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2016.11.24

ボディランゲージ読み取り術 Vol.2

ボディランゲージは「体の緊張度」と「自信の度合い」がポイント

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

愛犬の気持ちを理解するうえで大きなヒントとなる、ボディランゲージ。一つひとつのしぐさを丸暗記するよりも、大きな枠の中でイメージをつかんでおくと、そのときどきの気持ちを察しやすいかもしれません。2回目である今回は、シッポ、耳、口などで表現している気持ちを、「集中度」と「自信の度合い」のグラフで表してみます。前回に引き続き、東京大学の特任助教、荒田明香先生に教えていただきました。


写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#しつけ

「嬉しくて興奮」と「緊張で気持ちが高ぶる」は似ていることも

 前回は、以下のボディランゲージの大原則3つを簡単に紹介した。

①カラダ全体の緊張感
・力が入っている=緊張や興奮/力が抜けている=リラックス
②重心
・前にかかっている=強気/後ろにかかっている=弱気
③シッポ
・高い=強気/低い=弱気、リラックス/股に巻き込む=怖い

 ところが、好きと嫌い、緊張とリラックス、強気と弱気というように、常に1つの軸だけで説明できるほど、犬の感情はシンプルではない。

「飼い主さんのお話を聞いていると、嬉しい、怒っているなど、愛犬の感情がポジティブかネガティブかだけでとらえている人が多い気がします。ところが、例えば耳と耳の間が狭く耳が正面を向いて前をじっと見ているのは攻撃的なときにも見られますが、単にいつでも動けるように目の前のものに集中しているだけの場合もあります。好きか嫌いかよりも、むしろそのときの体の緊張度と自信のありなしで分けたほうが、正しいものに近いかもしれません」
 と、荒田明香先生は話す。

161111_02.jpg

目も耳も正面を向いているが、怒っているわけではなく、この場合単に集中しているだけ

 そこで、ここではカラダの各パーツが示すボディランゲージの意味を大まかにイメージするために、以下の「力が入っている⇔力が入っていない」の横軸と、「強気⇔弱気」の縦軸の2軸のグラフの中に、パーツごとのボディランゲージを配置してみる。

161111_chart01.jpg

 上の図でも示しているように、右上の「力が抜けていて強気」がいわゆる"リラックス"や"落ち着いている"といった理想的な状態、逆に左下の「力が入っていて弱気」がいわゆる"緊張"や"恐怖"といった要注意の状態。左下の状態までいってしまう前に、愛犬のようすをよく観察してそのストレスに気付いてあげることが大切だ。

シッポ、耳、口の表現のイメージをつかもう

 特に気持ちの表れやすいシッポ、耳、口の表現を、上記の2軸の図にまとめてみる。

【①シッポの表現】

161111_chart02.jpg

 主に、シッポの高さは自信の度合いを示すが、自信がないというのは必ずしも怯えているということではなく、下手に出て甘えたりお願いする場合も含む。そのため、シッポを高い位置で振っている場合は"嬉しい""興奮している"状態だが、低い位置で振っている場合は"甘え""懇願""緊張"などが考えられる。また、尾の先までピンと立てている場合には、"攻撃的"とされる。
 しかし、日本犬やポメラニアンのように巻尾の場合には、かなり弱気にならないと尾が下がらないうえ、尾の先の力の入り具合は分かりづらい。ましてやコーギーやその他の断尾している犬では、ほぼ読み取れないことになる。カラダのパーツの中でも目立つシッポだが、シッポの高さを見るときには付け根に注目し、シッポだけで全てを判断してしまわないように気を付けよう。

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左のニュートラルポジションに対して、台に乗せられた瞬間、右のようにシッポが下がって弱気に

【②耳の表現】

161111_chart03.jpg

 耳と耳の間が狭い場合は、目の前のものに集中していることを示している。ところが、それが"興味がある"のようにポジティブなものなのか、"警戒"のようにネガティブなものなのかは耳の位置だけでは判断できない。耳を後ろに引いている場合には、弱気なことが多く、立ち耳であれば耳全体が外側を向くような状態になり、垂れ耳であれば耳の付け根がニュートラルよりも後方になる。
 ただし、犬は音を集めるために左右の耳をバラバラに動かすこともできるので、気持ちだけに影響されるわけではないということを覚えておこう。

垂れ耳のキャバリアはわかりづらいが、「散歩」と言われて耳の付け根がピクッと上がるのが読み取れる

【③口の表現】

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 口を開けて笑っている、緊張するとハアハアと浅い呼吸(パンティング)をするという2つは、どちらも口を開けているのに、真逆の意味を持っている。また、運動や暑さの影響でパンティングをすることもあるため、口を開けているかどうかだけではなく、そのときの状況や他のボディランゲージなども合わせて、総合的に考える必要がある。
 見慣れるまでに時間がかかるかもしれないが、口角の長さは自信の度合いを示している。つまり、同じように口を閉じて集中していても、何かに興味を持っている場合は口角が短いが、警戒している場合には口角が長くなる。これは、唇をめくり上げて歯をむき出す表現のときにも、注意したい部分だ。前のほうの歯だけが見えている場合には強気でまだ犬の気持ちに余裕がある威嚇だが、奥歯まで見えるような場合には弱気、つまり追い詰められている状態での威嚇であるため、かなり強いサインとなる。
 口元の垂れている犬は表現がわかりづらいが、マズルの動きをよく観察してみよう。

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キャバリアも口元の変化がわかりづらい犬種の一つ

サインすべてを理解できなくとも、わかろうとすることが大切

 日本の犬たちは、ボディランゲージが下手だと言われている。
 小型犬に比べ大型犬のほうがボディランゲージのバリエーションが多いとされるが、今の日本の家庭犬で圧倒的に多いのは小型犬。また、全身巻き毛に覆われたプードルや、顔にしわの多い短頭種、垂れ顔のコッカー・スパニエル系などが流行しており、これらの犬種はボディランゲージが非常に読み取りづらい。
 それに加えて、8週齢にも満たない段階で母犬や兄弟犬から離される子犬も多く、犬同士のボディランゲージを学ぶ機会が不足しているのも、理由の一つと考えられる。
 だからこそ、飼育書などに書かれているボディランゲージを当てはめて考えすぎないことだ。

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「もしかしたら彼らは、目に見えるボディランゲージだけではなくて、私たちには聞こえない音や嗅ぎ取れないにおいなどでもサインを発しているかもしれません。つまり、彼らのサインをすべて理解することは不可能なんです。そもそも、人間同士でもお互いの感情や気持ちの変化を100%理解するのは無理ですよね。大切なのは、私たちの意思で飼い始めた彼ら「犬」のことをわかろうと努力することだと思うんです」



>>次回は、愛犬のボディランゲージに気づいたうえで、飼い主はどう行動するべきかについて、考えていきます。

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