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2016.09.02

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推定年齢15歳のラブラドール・レトリーバーとの介護生活

高齢犬介護が家族に与えてくれたもの(後編)

寝たきりになったラブラドール・レトリーバーのロン(推定15歳)。後編の今回は、ロンの介護をするにあたって工夫していることを、実際に見せていただきつつ教えてもらいました。高齢犬介護の情報がまだまだ少ない中で、森田征和さん・資子さん夫妻が試行錯誤しつつたどりついたリアルな現場の声。これから愛犬の介護をする可能性のある皆さん、ぜひ参考にしてください!

#Lifestyle

Author :写真=日高奈々子 文=山賀沙耶

手探りで工夫してきた、ロンに合った介護方法

 今年の1月から寝たきり状態になった、森田家のラブラドール・レトリーバー、ロン。
 高齢犬介護に関する情報を探してもあまり見つからず、森田さん一家は試行錯誤を繰り返しながらロンの世話をしている。そんな中で編み出した介護の工夫を、具体的に紹介しよう。

■夏場のベッドは三重構造
 24時間ずっと横になった状態のため、気をつけていないとすぐに床ずれができてしまう。そのため、約3時間に1度寝返りを打たせるほか、ベッドにも工夫を凝らしている。
 いちばん下には、家族のマットレスの中いちばん快適だという、通気性のいいエアリーマットレスを。その上には、マットレスが汚れないよう、しょっちゅう洗い替えするベッドパッドを敷いている。そして、暑さの気になるこの季節は、いちばん上にクールジェルパッドを置く。いずれも犬用ではなく、人間用の商品から探し出してきたものだ。

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■尿取りパッドでオシッコ、おむつでウンチをカバー
 オシッコは常に出続けている状態で、約3時間に1度の尿取りパッド交換時に、膀胱を優しく押して強制排泄。ウンチは今のところ自力排泄できている。
 尿取りパッドとおむつも、人間の介護用商品を使用。尿取りパッドはウエストが55cmのもの、おむつは大人用SSサイズがロンのカラダに合うのだが、店舗にはほとんど置いていないため、インターネットで探して購入している。犬用おむつもあるが、毎日大量に使うもののため、リーズナブルな人間用にシッポ穴を開けて使っているそう。
 尿取りパッドもおむつも紙テープで留めているのは、外すときに手で簡単に切れるためだ。

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■ご飯の飛び散りは介護用エプロンでガード
 前編では食事中の動画も載せたが、ロンの食欲は寝たきりとはとても思えないほど旺盛で、フードを飛び散らせながらガツガツ食べる。そのため、現在は人間の介護用エプロンを首に巻いた状態で食事させ、食べ終わったら毎回エプロンを洗っている。

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■留守番カメラで外出中もようすを確認
 留守番カメラをロンのほうに向けて2台設置し、外出先からスマートフォンのアプリを通してようすを確認している。カメラの価格は1台1万3,000円前後。スマホから話しかけたり、映像をズームで見たりすることもできる。
 また、テレビ、エアコン、照明はすべて、スマホで電源のオンオフができるようにしてある。ちなみに、ロンが寂しがらないよう、外出時もテレビはつけっぱなし。エアコンは、雷などで万が一消えてしまっても、再度作動して26度をキープできるよう設定している。

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■クルマの部品メーカーのカートを改造
 お出かけのときにロンを乗せるカートは、クルマの部品メーカーのものを改造。カートを押すための持ち手を溶接して作り、暗くなったら点灯できるライトも設置した。頑丈で軽く、折り畳めて、ロンのカラダにぴったりサイズのため、ロンも乗っていて落ち着くよう。元手はたった9,000円ほどだ。
 実は、その10倍ほどの価格の犬専用カートも購入したが、大きくて重すぎるため、現在は使用していないという。

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「今年の1月にロンが寝たきりになってからしばらくは、もう出かけられないなと思って、みんなでしょっちゅう出かけていた山中湖のプールにも行くのを辞めてしまったんです。ところが、介護経験のある犬仲間に『寝たきりでも出かけたほうがいい』とアドバイスをもらって。思い切って山中湖まで出かけたら、ロン君が目をキラキラさせるんです。抱きかかえて前脚をプールに入れてあげると、一生懸命動かしたりして。帰ってきてからの疲れも心配でしたが、いつもよりも断然元気なほど。
 それ以来、出かけるのが恐くなくなって、また以前のように2週間に1回ぐらい泳がせに行くようになりました。今では山中湖周辺に別荘を探し始めているほどです(笑)」
 と、資子さんが笑いながら話してくれた。

介護中の高齢犬ロン、靴下試用レポート

 ところで、介護中の高齢犬に、犬用ソックスは役立つのだろうか。寝たきり生活を楽しむロンと森田さんに、ソックスを試着してみてもらった。

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 まずは、コットン生地メインで履きやすい、「Power Paws Advanced Reinforced Toe/Woodrow Wear」。気分が明るくなるカラーリングと模様が嬉しい。
「冬の時期は足先が冷たくなっていたので、足の冷え防止に役立ちそうですね。それに、目を離している間にカーテンに爪を引っかけてしまうこともあったので、爪をカバーしておくのにもいいかも」
 と、資子さん。

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 もう一足は、つま先上部から足裏にかけてシリコン加工が施され、屋内でも屋外でも活躍する「SPORT PAWKS/RC Pet Products」。カラーがブラックなのもあって、こちらはクールな印象。
「この滑り止め加工は、作業用の手袋みたいでいいね! ロン君はもうまったく立てなくなっちゃったけど、立てるか立てないかのときは、踏ん張りがきかなくて、どうしたら滑らないかを模索していたんです。その時期にこのソックスがあったら、もう少し歩けていたかもしれない」
 と、征和さん。

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 寝たきりになってしまった高齢犬の場合、飼い主や愛犬がどんなに努力したとしても、体力が回復していくことはまず望めない。
 それでも、1日でも長く立って歩いていてほしい。少しでも元気で楽しく過ごしてほしい。それが飼い主の切なる願いだろう。
「人間の介護の場合、この生活がいつまで続くんだろう、とストレスになることもありますよね。でもロン君の介護生活は、不思議とすごく楽しいんです。叶わない願いとわかっているけど、この生活がずっと続いてほしい。そんなふうに思いますね」




>>推定年齢15歳のラブラドール・レトリーバーとの介護生活 高齢犬介護が家族に与えてくれたもの(前編)

◎ロン試着商品 その1

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Power Paws Advanced Reinforced Toe/Woodrow Wear

Power Pawsシリーズは、屋内/屋外共に使用可能。屋内では滑りやすい床でのスリップを防ぎ、屋外では路面の熱やアレルゲンから肉球を保護してくれる。さらに、足先を怪我した際の保護や舐め防止にも役立つ。

  

◎ロン試着商品 その2

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SPORT PAWKS/RC Pet Products

SPORT PAWKSも、屋内/屋外共に使用可能。つま先上部から足裏にかけてシリコン加工を施すことで、滑りにくく耐久性にも優れた構造になっている。ストレッチの効いたコットン素材を使用し、伸縮性もよく履かせやすい。

  



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