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2017.02.10

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シェルターボランティアで学んだこと vol.6

犬の幼稚園?プレイ・グループが犬たちにもたらすこととは

エンリッチメントのボランティアを始めてほどなくして、ステップアップのお誘いを受けました。それは犬たちを裏庭で自由に遊ばせるプレイ・グループへの参加でした。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

プレイ・グループはシェルターの犬たちが楽しみにしている時間

 前回、平日の昼間にボランティアできる人は少ないことに触れましたが、そのおかげで、思いのほか早く、ステップアップする機会に恵まれました。「犬の扱いも慣れているようだし、もし興味があったらプレイ・グループのボランティアをやってみない?」とトレーニングしてくれた先輩ボランティアのゲーリーから声がかかったのです。プレイ・グループは平日の午前中9時から正午まで実施されています。断る理由はありません。
 さっそく、プレイ・グループを見学したところ、とにかく犬たちの勢いに圧倒されました。フェンスで囲まれた35m×10mほどのプレイ・ヤードを中型犬以上の数匹の犬たちが固まりになって走り回るのです。走ったり、ジャンプしたり、ハウンド系の犬たちの身体能力の高さにただただびっくりしました。もちろん、小型犬たちは小型犬のグループでのんびり、まったりとした時間を過ごしていました。

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小型犬もたくさん里親を待っていた。小さい子たちも元気に駆け回ることも

プレイ・グループの意義とは

 プレイ・グループは、シェルターで一般公開されている犬たちの幼稚園のようなもので、相性のいい数匹の犬を自由に広場で遊ばせるというもの。犬の組み合わせなどを考えるメイン・ボランティアに、その手伝いをするサブ・ボランティアがペアになって行います。私はもちろんサブ役です。
 メインの指示に沿って、犬たちをケンネルから出し入れをし、メインと共に犬たちの行動を観察し、トラブルが起きないように注意を払うことが仕事です。ときにはシェルターの外へ犬たちを散歩に連れて行くこともありました。

 プレイ・グループを行う意義としては以下の3点が挙げられます。

身体的な運動と精神的な刺激
どのような里親縁組が望ましいかの情報を得る
行動評価を行える

 犬たちは屋外で自由に走り回ったり、いろいろな匂いを嗅いだり、音を聞いたり、好きなように過ごします。元気な犬たちが数頭そろえば、かけっこが始まりますから運動にもなりますし、さまざまな匂いや音、他犬との交流の中で精神面の刺激を受けることになります。ケンネルの中で過ごす時間が多いシェルターの犬には、こういうストレスを発散できる時間はとても貴重な時間。プレイ・ヤードへ向かう犬たちは、しっぽをブンブン大喜びです。
 また、個々の性格や行動の傾向を知る場ともなります。ケンネルは基本個室ですから、他の犬とどう接するかなどの情報は得られませんが、プレイ・グループでの行動を観察することで、それぞれの犬の性格(社交性や忍耐力の有無、好き嫌いがある等)や遊びのスタイル(優しい、激しい等)などの情報を得ることができます。こういった情報はより適した里親縁組につなげる助けとなります。また、社交性の無かった犬が、プレイ・グループでの時間を経て、他犬と上手に遊べるようになる、という変化が生じたこともありました。

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元気に走り回ったあとに、自主的に休憩する犬たち。このあと、次のラウンドに入る

RED FLAG! この行動が出たら注意!!

 ここで重要なのは、プレイ・グループは純粋に犬たちの遊びや活動であること。初めて会う犬同士の場合は、相性を見極めるまでは慎重にコントロールしますが、相性に問題のない犬同士の場合はプレイ・ヤードに一歩入るとリードを離れて自由に過ごします。
 私たちボランティアは犬たちをなでたり、抱っこしたりは厳禁(時に例外もありましたが)。犬たちの行動を注意深くただただ見守ります。ときに犬同士の遊びは興奮が高まり、激化する場合がありますが、遊びの範疇ならば心配はありません。でも「RED FLAG」とされているトラブルにつながる行動が始まったときには注意が必要です。

【RED FLAG】
●いじめ:複数の犬が無防備な1頭の犬をいじめる
●ハーディング行為:一方的に追ったり、とり囲んだりする行動として現れる
●ストーカー行為
●首や首輪をつかみ、離さない
●転がしたり、押さえたりする
●ターゲットを定める
●姿勢をこわばらせる
●縮こまる、ベンチの下やボランティアの後ろに隠れる
●パニックを起こす、悲鳴をあげる

 上記の行動を確認したら、犬たちの間に生じた緊張をとくために状況に応じた方法で介入します。その手法については次回に触れることとしますが、どのような場合でも共通することは、(1)ボランティアは冷静でいること、そして(2)犬の名前は呼ばないということ。シンプルですが、どちらもとても難しいことでした。

 

 プレイ・グループで学んだことは、ドッグパークなどに愛犬を連れて行く際に大いに参考になりました。ついつい過保護になりがちだった私ですが、多少の激しい遊びは安心して見守ることができるようになりました。

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