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2016.07.11

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愛犬がご飯を食べない……これって体調不良?

夏場の食欲不振、その原因と対策

夏場の暑い時期になると、食欲が落ちてしまうコも少なくない。いつも通りに食べてくれないと、やっぱり心配になってしまう......。ここでは、夏の食事に関する基本的な考え方を、 犬の食事についての監修も多い、獣医師の小林豊和先生に聞きました。

#Foods / #Healthcare

Author :監修=小林豊和 写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

夏の食欲不振、こんなときは要チェック!

 犬も何となく食欲がわかないことはあるので、1食食べなかったからといって大騒ぎする必要はない。ただし、以下に当てはまるような場合には、少し注意が必要だ。

<バイタルサインに異常が見られたとき>
バイタルサインとは、生きている状態であることを示す兆候のこと。バイタルサインの異常は、呼吸の状態や体温、排泄の状態などいろいろな項目でチェックできるが、要するにいつもと違って体調が悪そうにしていないか、ということ。どんなに好きなものをあげても丸一日何も食べないなら、カラダに何らかの問題があるのかもしれない。

<体重が減ったり増えたりしているとき>
現代日本で生活している室内犬の場合、夏だからといって食欲ががくんと落ちてやせることはあまりない。食欲が落ちて心配であれば、体重が増減していないかをチェックしてみよう。そんなに食べていないのに逆に増えてしまっている場合は、甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンの異常も考えられる。

<いつもと同じものを出しているのに食べないとき>
食事に限らず、飼い主側が普段通りにしているのに、愛犬側に変化があった場合は、何かしらの異常が起きている可能性がある。いつもと同じ生活リズムで、いつもと同じご飯を、いつもと同じように与えたのに食べない場合は、注意して観察しよう。

<食べたそうにしているのに食べないとき>
ご飯を出すと、食べようとして顔を近づけるのに食べない場合は、首を下げたときにカラダのどこかが痛かったり、歯が痛かったりして食べられないのかもしれない。ご飯を出したときの愛犬の動きもチェックしてみよう。

<生後3カ月未満の子犬と、7歳以上の高齢犬の場合>
子犬は肝臓が未発達なため、グリコーゲンの蓄えが少なく、食べないとすぐに低血糖になってしまうことも。家に迎えたばかりの子犬がご飯を食べない場合は、注意が必要だ。また、高齢犬は食欲不振がきっかけでがくんと体調が悪くなってしまうこともあるので、危険信号ととらえよう。

 
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知っておきたい、夏の食事に関する基本スタンス

 人間でも夏の暑い日は食欲が減退しがちだが、暑いと食欲が落ちるのは、脂肪を減らして暑さ対策をしようという自然の摂理でもある。暑くて散歩の時間が減ったなど、単にいつもより動いていなくて食欲が出ないだけかもしれない。また、ヒート中のメスはあまりご飯を食べないこともある。

 犬はもともと肉食動物であり、野生での生活であれば、狩りで獲物が捕れず数日間食べられないことは十分あり得る。現代の日常生活であっても、1日ぐらい食べていなくても、ちゃんと水を飲んでいれば大丈夫だ。

 食欲のあるなしにかかわらず、愛犬の健康状態をチェックするためにも、定期的に体重を測っておくといい。エアコンのきいた室内で暮らしている犬なら、体重を一定に保てているかどうかが、一つの基準になる。

 ついドッグフードが完全な食事で、それを毎日決まった量きっちり食べなければいけないと考えがちだが、人間に置き換えて考えてみればそうとも言い切れない。人間だってカップラーメンだけで済ますときもあれば、食欲がわかなくて1食抜くこともある。毎食きっちり決まった量の完全栄養食を与えなくても、長いスパンで考えたときに、トータルでバランスがとれていればいいのだ。

 
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愛犬があまり食べないときにできること

 とはいえ、あまり食欲のない日が続くと、飼い主としては心配だ。しかし、ドッグフード(主にドライフード)で育てるつもりなら、他のものをあまり与え過ぎると、余計ドッグフードを食べなくなってしまうので注意が必要。メインのフードを食べなくならない範囲で、できる対策をあげてみた。

<トッピングをする>
ドッグフードの上にササミやチーズ、野菜など、愛犬の好きなものをトッピングしてあげるぐらいならいいだろう。トッピングにつられてフードを一緒に食べてくれることもある。

<ぬるま湯や煮汁でふやかす>
ぬるま湯をかけると温まって香りが立つので、食欲がわきやすい。また、鶏肉などをゆでた煮汁をかけてあげると、嗜好性が上がる。水分をほとんど含まないドライフードだけでは、内臓に負担がかかっている可能性もある。特に高齢犬は水分が不足しがちなので、フードと一緒に水分をとれるようにするといい。

<小分けにする>
一度に与えても残してしまう場合は、小分けにして与えるといい。特に高齢になると、唾液や胃液など消化液の分泌量が減って、お腹に負担がかかりやすいため、小分けにするほうが望ましい。

<食べなければすぐに片付ける>
食べないご飯をいつまでも出しっぱなしにしていると、余計に食べなくてもいいか、となりがち。また、夏場は特に、水気のあるものは腐りやすいので、早めに片付けよう。

 
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◎監修者プロフィール

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小林豊和先生
獣医学博士。帝京科学大学生命環境学部 准教授。東京都杉並区にある『グラース動物病院』院長。1963年、東京都生まれ。日本大学大学院獣医学研究科修了後、都内の動物病院、大学病院での研修を経て、1993年にグラース動物病院を開業。2014年、日本大学大学院博士課程獣医学研究科修了。監修本に『愛犬のためのかんたんトッピングごはん』(文化出版局)などがある。
http://grace-ah.com/

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