードに背を向け、ゲートの前に座っているのです。そろそろケンネルに戻した方がよさそうだと私たちが動き出したとき、離れたところで遊んでいた集団が雪崩のように近づいてきたのです。
 興奮度が一番高かった犬にリードをつけたところで、他の犬との間でトラブルが発生。水をふきかけるボトルも大きな音を出すエアー・ホーンも使う余裕はありませんでした。トラブルに遭遇したのはこの一度きりでしたが、あと10秒早く犬を外に出せなかったことが悔やまれます。責任の重さを強く実感した出来事でした。

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