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2016.12.05

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世界中で大人気の新ドッグスポーツ

どんな犬でも楽しめる「ノーズワーク」とは?(後編)

「うちの犬には何もできない」。そう思い込んでいる飼い主にこそ挑戦してほしい、犬の嗅覚を使う新スポーツ、「ノーズワーク」。何もできない犬が初めてノーズワークに挑戦するとどうなるのか、実際に編集部山賀の愛犬ベルが、トライさせてもらいました! 前編に引き続き、『ノーズワークファンフレンズ』のトレーナー、松下裕子先生に教えていただきます。

#Activity / #Lifestyle

Author :写真=盧瑞婷 文=山賀沙耶

知っておきたい3つの基本ルール

 特定のにおいを探させるノーズワークは、どんな犬にでもできるって本当? ということで、私、編集山賀の愛犬ベル(Mix、推定7歳)が、ノーズワークに初挑戦することに!
 ベルは私が7歳で引き取った犬で、これまできちんとしたトレーニングを受けたことは一度もなく、オスワリ、フセ、オイデもしっかりできるかあやしいというレベル。ただ、ワイルドな環境で育ったのか、散歩中のにおい嗅ぎが何より大好きだ。

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におい嗅ぎの好きなベル。ノーズワークは向いていると思うが、飼い主としてはどこまでできるのか、自信はない......

 まず、ノーズワークを始めるに当たって、知っておきたい基本ルールを3つ紹介する。

【1】飼い主から犬に指示を出さないこと
 ノーズワークは犬の自主性を育て、生き生きとした姿を取り戻してもらうことを目的の一つとしている。そのため、「マテ」「サガセ」「ダメ」など飼い主側からは一切指示を出さないこと(レベルに合わせてスタートの合図はつけていくこともある)。また、初回のみリードをつけて練習を行うが、リードを引っ張ったりしてもいけない。

【2】オヤツは常に同じものを1種類のみ使う
 犬に探させるオヤツは1種類に決め、ノーズワークでは毎回同じものを使うようにして、ノーズワーク以外のときには与えない。探すにおいを統一することによって混乱を防ぐとともに、家でオヤツを勝手に探してしまうといった事態を防ぐことができる。初回はにおいが強めのオヤツを3種類ほど用意し、その中から犬の好きなものを選ばせる。

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ベルにはチーズ、レバー、ささみを用意。レバーにいちばん食いついたので、ノーズワークのオヤツはレバーに決定

【3】フードガードのあるコは事前に対処を
"どんな犬でもできる"と書いたが、フードガードのあるコ、つまり食べているときにボウルに手を入れるとうなったり噛んだりするコの場合は、すぐに始めることは難しい。まずはフードガードを直してから挑戦しよう。

飼い主も知らなかった愛犬の能力に感動!

 ベルが実際にノーズワークに初挑戦したときのようすは、動画で紹介する。少し長いが、字幕の解説と合わせて見てみてほしい。

 このように、飼い主も先生もベルに何かを指示することはないが、ベルが自らルールを覚えていくよう、先生がベルのようすをよく観察しながら、巧みに導いてくれている。

 実際に愛犬に初挑戦させてみての感想は、率直に言って「感動した」の一言。普段ベルは人からほめられる機会がほとんどないが、今回は「才能ある!」とその能力をたくさんほめていただいた。また、におい嗅ぎが大好きな一面をこんな形で行かせたのも、嬉しかった点だ。
 2回目からはリードを外して、さらに広い範囲を使って行ったが、問題なくこなすことができた。さらに、オヤツを見つけて食べ終わったらまた次があると覚えたため、1回目のように箱につまってしまったオヤツに執着することなく、すぐ次を探すようになったところにも、成長ぶりがうかがえた。

 飼い主も気づいていない愛犬の優れた能力に気づける、そんなところこそノーズワークの魅力であることをつくづく実感した。

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1回の練習は5分程度で終了。終了するときは、無理やり控え室に引っ張っていくのではなく、オヤツを使ってもいいのでさりげなく連れていく。最後に嫌な思いをさせないこと

飼い主が犬を見て学ぶのがノーズワーク

 最初に紹介したように、ノーズワークでは犬の自主性を育てるために、他のスポーツや競技と違って、飼い主から愛犬に指示を出してはいけないことになっている。したがって、ノーズワーク中に飼い主と愛犬がコミュニケーションをとることは基本的にない。
 それでも、ノーズワークを通して愛犬と飼い主の絆を深められる、と松下先生は言う。

「ノーズワーク中は犬をよく観察しているので、『あ、今においを見つけたな』とか、『こうやってにおいをたどっているのか』とか、犬の気持ちが手に取るようにわかるんです。犬が本当に楽しんでいる姿とはどういうものなのか、またにおいはどのように追っていくのか。そうやって観察しながら、犬の嗅覚の素晴らしさに感動し、飼い主もまた楽しめます。
 嗅覚作業自体は犬に任せて、飼い主は犬を見て学ぶ。それがノーズワークなんです」

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レベルアップしていって、探すにおいをオヤツからアロマオイルに移行するときは、最初はオヤツとアロマオイルを一緒に置いてペアリングさせていく。そうするうちに、犬が自らアロマオイルを探すことを覚えてくれる

 実際のノーズワークのコンペでは、飼い主も目標物がどこにあるのか知らないため、飼い主が愛犬を観察し、愛犬がにおいを見つけたサインに気付かなければいけない。つまり、飼い主の観察眼もまた問われることになる。
 ノーズワーク中に愛犬のしぐさや表情をじっと観察していれば、愛犬をもっとよく知ることができ、日常生活の中でも愛犬が何を思っているのか、より理解できるようになるだろう。

 犬に何かをさせるのではなく、犬が本来持っている能力を引き出し、それを見て飼い主側が学ぶノーズワーク。ノーズワークを学ぶことは、本当の意味で、愛犬と対等な関係性を築くことにつながるに違いない。

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松下先生がノーズワークを始めるきっかけとなった愛犬、未来(ミク、ビーグル、15歳)も現役でノーズワークを楽しむ。若いころはにおい嗅ぎをさせないよう、顔を上げるトレーニングばかりしてきたが、高齢になった今はたくさんにおいを嗅ぐ仕事をさせてあげたいそう



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>>世界中で大人気の新ドッグスポーツ どんな犬でも楽しめる「ノーズワーク」とは?(前編)

◎監修者プロフィール

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松下裕子先生
『ドッグトラスト』代表。ニュージーランドのボストン・テリア、ボクサー、ウィペットのブリーダー兼パピートレーナー宅にてホームステイしながら、犬について学ぶ。帰国後、トレーナー養成専門学校でIPC公認トレーナーと動物飼養管理士、家庭犬・警察犬訓練所でJKC公認訓練士の資格を取得。現在は、都内を中心にペットショップや動物病院などでしつけ方教室、出張トレーニング、セミナーなどを行う。




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