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2016.12.09

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シェルターボランティアで学んだこと Vol.2

無理なく、楽しく。アメリカ式ボランティアのカタチ

前回お伝えしたように、渡米後しばらくして、同じく犬好きの友人と共に、あるレスキュー団体でのボランティアを始めました。この団体は2001年に設立された比較的新しいNPO団体で、提携関係を結んでいるシェルターからレスキューしたり、飼い主に飼育放棄されたりした犬や猫を保護して、里親探しを行っていました。

#Lifestyle

Author :写真・文=古川あや

殺処分率によって呼び名がかわるシェルター

 2015年の1年間にこの団体がレスキューしたのは犬・猫合わせて約2300匹にのぼります。そのほとんどが提携先の「ハイキル・シェルター」出身です。ハイキル・シェルターとは殺処分率の高い動物収容施設のことですが、その安楽死率によってシェルターは「ハイキル(High kill)」「ローキル(Low kill)」「ノーキル(No kill)」に分類され、ハイキル・シェルターのほとんどが州や郡によって運営されていると聞きました。「ハイキル・シェルター」ではスペース上の問題等で犬たちは常に命の危険に瀕しています。毎日のように殺処分のリストにあがってくる犬や猫を救うために、レスキューグループが活動しているのです。
 ちなみにASPCA(American Society for Prevention of Cruelty to Animals/米国動物愛護協会)のウェブサイトによると、アメリカでは毎年約390万匹の犬と340万匹の猫がシェルターに収容され、120万匹の犬、140万匹の猫が安楽死されているそうです。日本の場合は2015年度で保健所に引き取られた犬の数は4万6649匹、猫9万75匹ですから、日本の約25倍の国土を持ち、約2.5倍の人口の国であるとしても、収容数、安楽死数共に信じられないような数字です。

毎日のように届くボランティア募集メール

 さて、ハイキル・シェルターからレスキューした犬や猫は団体所有のシェルター、一般向けのデイケア施設を兼ねた事務所、ボランティアのフォスター(預かり)家庭などでケアしながら、里親探しを行っていました。
 この団体には専従のスタッフもいましたが、とにかく多くのボランティアの手を必要としていました。フォスター家庭はもちろんですが、殺処分の対象となった犬たちを引き取るための輸送ボランティアを求めるメールがメーリングリストを通じて毎日のように送られてきますし、毎週月曜日には、ショッピングセンターやペットショップで行う譲渡会のリストが届きます。

 リストの中に自分がボランティアできそうなことがあれば、メールに記載されている責任者に連絡するというシステムだったので、参加へのプレッシャーは少ないのがボランティア初心者にうれしいシステムでした。友人や家族をひき連れて和気あいあいとボランティアしにくる人も多かったように思います。

 私が参加したのは主に各種イベントでの犬のハンドラーです。里親募集中の犬とペアになり、興味を持ってくれた人に犬の経歴や性格を伝え、実際に里親になりたいうという意思を示した方には申し込み書を書いていだくというもの。ミックス犬より純血種の人気が高いのは、どこの国でも共通する傾向のようで、ハスキー犬のハンドラーをしたときには多くの方に説明をする機会がありましたが、少し複雑な気持ちになりました。

 また、チャリティー食事会で提供するサラダやパスタ作り、セントパトリックデーやハロウィーンなどの季節ごとに行われるパレードへの参加、寄付された不用品を現金化するためのヤードセールの手伝いも経験しました。 なかでも、印象に残っているのが、犬をセルフシャンプーするお店での、シャンプーボランティアです。このお店では通常は20ドルを払って飼い主が犬をシャンプーしますが、その日だけは私たちボランティアが犬を洗うのです。会場となるお店は場所とお湯やシャンプー液を無料で提供してくれるので、飼い主さんが支払った利用料金はすべて団体への寄付金となります。
 散歩の途中で通りかかって犬をシャンプーに出してれくれた人もいましたし、お金だけ寄付してくれた方もいました。ボランティア活動や寄付活動がとても自然に行われていて、お客さん、お店、保護団体ともに少しずつ負担しあって動物たちのためになるってとてもよい方法だな、とそう思いました。

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犬のシャンプーボランティア。犬たちは暴れることなくおとなしくシャンプーさせてくれた

サファイアとの散歩

 この団体では実際に犬の世話をする機会はほとんどありませんでしたが、半年ほどたった頃見知らぬ人や様々な音が怖くて外を歩けない犬をリハビリがてら散歩させるボランティアに加わることができました。

 そして出会ったのが、ピットブル系のメス犬のサファイアです。ピットブルは闘犬に使われることが多く、凶暴なイメージが強い犬です。州や自治体によって飼育を禁止している場合もありますし、集合住宅などでは大型犬が飼える物件でもこれらの犬種は飼育不可としているケースが多かったように思います。

 でも、サファイアは臆病で、散歩の途中で急に歩みを止めることがありました。音なのか気配なのか、何かが気になるようですが、はっきりとは分かりませんでした。声を掛けつつしばらく待っていると、再び歩きはじめます。そして、草の上で体を伸ばしてリラックスする姿は、危険な犬というレッテルからはほど遠いものでした。
 サファイアとの散歩がきっかけになって、もっと犬について学びたい、犬に関わるボランティアがしたいなと強く思うようになりました。でも、この散歩ボランティアは2、3週間ほどで終わりを迎えました。サファイアがフォスター家庭で暮らすことになったのです。

 せっかく仲良くなってきたのにと寂しい気持ちでいたところ、事前登録していた保護施設より新規ボランティア向けオリエンテーションのお知らせメールが届きました。半年間のボランティア経験を積んだことで、少しは自信のようなものも生まれてきました。「もっと積極的にボランティアしたい、でもできるかなぁ」そんな揺れる思いを抱きながらオリエンテーションに臨みました。

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左右の目の色が違うオッドアイのサファイア。左目は美しい青色をしている

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