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2016.11.28

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世界中で大人気の新ドッグスポーツ

どんな犬でも楽しめる「ノーズワーク」とは?(前編)

人間の1億倍とも言われる、犬の嗅覚。その嗅覚を使った新しいドッグスポーツ「ノーズワーク」は、今までのドッグスポーツとはまったく違って、オスワリもマテも何もできなくても、高齢犬や障がいのある犬でも楽しむことができます。今後、日本でも大人気になること必至の「ノーズワーク」とは、いったいどんなスポーツなのでしょうか。日本でノーズワークを広めるべく活動する『ノーズワークファンフレンズ』のトレーナーの一人、松下裕子先生に教えていただきました!

#Activity / #Lifestyle

Author :写真=盧瑞婷 文=山賀沙耶

アロマオイル「80分の1滴」を探し当てる

 犬の素晴らしい嗅覚は、警察犬や麻薬探知犬、災害救助犬などさまざまな作業犬によって発揮され、私たちを助けてくれている。その嗅覚を使って行うのが、新しいドッグスポーツ「ノーズワーク」だ。

"どんな犬にでもできる"という「ノーズワーク」とは、いったいどんなスポーツなのか。まずは、トレーナーの松下裕子先生の愛犬、仁(ジン、ジャック・ラッセル・テリア、10歳)に、そのようすを見せてもらった。

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仁が探すのは、アロマオイルのにおいを付けた綿棒2本入りの黒い専用ケース。アロマ1滴で約80本の綿棒ににおいをつけるというから、1本についているにおいは本当に微々たるものだ

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上の黒いケースを、この中のどこかに隠す。椅子の上や、折り畳みテーブルの足の間など、仁は目には見えない場所にあっても探し当てられるそう

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隠し終わったら、控え室で待機していた仁が捜索スタート!

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「クンクン、どこだろう」

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仁の目線の高さでは見えない椅子の上に発見! 発見するまでの時間は、なんとわずか1分程度

 また、この日仁は、クルマの外側のどこかに隠されたアロマオイルのにおいを探す「ヴィークル・サーチ」という種目の練習に初挑戦。そのようすは動画で紹介する。

 こんなことが、あなたの愛犬もできるようになるのだ。さあ、やってみたくなってきただろうか。

もともとは保護犬たちの遊びだった

 このノーズワーク、そもそもはアメリカの保護施設で、保護犬たちの心身の健康のために行われていた遊び。それが面白そうだということで徐々に家庭犬に広まり、2006年からアメリカでスポーツとして行われるようになった。そして、今やアメリカでは、家庭犬のトレーニングの中でいちばん習っている人の多い、大人気競技となっている。

 日本では、ノーズワークを広めるべく有志のトレーナーが集まり、2015年に『ノーズワークファンフレンズ』を設立。現在は、競技ルールを検討したり、小規模のコンペを行ったりしているが、いずれは全国でコンペを開催していきたいとのこと。

「嗅覚を使うことは、犬の本能的欲求を満たして、心身ともに満足させることにつながります。実際ノーズワークの練習をした後は、激しい運動をしたわけでもないのに、満足して熟睡してしまうコが多いです。高齢犬の認知症予防や運動不足解消、脳の活性化にもつながりますよ」
 と、松下先生はその魅力を語る。

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小型犬から超大型犬まで、同じフィールドで楽しめる。タルタ(ロットワイラー、8歳)も意欲満々

 実際のコンペのときには、目標物がどこに隠してあるかは飼い主も知らない状態で、犬に探させる。種目は、箱や入れ物から探す「コンテナ・サーチ」、屋内の家具などから探す「インテリア・サーチ」、屋外の建物などから探す「エクステリア・サーチ」、車の外装から探す「ヴィークル・サーチ」の4つ。
 ノーズワークファンフレンズでは、初心者でもコンペを楽しめるよう、アロマオイルのにおいではなくオヤツのにおいを探す種目も用意する予定とのことだ。

"どんな犬でも楽しめる"理由とは?

 さて、この「ノーズワーク」、今までのドッグスポーツとはまったく違って、オスワリもマテも何もできなくても、高齢犬や障がいのある犬でも楽しむことができる、と冒頭で紹介した。だが、こんなことがうちの犬に本当にできるの!? と思うかもしれない。

 なぜ、どんな犬にでも楽しめると言えるのか。
 一つには、ノーズワーク中は、飼い主から犬に指示を出すことがないから。他のドッグスポーツや競技では、飼い主あるいはハンドラーが犬に指示を出し、犬がどれだけそれに忠実に従えるかがカギを握る。したがって、ドッグスポーツを始めるためには、まずは愛犬に基本のしつけをして関係性を築いてと、始めるまでのハードルが高く感じられることもあるだろう。
 ところが、ノーズワークの場合、飼い主は犬に指示を出してはいけないことになっている。始める前も、「マテ」や「サガセ」などの指示語はなし(レベルが上がって外での種目などを行うようになってくると、「サーチ」などスタートの合図を付けることもある)。犬は、練習を通して自分でにおいを探すことを覚え、成長していく。犬の自主性を育て、生き生きとした姿を取り戻してもらうことが、ノーズワークの目的の一つなのだ。

 もう一つは、嗅覚さえ使えればできるから。犬が高齢化したとき、嗅覚が衰えるのはいちばん最後と言われる。また、歩いてにおいを探すことは必要だが、高い運動能力は必要ない。高齢犬はもちろん、交通事故にあって、目も見えず足が1本ないコでも、ノーズワークはできたそうだ。

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今回練習に参加した中の最年長、プーちゃん(トイ・プードル、16歳)もしっかり鼻を使って探していた

「今後、日本でもノーズワークを普及させて、1日中することもなく退屈している家庭犬や、保護施設にいる犬たちに、生きる喜びを感じてもらう手助けができればと思っています」
 と松下先生はノーズワークへの期待を語る。
「うちの犬は何もできないしな」と思い込んでしまっている飼い主にこそ、ぜひ挑戦してほしいスポーツだ。



■関連記事
>>世界中で大人気の新ドッグスポーツ どんな犬でも楽しめる「ノーズワーク」とは?(後編)

◎監修者プロフィール

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松下裕子先生
『ドッグトラスト』代表。ニュージーランドのボストン・テリア、ボクサー、ウィペットのブリーダー兼パピートレーナー宅にてホームステイしながら、犬について学ぶ。帰国後、トレーナー養成専門学校でIPC公認トレーナーと動物飼養管理士、家庭犬・警察犬訓練所でJKC公認訓練士の資格を取得。現在は、都内を中心にペットショップや動物病院などでしつけ方教室、出張トレーニング、セミナーなどを行う。




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