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2016.08.24

”問題行動”を犬目線で考えてみよう Vol.2

吠える、噛む、排泄の失敗。その行動の原因は?

荒田明香 東京大学 大学院農学生命科学研究科

第2回目の今回は、吠える、噛む、排泄の失敗という3つの問題行動の背景を、具体的に見てみましょう。犬にとっては本能に従った自然な行動をとっているだけなのに、人間側の都合で"問題行動"とされてしまうことがよくあります。これらの愛犬の問題行動をどう考え、どう付き合っていけばいいのかを、東京大学の特任助教、荒田明香先生と一緒に考えます。

#しつけ

"吠える"には、犬なりの理由がある

 今日本で最も話題に上る犬の問題行動が、"吠え"。例えば、自分の縄張りへの侵入者に対して吠えるなど本能に従った行動は、昔は番犬として重宝されていたが、現代の集合住宅などでは近所迷惑になってしまうことも。

「ひと言で"吠え"といってもいろいろな種類があります。例えば、物音や飼い主の慌てた動きなどに反応して『なんだ?』という気持ちからくる吠え。誰か来たなど、飼い主に知らせる吠え。他の犬や人を警戒して追い払おうとする吠え。散歩やごはん、構ってほしいなどを要求する吠え。加えて、留守番中などに見られる、不安からの吠えや『ピーピー』という鼻鳴き、遠吠え、痛くてキャンと鳴くなど、多岐に渡ります。意図せず発せられていた吠えが、飼い主の対応により吠えるべきと学習してしまうこともあるのです」と、荒田明香先生。

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 "無駄吠え"とはよく言うが、犬にとって"吠える"ことは、気持ちの表現方法の一つ。愛犬が吠えている理由を理解すれば、自ずと対処法も変わってくるだろう。
 また、何か気になることがあったときに、「ワンワン」と声を出す程度は普通のことと考えよう。犬に絶対吠えてはいけないというのは、極端な話、私たち人間が声を出してはいけないと言われるのと同じだ。吠えてはいけないという考えにとらわれ、少しの吠えに対しても、しかったり焦ったり一緒に不安になったりしていると、逆に吠えを悪化させてしまう場合もあることは、前回も紹介した通り。
 吠え続ける、あらゆる刺激に吠えるなどでなければ、ある程度の吠えは受け入れる姿勢も大切だ。

噛む時には、犬にもかなりのストレスがかかっている

 問題行動の中でも、重大な問題・事故につながる可能性のある"噛む"という行動。荒田先生のところへの診療相談件数としては、この"噛む"という問題が圧倒的に多いそう。
 例えば、子犬が家具をかじったり甘噛みしたりするのは、探索や歯の生え変わりに伴う自然な行動なので、噛んでもいいオモチャなどを与えて欲求を発散させる必要がある。

 一方、成犬が人を噛む場合はどうか。
「犬が人を噛むのは、犬の『怖い』『嫌だな』というサインが伝わらずより強い行動で、気持ちを表現するために噛むというケースがほとんどです。噛まれる人間側にとって重大な問題なのはもちろんですが、噛まなければいけない事態というのは、噛む犬側にもかなりのストレスがかかっているはず。もしそれが日々繰り返されているのであれば、犬にとってもそれほど嫌なことが毎日起きているということなので、早急に対応する必要があります」

 例えば、突然上から手を出され怖くて噛んだら手が引っ込んだなど、噛むことによって自分の主張が通ると、それを学習してしまいさらに悪化させるケースも多い。
 成犬が人を噛むという問題行動は、放っておくと一大事につながりかねないので、専門家に相談して対処するのがおすすめだ。

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犬の本能に従った排泄はすべて"失敗"かもしれない!?

 3つ目に取り上げるのが"排泄の失敗"だが、そもそも犬にとって人間が用意したトイレで排泄すべきという概念はないので、極端に言えば、犬が本能に従って排泄をすればすべて失敗になるかもしれない。
 犬は一般的に、自分の寝床から離れたところに排泄したがる。
 排泄の場所について特に教えなければ、犬が自然と散歩の時に外で排泄するようになるのは、こういった理由からだ。
「室内のトイレシートでの排泄を教える場合、本来は外で排泄したい犬に、家の中のこの場所でしなさいと教えるわけです。犬にとってはかなり無理をしている部分もあるはずなので、人間に合わせてもらっていることを十分理解したうえで、トレーニングしてあげたいですね」

 子犬の時からトイレシートでの排泄を習慣づけられていればよいが、成犬になってから室内トイレを教えるには、かなりの根気が必要だ。その場合は、どこでもよいので室内で犬が排泄したら褒める、ということから始める。次に犬が排泄した場所にトイレシートを敷き、そこから徐々にシートの位置をずらしていくと教えやすい。
 いずれにしろ、いきなり飼い主の思い通りにさせようとせず、犬自身の本能的な行動パターンを利用しながら、少しずつ飼い主の希望に近づけていくことが大切だ。

 ここまで、吠える、噛む、排泄の失敗という3つの問題行動について、犬側の視点からその背景を探ってきた。
 もしこれらの問題行動が起きた場合も、犬側の事情を理解してあげることができれば、愛犬との向き合い方もまた違ってくるだろう。
 飼い主の姿勢が変われば、それはすぐ愛犬に伝わる。たったそれだけのことでも、問題解決への第一歩になるはずだ。

>>次回は、問題行動への対処の仕方について、取り上げます。

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