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2016.11.30

ボディランゲージ読み取り術 Vol.3

愛犬こそがボディランゲージの一番の教科書

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

「耳の間が広いか狭いか」「口角が長いか短いか」など、ボディランゲージの見るべきポイントを覚えたら、愛犬のボディランゲージをじっくり観察してみましょう。きっと、今まで気づかなかった小さな表現の変化に気づくことができるはず。最終回となる「ボディランゲージ読み取り術」、今回も東京大学の特任助教、荒田明香先生に教えていただきました。
写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#しつけ

「愛犬を観察する日」を設けよう

 第1回第2回と、ボディランゲージの読み取り方について紹介してきた。「シッポの高さや振り具合」などは気付きやすいが、「耳の間が広いか狭いか」「口角が長いか短いか」などは、今まで注意して見たことがなかった人も多いだろう。

 ボディランゲージの見るべきポイントを頭に入れたら、愛犬のボディランゲージにはどんな表現があるのか、よく観察してみよう。例えば、以下のようなシーンでは、カラダの緊張度や重心はどうなっているだろうか。また、シッポ、耳、口はどうだろうか。各シーンで比較してみるとわかりやすい。

【ボディランゲージを観察してみたいシーンの例】
・家でリラックスしているとき
・ご飯の用意をしているとき
・ご飯を食べているとき
・「散歩行く?」と聞いたとき
・散歩中に歩いているとき
・他の犬に会ったとき
・他の人に会ったとき
・なでようとしたとき
・ブラッシングしようとしたとき
・新しい場所に連れていったとき
etc...

 当然のことながら、ボディランゲージはカラダを自由に動かせるときのほうが表しやすい。つまり、散歩中、他の犬に会ったときなどにリードを引っ張ってしまうと、ボディランゲージが表しづらくなる。すると、相手の犬も飼い主もボディランゲージを読み取りづらくなるので、リードは張らないように気をつけよう。同じように、リードを引っ張っている状態や愛犬を押さえた状態で他の犬に近づけたり、愛犬のおしりを相手の犬に向けさせたりして、無理やりあいさつさせるのは厳禁だ。

「愛犬との日々の生活をすべて観察しようと思うと、愛犬もずっと見られているプレッシャーを感じてしまうことも多いので、例えば『今週末は散歩中にじっくり観察する日』などと決めるのもいいかもしれません。きっと新しい発見があると思いますよ」
 と荒田先生。

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犬が恐がる人間のボディランゲージ

 逆に、人間側の何気ない行動も、犬側ではボディランゲージとして読み取っていることもある。犬が恐がるこんな行動を無意識でやってしまっていないか、またそんなとき愛犬がどんなボディランゲージを出しているか、思い返してみよう。

●手を上から出してなでる
 これはかなり有名だが、人間の子どもと同じ感覚でついやってしまう人は多い。実際に試してみてほしいのだが、信頼関係ができている飼い主と愛犬同士でも、上から手を出されるとちょっと首をすくめるコは多いはずだ。上から何かがくると、捕食される危険を感じて避けるかすくむのが、動物の本能的な反応。
 なでるときは、下から手を出して触れる寸前で止め、犬のほうから寄ってきたらなでる、離れたら無理になでないようにすれば、犬側の気持ちを尊重してあげられる。

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下から手を出して、犬のほうから近づいてくるようなら、なでてほしい証拠

●じっと目を見つめる
 一般的に、犬や猫など動物同士で目を合わせることは、対決を意味する。したがって、目が合わないように視線をそらしたり瞬きをすることが礼儀正しい行動であり、目を合わせ続けると中には攻撃的になってしまったりするコもいる。人間同士であっても、瞬きもせずに目が合い続けると気まずくなることはあるだろう。

 最近ではしつけでアイコンタクトを教えることが多いため、目をそらすのはいけないことのようにとらえる人も多い。けれど、無理に目を見させようとしたり、目をじっと見つめながら近づくことは、犬の居心地を悪くするかもしれないということを知っておこう。

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要求や甘えで犬のほうから見つめてくることももちろんある

●甲高い声でほめる
「ほめるときは高い声を出すと犬に伝わりやすい」というのは、しつけのマニュアルなどによく書かれていて、それで喜ぶ犬なら問題はない。ただし、中にはいきなり甲高い声を出されると、びっくりしておびえてしまうコも。他に、ほめるときになでるのも、実は犬は喜んでいないこともあり、なでられることを好きにする練習が必要な場合もある。

 犬が大好きな人こそ、犬に対してガンガン積極的に寄っていって触ってしまいがちだが、ときには自分から近づかず少し待って、犬のボディランゲージを観察してみるといいだろう。

犬の要求のサインに応えてもいいの?

 愛犬のボディランゲージを読み取ってそれに対応する、というと、しつけの本などで「犬の要求には応えず、すべて飼い主の都合で行動する」と覚えてきた人は戸惑うかもしれない。ボディランゲージなどで愛犬の要求がわかったとき、本当に応えてはいけないのだろうか。

「私の愛犬を例に挙げると、キャバリアのルアンは散歩やご飯といった生理的な要求がメインで、まずは玄関やフードの引き出しの前で座ったり伏せたりしてアピールするので、それなりに聞くようにしています。放っておくと、近くにあるものを引っかいて大変ですし、犬だって欲しいときに欲しいものをもらえるのはすごく嬉しいと思うんです。ただ、必ず『ちょっと待っててね』と言って待てたら要求に応えるようにしています。もちろんすでにご飯をあげている場合は、同じアピールをしても『おしまい』と言って、絶対にあげません」

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「遊んでほしい」という要求に応えてくれたほうが、犬も楽しいはずだ

 例えば、愛犬が「トイレに行きたいから外に連れていって」と言っているのに、飼い主が無視してまったく聞いてくれないようでは、信頼関係を築くのは難しいだろう。飼い主に頼って生きている以上、犬もある程度要求をするのは当然のこと。飼い主が困らない範囲で対応してあげることは、決して間違いではない。
"要求は絶対に聞いてはいけない"と思い込むのではなく、愛犬のしぐさや行動パターンをよく観察して、生活に支障がない範囲で臨機応変に対応していくことが大切だ。

 犬に関する知識を身につけることと、実際に愛犬と向き合って観察し、気持ちを想像すること。この2つをバランスよく行っていけば、愛犬の気持ちを理解し、愛犬から信頼される飼い主になることができるに違いない。

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