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2016.11.16

ボディランゲージ読み取り術 Vol.1

犬のボディランゲージ、実は勘違いだらけ!?

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

ボディランゲージから、本当の犬の気持ちを理解するにはどうしたらいいのでしょう。「嬉しいときはシッポを振る」、「マウンティングは自分の優位を主張している」など、すでに飼い主の間ではよく知られているものもある、犬のボディランゲージ。けれども、そういった思い込みから、逆に愛犬のしぐさを勘違いしてとらえてしまっていることもあります。ボディランゲージが表す犬の気持ちは、そのときの状況やそのコの性格によってもさまざま。本当の犬の気持ちを理解するために大切なことを、東京大学の特任助教、荒田明香先生に聞きました。3回に分けてご紹介します。


写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#しつけ

犬がシッポを振っている=「嬉しい」は勘違い!?

 例えば、愛犬の散歩中に他の犬に会って、近づけてあいさつをさせようとしたとき、愛犬が鋭く吠えたとする。怒っているのかな、と思って愛犬のようすを見ると、シッポを振っている。
「あ、シッポ振ってるから、本当は嬉しいんだ」
 というのは、実は勘違い。

 犬がシッポを振るのは嬉しいときだけではない。「なんだ、アイツ!」と威嚇しているときや、「大丈夫かなぁ」と少し緊張しているときでも、気持ちが高ぶっていると、犬はシッポを振ることがある。
「犬は嬉しいとシッポを振る」と思い込んでいる人は多いが、「シッポを振っている」というその部分だけで「喜んでいる」と判断することはできないのだ。

「犬のボディランゲージというと、『犬がこういう動きをしているときはこういう気持ち』という解説がよくされていますが、人間でも笑顔なら喜んでいると一概には言えないように、犬も同じしぐさをしていても、必ずしも毎回同じ気持ちというわけではありません。カラダのさまざまな部位と犬が置かれている状況を総合的に見て、今の愛犬はどういう気持ちかを飼い主さん自身が考えることが大切です」
 と、荒田明香先生は話す。

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よく見る犬の行動、勘違いしていない?

 それではここで、飼い主が勘違いしがちな犬のボディランゲージの例を、いくつかあげてみよう。

■勘違い①:他の犬や人に吠えながらシッポを振っている=「嬉しい」
 先にも書いたように、犬は喜んでいるときだけでなく、威嚇や緊張などでも気持ちが高まっているときにシッポを振る。そのときの状況、耳の動きやシッポの高さ、重心のかかり方など他の部分の動きも含めて、総合的に判断する必要がある。なお、尾が左にばかり振られている場合には、不安などのネガティブな感情が含まれているという研究報告もある。

■勘違い②:ゴロンと寝転んでお腹を見せる=「なでてください」
 お腹を見せる=なでて、と思っている人は多いが、これは犬同士の服従のポーズでもあり、このポーズをするときには強いストレスがかかっている可能性もある。体の緊張度や尾が巻き込まれていないか、といった点も含めて判断するとよいだろう。「『しかるとお腹を見せるのでなでてあげると、噛まれるんです』という飼い主さんがいらっしゃいましたが、それは『すみません、これ以上は近寄らないでください』というシグナルだったんですよね」

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■勘違い③:人に前足をかけたり、飛びついたりする=「俺はお前より偉いんだ」
 前足をかけたり飛びついたりするのは、自分のほうが優位だと主張しているのだから、足をかけさせてはいけない、というのが昔の考え方で、今でもそう思い込んでいる人もいる。けれども、自分から寄ってきて、自分より高さのある人に近づこうとしているのだから、単なる甘えや愛情表現である場合が多い。

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■勘違い④:マウンティングをする=「性的な興奮」「優位性の主張」
 マウンティングを性的行動、あるいは自分のほうが優位だと主張していると受け取る人が多いが、そうとも限らない。ただ遊んでいる場合や、自身の興奮を落ち着けようとマウンティングをする場合も多い。

見るべきポイントは緊張感、重心、シッポ

 人間同士のコミュニケーションがそうであるように、犬とのコミュニケーションもなかなかマニュアル通りにはいかない。ボディランゲージの意味を暗記して当てはめるのではなく、そのときどきで飼い主が考えてあげることが大切だ。
 とはいえ、どんな場合にも当てはまる基本原則はある。大きくは以下の点を見ていこう。

・カラダ全体の緊張感:力が入っている=緊張や興奮/力が抜けている=リラックス
・重心:前にかかっている=強気/後ろにかかっている=弱気
・シッポ:高い=強気/低い=弱気、リラックス/下げる、股に巻き込む=怖い
※シッポの形は犬種や個体によってさまざまで、特に巻尾の日本犬などはわかりづらいが、ニュートラルな状態より上がっているか下がっているかで判断する。シッポの付け根の変化を見るのがポイント。

「特に気づいてあげたいのは、緊張、不安、弱気になっているなど、愛犬がネガティブな感情を抱いて、ストレスがかかっているとき。怖くて震え上がったり、おびえから噛んでしまったりするより前に、ちょっと嫌そうだな、という段階でサインに気づいてあげたいですね」
 と荒田先生。

 さらに、ボディランゲージは刻一刻と変わる。例えば、相手の人が好きか嫌いかだけでなく、遠ければ大丈夫だけれど近づくと怖い、座っていれば大丈夫だけれど立っているとダメ、上から手を出されるとすくみあがるなど、状況変化によってボディランゲージも変化していくはず。
 一度、普段なでるときの愛犬のようす を動画で撮影してみよう。飼い主が手をどう近づけているか(例えば、頭の上から出してしまっていないか)、またそれに対して愛犬がどう反応しているかを、客観的に観察できる。愛犬がちょっと首をすくめる、後ろ体重になる、白目を見せるなどしているようであれば、その接し方に対して不安な気持ちが混じっていると考えられる。

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上から出された手に対して、犬が白目を見せているのは、少し不安を感じているサイン

 犬のボディランゲージの意味を覚えることも必要だが、大切なのは、まずは愛犬のしぐさを観察する習慣をつけること。それによって、これまで見えてこなかった些細なサインに気付けるようになり、愛犬とのコミュニケーションを深めるきっかけになるはずだ。



>>次回は、愛犬のボディランゲージの読み取り方について、さらに細かく解説していきます。

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