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2016.07.14

みんな好きなのに、意外と知らない!

どうなってるの? 肉球のヒミツQ&A

永田雅彦 どうぶつの総合病院 副院長

肉球のことをどのくらい知っていますか? 知っていそうで意外と知らない肉球に関する素朴な疑問を、どうぶつの総合病院・副院長(日本獣医皮膚科学会・会長)の永田雅彦先生に聞いてみました! 「肉球は何のためにあるの?」「肉球って感覚があるの?」「肉球は汗をかく?」「肉球が硬くなるのはなぜ?」など、あなたはいくつ答えられますか?


写真=大浦真吾 文=山賀沙耶

#健康

Q:肉球って何のためにあるの?

 基本的には、立つ、歩く、走るといった動きをしやすいようにできているのが、肉球。要するに、肉球とは人間の足の裏にあたる部分で、その仕組みもよく似ている。人間の足の裏は、一見他の部分の皮膚とよく似て見えるが、実は組織学的にはまったく異なる構造をしている。

 まず、足の裏も肉球も、立ったときに滑らずに踏ん張れるように、毛や毛穴がない。次に、汗腺の量が多く、滑りにくいようにサラサラの汗がたくさん出る。さらに、歩いたりするときに外的刺激を多く受けるため、皮膚が厚く丈夫になっている。

 立ったり歩いたり走ったりするのにふさわしいように作られている、それが人間の足の裏であり、肉球も基本的には同じだ。

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人間の手でいうと、狼爪が親指の爪にあたる部分

Q:肉球には感覚があるの?

 尖ったものを踏んだら痛い、熱い地面を踏んだら熱いというように、感覚はある。ただ、どのぐらいの刺激を感じるかは、明らかにされていない。毛で覆われている部分の皮膚と、肉球の皮膚の違いを写真で見てみよう。

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上の画像が毛で覆われている部分の皮膚の構造、下の画像が肉球部分の皮膚の構造(画像提供=永田雅彦先生)

 表皮とは、皮膚の一番外に位置している細胞の層で、絶えず更新され続け、フケとして表面からはがれ落ちていく。真皮は、表皮を内側から支える部分で、コラーゲンと呼ばれるたんぱく質の間を、血管や神経が分布している。

 上の写真を見ると、肉球部分の表皮は、赤い死んだ細胞の層も青い生きている層も、カラダを覆っている皮膚に比べてかなり厚くなっている。刺激を感知する神経は真皮の中にあるので、表皮の層が厚くなれば、それだけ感覚が鈍くなると想像される。

Q:肉球には汗をかくの?

 犬は汗をかかないと思っている人もいるかもしれないが、正確にはそれは間違い。犬は肉球にも、毛で覆われている部分にも汗腺があり、汗をかく。

 汗腺には、アポクリン腺とエックリン腺の2種類がある。アポクリン腺は、ニオイの強いタンパク性の汗を出し、その汗は毛穴から排出される。それに対してエックリン腺は、水っぽい汗を皮膚に直接分泌する。

 人間の場合、アポクリン腺はわきの下など局部にしか存在せず、エックリン腺がほぼ全身にあり、このエックリン腺から排出される汗によって体温調節している。ところが犬の場合は、毛で覆われている全身にアポクリン腺があり、エックリン腺は肉球に集中している。

 つまり、犬は汗で体温調節することこそできないけれど、毛で覆われている部分にはタンパク性の汗を、肉球には水っぽい汗をかいているのだ。

Q:子犬のころ柔らかい肉球が、成犬になると硬くなるのはなぜ?

 子犬のころはピンクでプニプニだった肉球が、成犬になると硬く黒くなってはいないだろうか。

 これは、成長して外を歩くようになり、肉球が刺激を受ければ受けるほど、表皮が歩くのに都合のいい構造になっていくためだ。室内のカーペットの上を歩いているうちはスリッパでいいけれど、ゴツゴツの岩場などを歩くなら登山靴というように、犬の肉球には環境に合わせて変化していく力がある。

 肉球が黒くなるのは、皮膚を黒くするメラノサイトという細胞が増えたか、仕事をしたため。メラノサイトは人間の肌にもあって、紫外線から身体を守るために働く細胞だ。このメラノサイトは、ケガをしたときに治す細胞の一つでもあり、人間でもかさぶたの後に色素が沈着してしまうことがあるだろう。外を歩くと肉球が外的刺激を受け、このメラノサイトが仕事をして、黒く変色しやすいのかもしれない。

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