
毎日の散歩の後、家に上がる前に必ず行うであろう、足の汚れ落とし。ところが、水洗いするのがいいのか、濡れタオルで拭くのがいいのか、正しい汚れ落とし方法を知らない人も多いのでは?そこで、JKCトリマー教士であり、東京愛犬専門学校の講師でもある渡辺まゆみ先生に、正しい足の汚れ落としについて聞きました!
まずは、飼い主がよくやる足の汚れ落しの方法について、それぞれ正しいか否かを聞いてみた。自分のやり方に問題がないか、ここでチェック!
濡れタオルで拭くだけでは、肉球の間に湿り気が残り、汚れや細菌がつきやすくなって炎症を起こしてしまうこともある。濡れタオルで拭いた後に、吸水性の高いタオルで水気を拭き取るなど、湿り気を残さないようにしよう。また、普段から肉球の間の毛を短く切っておくと、濡れた後も早く乾きやすい。
アルコールの入っていないものなら問題ないが、濡れタオル同様、肉球の間や指の間をしっかり乾かすことが大切だ。
汚れはあまり落ちないが、それほど汚れていないようなら、肉球を濡らさない分、足の裏への負担は少ない。特に不織布(床ぶき用のドライシート等)を使うと、汚れを吸着してくれ、花粉なども落とせるため、特にアレルギーのコの場合は全身拭いてあげるのもいい。
濡れタオルやウェットティッシュ同様、足先を濡らしたままにしないで、よく水気を拭いて乾かすことが大事。シャンプーや石けんの使いすぎはかえって皮膚を傷めるため、毎日ではなく汚れがひどいときだけ、よく泡立てて泡で汚れを落とす。ドライヤーを使用する際は、熱風ではヤケドさせてしまう危険性があるため、冷風で乾かそう。
ちなみに、トリマーである渡辺まゆみ先生が皮膚の弱い愛犬にしていた完璧な足拭きは、以下の手順とのこと。
(1)足の指の間や肉球の間、爪のきわ、足の甲側まで、水できれいに洗い流すただし、皮膚に問題のないコに対してここまでやる必要はなく、かえってストレスになってしまうこともあるので注意。晴れた日は濡れタオルで拭く、雨の日は水洗いするなど、臨機応変に対応しよう。
足の指の間や肉球の間、爪のきわは汚れの残りやすい部分。意識してしっかり汚れを落とすようにしよう
散歩中、こんな汚れがついてしまったときの落とし方も知っておこう。
散歩中にガムを踏んでしまい、肉球にこびりついてしまったら、無理に手で取ろうとしても逆効果。サラダ油でもんで取り除き、その後シャンプーで洗い流そう。
足まわりの毛などに草の種や実、小枝などがついた場合は、ブラッシングスプレーをかけてブラッシングすると取れる。花の蜜や樹液などでベタベタした場合は、コーンスターチや片栗粉をまぶし汚れがなじむようにもんでから、ブラッシングするという方法もある。
日ごろからこんなケアをしておくと、散歩後の足拭きも楽になるはず。
散歩後、足を洗った後に肉球クリームやオイルを塗る飼い主はいるかもしれない。もう一つここでおすすめしたいのは、特にお出かけや長い散歩前に、肉球クリームを塗っておくこと。足裏の保護になり、汚れもつきにくくなるためオススメだ。
さらに、散歩に出かける前に、静電気防止効果のあるブラッシングスプレーを足まわりにかけて、ざっとブラッシングしておくと、散歩中にゴミがつきにくくなる。
【肉球の間の毛をバリカンで短くしておく】
毎日の散歩後に足を洗ったり、濡れタオルやウェットティッシュで拭いたりする場合は特に、肉球の間の毛を短くしておくと、早く乾きやすい。その際に、ハサミを使うと犬が動いたとき危険なため、皮膚を傷つけにくい犬用バリカンを使うといい。
足の爪は、地面につくかつかないかの長さを保って、最低でも月1回は切るようにしたい。一度でも失敗するとその後も爪切りがしづらくなるため、トリミングサロンにお願いするか、病院に行ったときに切ってもらうなど、できればプロに任せよう。狼爪のあるコは「狼爪も忘れずにお願いします」と伝えて。
渡辺まゆみ先生
JKCトリマー教士。東京愛犬専門学校講師。東京都江戸川区にてボランティア活動を行う、ペット共生ネットワーク「わんず・どりー夢」代表。著書に『ドッグ・グルーマーズ プロフェッショナル・ワークブック』(インターズー刊)などがある。
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